【カナン再生記】擾乱のトリーズン(第2回/全3回) リアクション公開中! |
シナリオガイド反乱軍vs正規軍 この戦いを止めることはできないのか?
シナリオ名:【カナン再生記】擾乱のトリーズン(第2回/全3回) / 担当マスター:
寺岡 志乃
アガデの都 領主の居城―― * * * 「あなたにも働いてもらいます」 ネルガル、バァル両名が去った室内で、アバドンは緞帳の向こう側に正面を向けました。 暗がりから、メニエス・レイン(めにえす・れいん)が不服そうな表情で出てきます。 「てっきりネルガル殿に紹介してもらえると思っていたんだけど」 「紹介?」 アバドンは冷笑しました。 「あなたにネルガル様の御前に立つ資格はまだありません。たしかにメラムの町でのあなた方の活躍は拝見させていただきました。とても興味深い余興でしたね。特にあの褐色の肌の少女を燃やしたところなど、大変胸のすく思いがしました。だからこそ、あなたをバァル様から譲り受けたのです。 ですが、あれはあなたのお仲間たちの手柄であって、あなた自身はなんら貢献していない。ネルガル様のお目にとまりたいのであれば、己の力で相応の働きを見せなさい。さもなくば…」 アバドンは見せつけるように、黒水晶をメニエスに突き出します。 そこはどこともしれない部屋の一室。既に石化刑に処されたパートナー、ミストラル・フォーセット(みすとらる・ふぉーせっと)の姿がありました。 「無能者は不要です。この人質とともに砕け散るがいいでしょう」 「…………」 (――ずいぶんとみくびってくれたものね) ぎり、と奥歯を噛み締めるメニエスの前、アバドンは黒水晶の上でさっと手を振りミストラルの姿を消し去ると、次に双頭の白蛇の姿を映しました。暗くてよく見えませんが、その周囲をいくつもの人影らしきものが取り囲んでいます。 「心配はいりません。あなたにも新たなパートナーを用意してあります。このアンデッドを操るモンスター、エンディムを連れて、パァル様とともに行きなさい。そして必ずセテカ・タイフォンを仕留めてくるのです。あの男さえ消してしまえば、反乱軍など一気に瓦解するでしょう」 * * * 東カナン イルの村―― 東カナンの解放を訴え、モンスター退治や領民の救済をしながら、反乱軍と東西シャンバラ人たちはゆっくりとアガデの都を目指していました。各町や村での設備の増強や配給、新たな施設を建設したりと様々なことに人手を割かれ、結果的に駐留することになった者たちもいましたが、それ以上に今の東カナンの有り様に絶望し、同行を志願する者たちが現れたため、人数は爆発的に膨れ上がっていました。 ただし、彼らは民兵です。栄養状態は決して良いとは言えず、訓練も始まったばかり。騎馬軍団を誇る東カナンの土地柄ゆえ、馬術はだれもが子どものころより仕込まれますが、馬に乗れる者はいても鎧や剣といった武具は粗末な物で、しかもそれを馬上から満足に操れる者は少なく、到底バァル・ハダド率いる正規軍の敵とはなりえません。 相手はおそらく甲冑に身を包んだ重騎馬隊を前列に、弓騎馬隊を後方に配し、混戦となれば一気に軽量の速騎馬隊が蹂躙するでしょう。もちろん歩兵の長槍兵もいます。 まともにぶつかれば、おそらく半日ともたない――。 それを知るセテカは、アガデから届いたばかりの書状を握りつぶしました。 「正規軍だけでも厄介なのに、バァルめ……人喰いのモンスターが従軍だと? 一体何を考えて…」 そんなことを考えても仕方がない。モンスターも正規軍も確実に向かってきているのだから―――セテカは書状を忌々しげに暖炉に投げ込むと、皆の待つ部屋へ向かいました。 「戦場となるのはザムグの町近辺にあるアナト大平原だ」 現在のアナトは草木1本生えない荒野と化していましたから、アナト大荒野と呼ぶべきかもしれません。 「あそこなら正規軍が展開するだけの広さがある。われわれはひと足先にザムグの町に入ることになり、そこで準備を整えることとする」 「ザムグの町が戦場になるのか?」 「いや、バァルの性格を思えばそれはまずない。領民を巻き込むことは絶対に避ける。町ごとわれわれに攻撃したりはしないだろう」 ですが、それをあてにしてザムグの町にこもり、篭城戦をするわけにもいきません。モンスターがいつまでもバァルに従っているとも思えませんし、バァルも篭城をむざと許すはずがないからです。また、篭城するだけの余裕がどちら側にもないということもあります。潜入なり何なりの手を打たれるのは分かりきっていますし、そうなれば、結局被害はザムグの町に出るでしょう。 「ではどうする?」 「――少数精鋭による奇襲で指揮官であるバァルを捕らえるしかない」 そのためにはもう1つ、しておかねばならないことがあります。 こんなときに兵を分けるのは避けたかったのですが、ほかに打つ手はないとセテカは考えました。 「ネルガルが東の監視のために設置している神聖都の砦を同時に叩く」 セテカの指示で、すぐさま別動隊が組まれました。 神聖都の砦は東と北の中間位置、連なる山脈のふもとにあります。一度反抗した南と違い、東は恭順しているために砦としての戦力はほとんどありませんが、全く兵が駐留していないわけではありません。 ここにはワイバーンが数騎配備されており、東に何か不穏な動きがあれば北に飛ぶことになっています。現在ネルガルは東の巡回を終えてキシュへの帰途についていると書状にありました。バァルを捕らえたことを知られないためにも、ここは攻略しておく必要があるでしょう。 凶悪な人喰いモンスターを倒し、バァルを捕虜とする、はたしてそんなことができるのでしょうか? 風雲急を告げる――。 東カナンの地で、今新たな鳴動が起きようとしていました。 担当マスターより▼担当マスター ▼マスターコメント
こんにちは、または初めまして、寺岡 志乃といいます。 ▼サンプルアクション ・アジ・ダハーカと戦う ・バァルを捕らえる ・セテカと行動する ・神聖都の砦へ向かう ▼予約受付締切日 (既に締切を迎えました) 2011年01月25日10:30まで ▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました) 2011年01月26日10:30まで ▼アクション締切日(既に締切を迎えました) 2011年01月30日10:30まで ▼リアクション公開予定日(現在公開中です) 2011年02月20日 |
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