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シナリオガイド

敵は巨大竜巻のみにあらず
シナリオ名:ピラー(後) / 担当マスター: 革酎


―――――――――― 前回のあらすじ ――――――――――

 ツァンダの名門クロカス家の分家筋、バスケス家。
 このバスケス家の現当主ヴィーゴ・バスケスは、家格の昇格審査を控え、ツァンダ家より、ジュデット・ラヴィルを団長とする使節団を迎え入れていました。
 丁度同じ頃、数百年に一度発生するといわれている伝説の巨大竜巻ピラーが出現。多くのひとびとが、ピラーの破壊力に戦慄します。
 ところが、本来ピラーはシャンバラ大荒野内に於いてのみ発生するとの伝承が残されていたのですが、今回に限っていえば、どういう訳かツァンダの東端に位置するバスケス領内に出現するようになりました。
 更に、このピラーは完全なる自然現象ではなく、ある種の霊的な根源によって発生していることが、気象研究学者クレイグ・バンホーン率いる調査団と、彼に協力するコントラクター達の頭脳によって明らかとなりました。
 ピラーは、クロスアメジストと呼ばれる聖石によって導かれる、というのです。
 そして、このクロスアメジストの所有者である幼女ミリエルには、謎の怪物、オブジェクティブ・マーダーブレインが憑依していました。
 やがて、ピラーが本格的に姿を現し、バスケス領内シャディン集落に迫ろうとした時、数多くのコントラクター達が領民の避難誘導に全力を傾け、或いはピラーへの対抗手段を模索し、それぞれの戦いに挑みました。
 しかし結局、ミリエルとジュデット、そしてクロスアメジストがピラーの放つ豪風に巻き込まれ、行方知れずとなってしまったのです。
 一方ヴィーゴ・バスケスには、どうやら腹黒い企みが隠されているようでした。
 家格審査とは単なる口実で、実は他に、陰謀めいた策略をめぐらせているようなのです。それは、わざとピラーによる被害を領内にて被った上で、ツァンダ家による特別な救済措置を受ける、というものでした。

 そして――様々な思惑が渦巻く中、ピラーが再び、姿を現そうとしています。

―――――――――――――――――――――――――――――


 ピラー出現から、数日が過ぎたある日。
 調査団が所有するキャンピングカーのキャビン内に、バンホーン博士の姿がありました。バンホーン博士はノートパソコンの前で腕を組み、渋い表情で、画面に映し出されている古びた絵画のような画像をじっと凝視しています。
 それは、ピラーの最終到達地点と目される巨大な窪地ナラカ・ピットを描いた、古代文献上の絵図でした。
 ピラーがクロスアメジストに導かれ、ナラカ・ピットにて収束し、パラミタ上に渦巻く多くの怨念をナラカに還す――これまでの文献調査でそこまでは分かっているのですが、ひとつだけ、未だに判明していないことがあります。
 それは、柱の奏女と呼ばれる存在の役割について、でした。
 更にいえば、この柱の奏女が一体何者で、ピラーに対してどのような力を持っているのか。全てが、謎に包まれています。
 しかしながら、ピラーはこの後も容赦無く出現し、多くの被害を出し続けることとなるでしょう。
 時間はもう、あまり残されていません。

 一方、バスケス家の主筋に当たるクロカス家の令嬢レティーシア・クロカス(れてぃーしあ・くろかす)のもとには、ひとりの冴えない中年男性が面会に訪れていました。
 ピラーの被害から領民を救う為、クロカス災害救助隊を編成してバスケス領内を走り回っているレティーシアですが、その忙しい合間を縫ってでも会っておかなければならない人物――それがこの中年男性でした。
「いやぁ、まさかこの件でまた、呼び出し食らうとは、思ってもみませんでした」
 クロカス災害救助隊がキャンプを張る台地の一角。
 いささか甲高い声で笑いながら頭を掻くその中年男性でしたが、簡易座椅子で背筋を伸ばすレティーシアは生真面目な表情で、真正面から相手の貧相な風貌を覗き込みます。
「噂には聞いていましたが、実際に出現したところに遭遇したのは初めてでしたので、どうしてもあなたのお力を仰がなければならなくなりました」
 そうまでいわれて、中年男性はますます照れ臭そうに頭を掻き続けます。
 しかし相手の様子などまるでお構い無しに、レティーシアは言葉を繋ぎます。
「教えてください……オブジェクティブとは、一体何なのですか?」
「えぇと、まぁ、簡単にいえば電子データの物質化した姿です。わしが初期のオブジェクティブ・エクステンション構想に携わっていた時は、まだ実用化の目処も立ってなかったんですけどねぇ」
 中年男性は、愛想笑いを消して急に神妙な面持ちとなり、もやしのように細い両腕を胸の前で組みます。
 レティーシアは幾分身を乗り出す形で更に、この中年男性に強い口調で迫りました。
「オブジェクティブへの対抗手段についても、お詳しいそうですね?」
「あぁー……ダブルオー資格者の話ですね? 先日、引越しを手伝って頂いた方々の一部に、お礼代わりに認証コードをこっそり入れといたんですが、役に立ってるんですかねぇ」
 その中年男性――ネオ・ウィステリアは、呑気な面持ちで明後日の方角を向き、小首を捻っています。
 レティーシアとこのネオなる人物とは、彼がオブジェクティブ・エクステンションの規格構築責任者として、ウィンザー・エレクトロニクス社の社員だった頃からの知り合いでした。

担当マスターより

▼担当マスター

革酎

▼マスターコメント

 本シナリオガイドをお読みくださり、ありがとうございます。

 本シナリオは、『ピラー(前)』の続編となります。
 シナリオガイドの冒頭に前編のまとめとして『あらすじ』を用意致しましたので、そちらをお読み頂ければ、前編に参加していなくても状況はある程度、把握頂けるものと存じます。
 この『あらすじ』の内容はPC情報として、ご参加頂ける全PCが知っているという前提でアクションをかけて頂いて結構です。

 今回は多くの行動が要求されます。
 皆様で手分けして、色々解決していかないと、なかなか上手く事が運ばないかも知れません。どうぞ大団円に向かって、存分にアイデアをぶつけてきてくださいませ。
 泣いても笑っても、この後編で一定の決着がつきますので、持てる力の全てを発揮して頂ければ幸いです。

 尚、後編の行動例としては、以下のような内容が考えられます。

■ヴィーゴ・バスケスの野望に対抗する
 使節団の臨時応対スタッフとしてバスケス家の内部から探りを入れる、或いは他の権力に働きかけて外から揺さぶりをかける、などといった行動が考えられます。
■ミリエル、或いはジュデットの捜索
 こちらは強敵オブジェクティブとの遭遇の可能性が極めて高いです。どうぞご注意を。
■ピラーへの対抗措置を講じる、或いは領民の避難誘導に徹する
 ナラカ・ピットや柱の奏女、クロスアメジスト関連の行動を取るか、或いは純粋に避難誘導に徹するか。一番忙しいところかも知れません。
■ネオ・ウィステリアから情報を得る
 ウィンザー・エレクトロニクスという巨大企業の元社員ですが、現在は何故か漫画家の彼。尚、今回は行殺の悪魔・ラインキルドや、ガチ判定の鬼・ガチハンティーは参戦しませんので、ご安心を。

 それでは、皆様からの素敵なアクションをお待ちしております。

▼サンプルアクション

・ヴィーゴ・バスケスの野望に対抗する。

・ミリエルもしくはジュデットの行方を捜索。

・ピアーへの対抗措置を取る。

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2011年10月03日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2011年10月04日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2011年10月08日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2011年10月20日


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