シャンバラ教導団

「ううん……」
　大きな旅客飛空艇の客室の一角で雅羅・サンダース三世（まさら・さんだーすざさーど）は目を覚ましました。
　雅羅の居る客室では大勢の学生達が雑談などで賑わっています。
　雅羅が今居る、四階建て巨大飛空艇は現在、冬季ろくりんピックの記念イベントが行われる会場へ向かうため、シャンバラ上空を飛んでいます。

　しかし、その平穏な飛空艇を突然大きな爆音と共に揺れが襲いかかりました。
「きゃー！？」
「なんだ！？　爆発か？」
　雅羅の周りいる乗客達が立ち上がり騒ぎ始めます。
「……まさか沈まないわよね？」
　乗客達の悲鳴に雅羅も次第に不安に煽られます。
　そう思っていた時、部屋についている飛空艇の放送スピーカーからノイズが聞こえ始めました。
『本飛空艇に乗っている乗客に次ぐ』
　スピーカーから聞こえてきた声は、かすれた中年男性の声でした。
『この飛空艇は現時点をもって、我々が占領した』
　淡々と告げられるその放送に、乗っている乗客達の叫びに拍車がかかります。
『我々はろくりんピックの開催に反対の意を示す。またその見せしめとして巨額の身代金を要求した』
　男はさらに話を続けます。
『今回のところは、身代金さえ受け取ることに成功できればお前達を無事に解放するつもりだ。
　だが、失敗。および、暴れる者が居れば……』
　再び、爆音と揺れが襲いかかりました。
（また爆発！？）
　雅羅が不安げに船の外を見ると、煙がうしろから上がっているのを確認できました。

「この船の各所に仕掛けている爆弾を一斉に爆発させる。以上だ！」

　放送スピーカーはそこでぴたりと音を出さなくなりました。
　タイミングを見たかのように、頭に布を被った者達が入り込んできます。
　いよいよ緊迫してきた空気に、乗客達も一斉に静かになりました。
「今の放送は聞いたな！　さあ、おとなしくしろ！」
「……不幸ね」
　雅羅はぽつりとため息をつきました。

　雅羅の斜め後ろの席では、李　梅琳（り・めいりん）が同じように男を見ていました。
（……先にあいつらのボスを叩いても、爆破されてこの船は沈められるわね）
　梅琳の頭の中では、様々な作戦が練られていました。
　すくなくとも、今この状況は一人で打破できるものではありません。
　そのために梅琳は学生達と協力し、爆弾と敵のボスを同時にどうにかしようと考えていました。

　他シナリオにて私にお会いしたことがある方はお久しぶりです。
　初めましての方は、初めまして。朱坂理樹と申します。
　精一杯頑張りますのでよろしくお願いいたします。
　

　さて、今回は飛空艇に爆弾が仕掛けられ、人質にされたという危機的状況です。
　シナリオ参加者は皆、飛空艇内からのスタートとなります。
　装備武器やスキルに制限はありません。
　
　単純に敵のボスさえ倒せば解決するように見えるテロですが
　爆弾が仕掛けられているため、安易に倒すわけにはいかないようです。

　大勢の敵が潜むことが予想される旅客飛空艇です。
　敵の視線を奪いつつ、一気にたたみかける危険な橋も良し。
　一人一人ずつ片付け、慎重に爆弾を解除するもよしです。
　無事な着陸が本シナリオで目指すべきゴール地点となります。

　皆様の取られる行動、楽しみにしております！

■飛空艇について
　大勢の客を乗せた巨大飛空艇です。全四階建て。
　コントロールルーム（運転室）は最下層に存在します。
　また、爆弾によって運転は不安定になっているため、
　早く解決し飛空艇を安全な場所へ着陸させられないと、大勢の人が集まっているイベント会場に墜落してしまいます。
　
　外では身代金や避難などが進められていますが、
　残された時間が少ないため、受け渡しが成功したとしても、このままでは最悪の被害を止めることは出来ないでしょう。
　寺院の者たちは、そこまで計算しているようです。

■鏖殺寺院
　狙いは身代金。そして、ろくりんピックを妨害するという目的もあるようです。
　現在、飛空艇にどれだけ鏖殺寺院が潜んでるかなどはわかりません。
　しかし、各室に潜んでいることは確かです。

■爆弾について
　魔法と機晶技術を組み合わせた特殊な爆弾のようです。
　解除には、トラップ解除などのスキルでも応用が利くと思われます。
　ただし、過激な解除を試みた場合、爆発が起きる可能性があります。
　小さな爆発のため、危険は低いですが何度も発生すると飛空艇は沈みます。
　ご注意ください。


■ＮＰＣの行動について
基本的に、雅羅はコントロールルームに向かい、梅琳は爆弾解除に動きます。

・爆弾解除！

・爆弾のそばや客室に居る鏖殺寺院を倒す

・この船を乗っ取ったボスを倒しにいくよ！