百合園女学院

　涼しい風が優しく頬を撫で、秋の訪れを知らせてくれる。
　空も心なしか高く感じ、鮮やかな青が透き通る青に変わってゆく穏やかな季節。
　食欲、芸術、スポーツ。
　今年の秋はどう楽しもうかと浮き足立っているところに、現実へ突き落とすような告知が各教室に張り出されました。

『中間考査まで、あと１週間！！』

　過ごしやすい季節に気を抜くことは許されない、なんとしても平均点をクリアしなければ。
　何故かというと――

「無能な生徒はいらないの。それなら身体で貢献することね」

　我らがカンナ様と恐れている校長兼生徒会長様の御神楽　環菜（みかぐら・かんな）は、さも興味なさそうに携帯画面を見続けていますが、何を頼まれるか分かったものではありません。
　そして、もうテストも目前に迫ったある日、カンナは全校放送で全生徒に呼び掛けました。

「あんた達が今更足掻いたところで同じだろうけど……今夜は学校を開放してあげるから残りなさい」

　確かに、書物が揃った図書館で勉強するのもいいかもしれません。
　同じ目的を持った仲間となら、励みになるかもしれません。
　でも何故、急にそんなことを？
　生徒たちが不安に思う中、パートナーのルミーナ・レバレッジ（るみーな・ればれっじ）も呼びかけを行いました。

「もし残られる方で、料理の得意な方と体力に自信がある方がいれば、数名私のお手伝いをしてくださると助かります」

　料理と体力。
　イコールにならないそれに首を傾げながらも、単なる勉強会ではないことは確かです。
　何か、楽しいことがあるんじゃない？
　誰かが言った、テスト前にしては気楽な発言ともとれるその言葉。
　けれど、勉強をしたい人には申し分ない環境なのだから、真面目に勉強をしたい人も何らかの息抜きがあることを期待している人も、恐る恐る参加することにしました。

　秋の夜長の勉強会。
　その合間に好きな本を読んでみたり、ルミーナの手伝いで料理をしたり。
　あなたオススメの秋の過ごし方を、ぜひ教えてください。

　皆さんの目的は「みんなと秋の夜を楽しむこと」です。
　言われたとおりに勉強するも良し、体育館などでスポーツをするも良し。

　料理や体力などで得意分野があれば、お手伝いに行くのも良いでしょう。
　とてもにこやかな顔をしているので、悪いようには扱われないようです。
　また、体力も食べ物絡みのようですよ。
　なお、お手伝い人数は制限があるため、第二希望の記載を推奨します。

　当日、学校中の窓はカーテンで塞がれており、外の様子を見ることは出来ません。
　校舎内を移動することはできますが、一定の課題が終わるか時間になるまでは、お手伝いの人以外は外に出ることも禁止されています。
　しかし、カンナ様が用意したとあって、課題の量は膨大です。
　素直に時間が経つのを待った方がいいかもしれません。

　夜、隠すように外が見えない学校、時間稼ぎのような課題の量……
　カンナは、いつものワガママで生徒を集めたわけではありません。
「きっとみんなも楽しんでくれる」
　そう思って、自分なりの過ごし方を提案したのです。

　一体今夜、外では何があるのでしょう？
　


　ヒント：今年は１０月３日です。

・真面目に勉強をする

・運動会の予行演習をする

・料理が得意だから