百合園女学院

こちらは１ユーザーにつき１アカウント、及び１アカウントにつき１キャラクター（１人格）限定シナリオとなります。

　２０２３年８月末。
　タシガン空峡のトワイライトベルトに、突如赤黒い渦が出現しました。
　その渦は、ブラックホールのように、付近の物質を飲み込んでいきます。
　その頃から、若者が行方不明になる事件も増えていました――。


　９月、月初。
　ツァンダ東の森の外れに、小さな空の港町があります。
　ここからは、定期的にタシガンへの空の便が出ています。
「おい、焔狼盗賊団が壊滅したらしいぞ」
　旅行者が集う酒場で、中年の男性が新聞を見ながら言いました。
「ん？　メンバーの一部が、ダークレッドホールに飛び込んだって聞いたが、それで壊滅？」
　タシガン空峡に出現した赤黒い渦は、ダークレッドホールと呼ばれ、恐れられ始めました。
　その渦に突入した者は、消し炭となり戻っては来ないと言われています。
「いや、残りのメンバーも、大荒野で遺体で発見されたそうだ」
「うおっ？　賊同士の抗争かなにかか？」
「どうも、そうじゃないらしい。火事にでもあったかのように、皆黒焦げ状態だったそうだ」
　遺体が発見された場所付近には、小さなオアシスと鍾乳洞だけが存在し、建物はなにもないそうです。
「散々人々を苦しめてきたんだし、自業自得なんだろうけど……。なんか不気味な事件だな」
「ああ、ダークレッドホールも、徐々に大きくなっているって聞くしな」
　ここも飲まれてしまうのだろうかと、旅行者達は不安に思いました。
　それと同時に。
「明日の便を乗っ取って、ダークレッドホールに突入するぜ、ヒャッハー！」
　無謀な若者達の姿もありました。


　その翌日――。
　タシガン空峡にある小さな島で、瀕死の少女が発見されました。
　少女の首には、２つの刺されたような跡。どうやら吸血鬼に大量に血を吸われたようです。
　島で暮らす人々の治療により、少女の外傷は治りました。
　しかし意識は戻らず、島の治療院で治療が施され続けています。
　その少女は、百合園女学院の生徒手帳を持っていました。

　更に、空の港町近くの森の中で、行方不明になっていた若者が数人、発見されました。
　彼らは行方不明になった時とは違う格好をしており、記憶を失っていました。

○　　　　　○　　　　　○

　９月上旬、百合園女学院多目的ホール。
　生徒会執行部、通称『白百合団』副団長のティリア・イリアーノを始めとした役員と、白百合団員、団の活動に興味を持った百合園生が集まっていました。
　しかしそこに、団長の風見　瑠奈（かざみ・るな）の姿はありません……。
「１２月に行われるヴァイシャリーの議会で、警察組織の必要性についてと、警察の下部組織としての白百合団の再結成について風見団長は提案を行う予定、ですが……」
　ティリアが不安気な表情で語ります。
「風見団長と、ゼスタ・レイラン（ぜすた・れいらん）コーチが行方不明になってもう３日経ったわ。２人になにかあったことは間違いないと思う。恐らく、ダークレッドホール絡みで」
　ダークレッドホールとは、タシガン空峡で１週間ほど前に発見された赤黒い渦のようなもです。
　瑠奈とゼスタは情報交換の為に他校を訪問しており、蒼空学園から薔薇の学舎に向かい、その後百合園女学院に帰還する予定でした。
　しかし、蒼空学園からの連絡を最後に、２人からの連絡は途絶えてしまったのです。
「パートナーのサーラさんが何か知ってるのではありませんか？」
　質問をしたのは、瑠奈の友人で白百合団員のシスティ・タルベルトです。
「サーラは、寮の部屋に閉じこもったまま出てこないの。風邪で頭痛がひどいらしく、話が出来る状態ではないそうよ」
　ティリアのパートナーのモニカが看病をしているそうです。
「彼女のもとに、瑠奈から何か連絡が届いているかもしれません。多少強引にでもお会いして話を聞かなければならないのでは？」
　システィは鋭い目でこう続けました。
「……出てこないというのなら、理事に話を付けて合鍵を借りてでも入らせていただきます。看病もしてあげますよ」
「わかりました、お願いします。モニカも疲れているでしょうから、代わってあげてください」
　ティリアはシスティと何人かの団員にサーラのことをお願いしました。
「白百合団でも、風見団長とレイラン先生を探しましょう。ただ……危険な場所には決して近づかないように。二次災害に繋がるようなことはしないでね」
　タシガン空峡にある小さな島の治療院へは、白百合団の班長に昇格したイングリット・ネルソン（いんぐりっと・ねるそん）が団員達と共に訪ねることになりました。
「もしか、したら……風見団長に代わって、私達の誰かが議会に出なければならないかもしれない。彼女の考えは合宿のミーティングで聞いているわね？　瑠奈の代わりに、提案書をまとめておいてほしいの。こちらは、百合子様のパートナーのミケーレ・ヴァイシャリー様が協力してくださるそうです」
　錦織　百合子（にしきおり・ゆりこ）は、元百合園生で、白百合団を設立した初代団長です。現在は、シャンバラ宮殿で働きながら教師をしています。
　ミケーレは、ヴァイシャリー家現当主の息子の一人、ラズィーヤの弟です。

　同時刻、ヴァイシャリー家。
　ラズィーヤ・ヴァイシャリー（らずぃーや・う゛ぁいしゃりー）の元に、秘密裏にファビオ・ヴィベルディ（ふぁびお・う゛ぃべるでぃ）が訪れていました。
　彼は定期連絡のように偽装した暗号でラズィーヤに連絡を入れ、姿を消すマントを用いて彼女の元に訪れました。
　応接間で彼女と、弟であるミケーレ・ヴァイシャリーだけを前に姿を現して、自らの元に届いた一通の手紙を見せました。
「目的は分かりませんが……集会が行われるという、指定の場所に行ってみようと思います」
　その手紙には、『シャンバラ王国の正常な統治のために“騎士の指輪”と同志を集めている』とありました。
　騎士の指輪とは、シャンバラ古王国時代、女王と近しい立場にいた親族や騎士達が指にはめていた指輪だそうです。
　ファビオは過去も現在も所持していませんが、ヴァイシャリー家には伝わっているようです。
「ヴァイシャリー家では、代々独身の家督継承権を持つ者が１つずつ預かっている。婚約指輪として用いられ、結婚後には一旦回収されるんだ」
　ミケーレは自分の指を見せて、こう続けました。
「俺は今は持っていない」
　彼の指には指輪が一つはめられていますが、流行りのデザインであり、古代のものではなさそうでした。
「分かりました。……わたくしのところに報告に訪れたということは、信じてお任せしていいのですね？」
　ラズィーヤが目を煌めかせて、ファビオに微笑みかけました。
「勿論です。あと、出来ましたらシャンバラとヴァイシャリー家への忠誠心の強い実力者を何人か紹介してください。……万が一の時の為に」
「互いに、口封じが出来るようにでしょうか」
　ラズィーヤの問いに、ファビオは何も答えませんでしたが、そいうった事態も想定しているようです。
「声をかけてみます。ファビオさんも、適した能力をお持ちで、金銭やその他の報酬で雇えそうな方に心当たりがありましたら、声をかけてみてください」

　ファビオが去ってから――。
「彼は真面目だね、わざわざ姉さんのところに報告にくるなんて」
「真面目すぎるせいで、かなり危なっかしいのですけれどね。で、ミケーレさんのところにも届いたのではありませんの、その手紙」
「いや、受け取ってない。だが、悪戯じゃないのなら、そのうち接触はあるかもしれないな」
　とにかく、とミケーレはラズィーヤに笑みを向けました。
「姉さん達は別件で手一杯なんだから、こっちのことは俺達に任せておいて。白百合団のこともね」
「……頼みましたわ。これ以上国民に不安を与えることがないよう、お願いいたします。もしもの際にも――決して表には出さずに、処理してください」
「了解」
　鋭く瞳を光らせて、２人は微笑み合いました。

百合園女学院生徒会執行部『白百合団』関連のお話となります。
百合園生、若干蒼学生、及び百合園所属者と深い関わりのある他校生向けのシナリオとなります。
ゲーム性の強いシリアスシナリオですので、通常よりシビアに判定をさせていただきます。
皆様の力で、より良い結果を勝ち得てください！

こちらのシリーズはプレミアムシナリオとなります。
・参加ポイントは、ＭＣ：２００　ＬＣ：１００　となります。
・リアクションの公開予定が通常のシナリオより１週間長くなります（アクション締切後の変更となります）。

参加申し込みは、１ユーザーにつき１アカウント限定となります。
及び、１アカウントにつき１キャラクター（１人格）限定でお願いします。
魔鎧、魔道書などのＬＣにつきましては、武具としてや、スキル目的で利用する分にはＬＣを追加していただいて構いません。
※シナリオで描写される人格と体は１つとなります。

ＬＣのみでシナリオに参加したい場合は、登場させるＬＣを追加して、その旨ＭＣのアクション欄でご説明ください。
また、経験値目的のＬＣ追加は行っていただいても構いません。

このシリーズでは、ＰＣが重体、生死不明状態等、行動不能に陥る可能性があります。
その際には、行動を一切指定することが出来なくなります（リアクションでは、ＰＣの状態や周辺の状況が描写されます）。
該当者には個別メッセージで説明をしますが、ＬＣを追加してＬＣメインで行動していただくことも可能となります。

リアクションは通常のリアクションの他、個人や、居合わせた人々と描かれる個別リアクションが全員に発行されます。
個別リアクションでは、行動の詳細や、掴んだ特殊な情報、暗躍行動などが描かれます。
（アクションが２つ記入できるわけではありません。行動は１つでお願いします）
両方でバランスよく描かれる場合もありますし、どちらかのリアクションでしっかり描かれ、片方は名前程度の登場となる可能性もあります。

他の方に読んでいただきたい場合でも、ＰＬ様によるリアクションの不特定多数の方が読める場所へのアップや転載は禁止させていただきます。
個別リアクションの受け渡しにはメール等をご利用ください。
個別リアクションは、このシリーズ完結後に全て公開されます。

こちらのシナリオではＰＬ情報とＰＣ情報の違いにご注意ください。
ガイドやリアクションに書かれていましても、ＰＣがその情報を知れる立場ではない場合、知っているとして行動することは出来ません。
ＮＰＣから特別に情報を得たという設定や、【御宣託】等のスキルで知ったとすることも不可となります。
ＰＣ情報として知らないほうが自然なことは、知らないとして行動をして頂いた方が、無理なく自然な１つの行動ができるかと思います。
落とし穴があるというＰＬ情報を得てどうしても回避したいのなら、ＰＣ情報にして回避するより、知らないけどその道を通らなかったとして回避する形が理想です。
※後者は多分回避に成功しますが、前者はダブルアクション判定（情報のやり取り、落とし穴の対処、メイン行動）により上手く回避できない可能性が後者よりずっとずっと高いです。

アクション外でのＰＣ間で情報の受け渡し、及び推薦を行ったとする場合は、必ず双方のアクション欄にその旨、明記してください。

ガイドの多目的ホールでの会話や、若者達の夏合宿のミーティングの話は、白百合団員（このシナリオで団員になる方含む）と、パートナー（敵対者除く）は知っているとしていただいて構いません。
百合園生も知っているとしていただいても構いませんが、白百合団の作戦、仕事に加われるのは白百合団員だけとなります。

個々の行動により、物語が大きく変わっていきますため、相談推奨となります。
必須ではありませんが、行動が重なりすぎないためにも、行き場所程度は相談掲示板に書き込んでいただけましたら幸いです。

グランドシナリオを含む他のマスターのシナリオや、このシナリオに関係のない話題の持ち込みはご遠慮ください。

今回シナリオに参加（当選）された方は、次回シナリオに招待させていただきます（アクションに規約違反行為が含まれていた場合除き）。
次回のシナリオガイドにつきましては、全文今回のリアクション末尾に掲載いたします。

■立ち位置について
【シャンバラとヴァイシャリー家への忠誠心の強い実力者、雇えそうな方】につきまして
※以下のいずれかに確実に該当する場合立候補可能です。行動がかなり制限されると思われますので、決っしてお勧めはしません！
・『離宮調査隊叙勲者』『温泉合宿終了テスト優秀合格者』のどちらかの称号をお持ちの方
・シナリオに参加している上記称号所持者から推薦された人物（素行に問題のない人物に限ります）
・シナリオ「空に架けた橋」のリアクションで、ミーティング後にゼスタに呼び止められた方
・女王復活の儀式に協力した神子。もしくはそのパートナー
・離宮を封じた６騎士（ソフィア除く）。もしくはそのパートナー
・６騎士の部下だったとリアクションで描写されている人物。もしくはそのパートナー
・トータル２年以上百合園生で川岸のシナリオで堅実な活動をされいている方

【既に敵に捕まっているとする】
かなりひどい目に遭っても大丈夫な方限定でＯＫです。
シチュエーションはご指定いただけず、自由な行動も殆ど出来なくなります。

【巻き込まれたい】
巻き込まれ参加を望む場合は、どんな理由でどこ（ガイドで取り上げられている場所）を訪れていたのかを、アクション欄にお書きください。
どの事件に、どんな風に巻き込まれるのかはご指定いただけません。また、ＮＰＣに呼ばれていた、ＮＰＣの依頼で訪れたなど、ＮＰＣの行動を指定することも不可能となります。
どの程度酷い目にあっても大丈夫かも、併せてお書きいただけましたら幸いです。

■接触可能なＮＰＣについて
今回は、ガイドに登場しているＮＰＣ以外では以下のＮＰＣのみアクションで絡んでいただくことが可能です。
神楽崎　優子（東シャンバラのロイヤルガード宿舎で寝込んでいます）
アレナ・ミセファヌス（西シャンバラのロイヤルガード宿舎で寝込んでいます）
桜谷　鈴子（優子の看病をしています）
レグルス・ツァンダ（ガイドの酒場で情報収集をしています）

白百合団についての説明や、ガイドの補足につきましては川岸のマスターページでご確認ください。

それでは、皆様のアクション、緊張しながらお待ちしております。
攻略本の存在しない文章ロールプレイングゲームのスリルと楽しさを、お伝えできましたら幸いです。

・巻き込まれる！（白紙対策）

・ダークレッドホールに近づく

・ヴァイシャリー家でミケーレと相談

・〜の見舞いに行く