百合園女学院

「夏休み、かぁ……」
　自室で一人、レモ・タシガン（れも・たしがん）はぼんやりとカレンダーを眺めていました。

　オペラハウスでの騒動は解決しましたが、あれ以来、どうしても塞ぎがちなままです。
　こんなことではいけないとわかっているし、学校で友人や先輩と過ごす日々を楽しく思う気持ちはあれど、ふとしたときに、息苦しいような気落ちを感じてしまうのでした。
　そのせいか、夏休みだというのに、とくになんの予定もレモにはありません。

　そんな、ある初夏の午後のことです。
「旅行に行こうぜ」
　カールハインツ・ベッケンバウワー（かーるはいんつ・べっけんばうわー）が、レモの顔を見るなりそう切り出しました。
「え？」
「お前、タシガンからほとんど出たことないんだろ。そんなんじゃ、人生経験が足らねぇって」
「それは……そうだけど」
　目が覚めてから、普通に暮らすことだけでも精一杯で、レモはここから外に行くことなど考えてみたこともありません。
　カールハインツを見上げたレモの瞳には、好奇心と困惑が同じくらいに浮かんでいます。
「俺も一緒に行ってやるし、頼めば他学校の奴も案内してくれるさ」
「そう……かな？」
　旅に出る。パラミタの、もっと他の景色を知る。
　そう思うと、なんだか、胸がどきどきするようです。
「……行きたい、な」
　ぎゅっと胸元を押さえ、レモは顔をあげました。
「ジェイダス様に、相談してみる！」
　カールハインツは頷きます。……本当のことをいえば、カールハインツは、すでにジェイダス・観世院（じぇいだす・かんぜいん）には相談済みなのでした。
「ああ、それなら……ジェイダス様も、旅行に行く予定らしいぜ？」
「そうなの？」
「なんでも、空京に有名な花火職人が来てるって話でさ。花火大会があるっていうから、そこに行くんじゃないか？」
「花火？」
「知らないのか？」
　頷くレモに、カールハインツは軽く笑って。
「じゃあ、決まりだ。パラミタのあちこちを旅行して、最後は花火大会と洒落込もうぜ」
　そう言うと、つんとレモの額を指先でつついたのでした。

「いろんなところに行かれるといいな……楽しみ！」
　ようやく、レモの夏休みが、始まろうとしています。

　今回のシナリオは、タシガンを飛び出し、各地へと舞台を移動してのお話です。
　自分の学校や、大好きな場所、アピールしたい面などを、是非レモを通じて案内していただければと思います。可能でしたら、ホームステイなどもさせていただければと思います。
　ただし、行き先につきましては、タシガンを除く、シャンバラ国内の各都市のみとさせていただきます。
　だいたいのルートとしては、タシガン→キマク→ザンスカール→ヴァイシャリー→ツァンダ→葦原島→ヒラニプラ→空京・海京　を予定しておりますが、あくまで基本プランですので、アクションによっては変更となります。

　また、薔薇の学舎の生徒さん方は、レモとカールハインツの旅行に同行することなどもできます。ただし、同行出来るのは１箇所だけですので、どこに同行するかアクション
にお書きください。

　最終目的地の空京では、花火職人の英霊、宗家花火鍵屋の初代弥兵衛がその技を見せる花火大会が企画されています。
　ジェイダスはその開催に協力もしており、盛り上がりが予想されています。
　そちらでも、夏の思い出を作っていただければと思います。

　ＮＰＣにつきましては、ジェイダスとラドゥはともに空京に向かう予定です。
　その他のＮＰＣは、基本的に登場しません。ご注意ください。

　みなさまにとって、楽しい夏の思い出が作れますように。
　ご参加、お待ちしております。

・レモに自分の学校地域を案内する

・レモについて行き、旅行を楽しむ

・空京で、花火大会に参加する