一会→十会 —雌雄分かつ時— リアクション公開中! |
シナリオガイドひとつの出会いは無限の力に! 闇の軍勢からパラミタを守れ!
シナリオ名:一会→十会 —雌雄分かつ時— / 担当マスター:
菊池五郎
* * * * * 【シャンバラ】 空京にある『プラヴダ』基地内のある一室に、契約者達が集まっていました。彼等の前に立っているルカシェンコ一等軍曹が、簡素な挨拶を済ませて本題へ入ります。 「先程『闇の軍勢』の魔法使いが、蒼空学園へ現れました。目撃者の証言から、我々はこの魔法使いをサヴァス・カザンザキスと断定しています」 サヴァスは【融解する力】という二つ名を持つ『君臨する者』の一人で、周囲に自分の気配を溶け込ませる事が出来る他、ヴァルデマールの瘴気によって、人の弱みにつけ込み言葉巧みに操る危険な男です。 そしてこの魔法使いは今、シャンバラの9つの学校のあちこちに現れ、瘴気の塊を散撒いているようでした。 「皆さんにお願いしたいのは、この瘴気の映像を撮影してくる事です」 ルカシェンコの言葉に、契約者達が揃って首を傾げている間、若い兵士が映像端末を起動させました。 「これを見て下さい。この映像に映っている部屋に、瘴気があります」 視線を誘導された画面に映るのは、ごく一般的な教室の風景です。とても危険なものがあるようには見えません。 「サヴァスが散撒いている瘴気は、学校内の備品に擬態しています。 これを確認するのに使うのが、この『鏡』です」 刺繍も繊細な柔らかい布地の袋からそっと取り出された鏡を通して映像をみると、ただの黒板消しが、闇魔法の波動を放つ禍々しい正体を現していました。 実はこの鏡は、東カナンの秘宝『グレムダス贋視鏡』だったのです。これは旅団長のアレクがとある件に使用するため、東カナン領主バァルから内密に借りていたものでした。今はその東カナンまで連絡がつかない状態で、勝手に使用する事になりますが、その辺りは領主の懐の深さを頼るほかありません。 そんな訳でルカシェンコはこのアイテムについては軍規に関わるので内密に、と言うだけで、鏡の詳細を説明をしませんでしたが、皆もそれ以上尋ねようとはしませんでした。 さて、話はまた本題に戻ります。 「サヴァスはあらゆる場所に現れ、姿を消してしまいますが、こちらのミリツァ・ミロシェヴィッチ(みりつぁ・みろしぇゔぃっち)の能力で、気配を読み取る事が出来ます。 皆さんはその位置に、破名・クロフォード(はな・くろふぉーど)の転移能力で飛び、映像を基地へ持ち帰って欲しいのです」 話が一段落したところで、ミリツァが横から口を出しました。 「先日空京大学で起こった事件を知っていて? あの事件を起こしたのがサヴァス・カザンザキスだと、アレクは言っていたわ。つまりあの事件で使われた魔法が、また使用される可能性は高い。とても危険だわ」 「撮影に行った場所で、瘴気の影響を受けた生徒に襲われるかもしれないし、最悪サヴァス本人と遭遇し戦う事になる。 それでも行くか?」 破名の問いかけに、契約者達は頼もしい表情で頷きました。その反応に、破名は系譜の子供が誘拐された事で、固くなっていた表情を僅かに崩します。 「分かった。お前達の身の安全は、俺が保証する。危険だと判断したら、即座に対応する」 その後、契約者達が瘴気耐性を強化する為に兵士達から魔法やスキルをかけられている時、破名は「手を」と、徐に自分の片手をミリツァに差し出しました。 「手を繋いでもらえないだろうか。 回路を繋がせてくれ。ミリツァを起点に座標指定できるようにして、反響で瘴気の場所がわかったその時点で飛べるように設定する」 それに、と悪魔は続けます。 「個人的な理由ですまないが、事情があり設定が変わった。調整は重ねているが精度が高すぎてやや暴走気味……俺の無意識にも反応する時がある。 予想外の場所に飛んでもリカバーは出来るが、そんな時間的ロスはしたくない。 アレクはシェリーの救出には俺は参加しない方がいいと言っていた。俺もそう思う。思うが、気持ちが追いつかない。信用が無いわけじゃない。ただ、俺はこういう状況には慣れていないからどうしても揺れる。 ミリツァは『こうでもしないと、この人はすぐに飛んで行ってしまうのだわ』と言っていた。俺はその言葉に今は甘えたい」 直接の接触は互いに一番負担にならない方法だから、と破名は申し出ます。それに未だ青い顔の破名の為に、ミリツァの存在は欠かせなかったのです。 「……斬られても俺は何も言わない」 手を繋ぐ事でアレクから受けた仕打ちを思い出した破名の言葉に、ミリツァはくすくすと笑い手を重ね、皆へ向き直りました。 丁度話は終ったところのようです。 ルカシェンコの作戦開始の言葉を聞いて、ミリツァと破名は契約者達へ手を差し伸べました。 ミリツァの片方の目が赤紫に、破名の目が銀色になり、能力発動を皆へ告げます。 「準備はよくて?」 「飛ぶぞ――!」 * * * * * 【葦原島】 北門 平太(ほくもん・へいた)は、自分の部屋で満足げにその剣を眺めていました。 完成したばかりのその剣は、朝日にキラキラ輝く刀身は波打ち、まるで水が滴るようです。平太は日本刀こそ最も美しいと思っていましたが、それに劣りません。少なくとも、彼がこれまで作ってきた武器の中で最も美しく、最も強力な武器でしょう。――あまりにいい出来栄えなので、ちょっとの間見ていたくて部屋に持ち帰ったのは、ここだけの話です。 「後はこれをアレクさんの軍の基地さんに送るだけ」 梱包の為の箱を取り出して、平太はふと柄に嵌め込まれた魔法石に目をやりました。 この石に付与された二つ名は【大気を震わせる音】という大変特殊なもので、使用出来る人間はごく限られているとアッシュは言います。そのアッシュが「彼なら……」と推した人物はアレクの部下のようです。 面識の無い相手なのでせめて体格を詳しく知りたいという平太にアレクから届いたのは、健康診断の記録という勝手に第三者に見せたらまずそうな個人情報の添付ファイルに、「ゲルマン系のキラキラ」という酷く適当な一言がくっついているものでした。 「キラキラかぁ……良く分からないけどハンサムってことだろうなあ。 きっと絵になるんだろうなあ……、実際振るっているところも見てみたいんだけど」 と、過った考えを、平太はぶんぶんと頭を振って打ち消し、箱の蓋をぴったりと固く閉じました。 その望みはイコール戦場に赴くということでもあります。 ともかくも、剣を飛空艇に乗せてしまえばそれで自分の仕事は終わり、と平太はホッと息をつきました。皆の役に立ちたいという気持ちに偽りはありませんが、これ以上、面倒事に巻き込まれたくないというのも本音です。 ところが、 「へーた! 大変です!」 ベルナデット・オッド(べるなでっと・おっど)が部屋に飛び込んできました。こういう時のパターンは二つ。ベルナデットにとってだけ大変――つまり、どうでもいい話――か、正真正銘の大事か。前者でありますように、と平太は祈りつつ、「どうしたの?」と尋ねました。 「敵が――!!」 ああ、僕は何て不幸な星の下に生まれたんだ、と平太は嘆きました。 黒髪を編み込み、豊満な胸を必要最低限の布だけで包んだその女――ファラ・ダエイは、葦原の城下町を見下ろしました。 「全てはピオ様のために……」 彼女の呟きは風の流れに溶け込み、誰かが目を向けたとき、その姿は既にそこにありませんでした――。 「おそらく、敵の目的はその剣でありんしょう」 ハイナ・ウィルソン(はいな・うぃるそん)が言いました。「飛空艇も、空港を押さえられている可能性が高いでありんす」 「じ、じゃあ、どうすればいいんです!?」 家に持ち帰らず、とっとと送ってしまえばよかったと後悔しても後の祭り。 「大丈夫。こんなこともあろうかと、秘密の抜け穴を作ってありんす。そこを通れば、誰にも知られず、目的地に着けるでありんすよ!」 「そ、それはどこですか!?」 「ミシャグジの洞窟でありんす!」 葦原島の本体であるミシャグジ。そこに繋がる筒状の竪穴の入り口は、明倫館にあるのです。 「以前、オーソンたちが三階にある社祠(しゃし)を通ってきたのを利用して、一度だけ、脱出できるようにしんした」 オルカムイに協力してもらって、と続けたのを聞いて、一体いつの間に仲良くなったんだろうと平太は首を傾げました。前回のことといい、ハイナとオルカムイが手を組んだのは間違いないようです。 「抜けた先で、引き取りの者が待っていんすえ」 話しに平太は戦闘服の軍人をほわほわと頭に浮かべますが、ハイナから次いで出たのは―― 「エリュシオン帝国のカンテミールより遣わされた龍騎士でありんす」 「龍騎士!? ってつまり……ドラゴンがきてるんですか!?」 話が更に大きくなっているのを認識した平太は目を丸くして驚きますが、ハイナは気にせずに彼を急き立てます。 「さあっ、剣を持って行くでありんす!」 「って、やっぱ僕ですかああああ!!??」 「私がいますよ、へーた!」 「いやでも、これ大きすぎて重すぎて僕には無理! ベルに持ってもらわないと!――ああっ、じゃあやっぱり僕行かないと駄目!? でも僕一人じゃやっぱり無理!!」 「ボディガードをつけるんでありんす」 「その人たちに持って行ってもらうわけには……いかないんですね……」 平太はがっくりと肩を落としました。 *** 【帝国】 エリュシオン帝国、カンテミール地方領海。 海上へ突如として現れた、巨大な魔法石――時空を歪め、魔法世界との門を繋げるその結晶体を破壊するため、契約者は海岸沿いに終結していました、が。 『この間のアプデマジワロスwww』 「まさか家具にあんなものが追加されるとはねー……ぐふっ」 直前まで車酔いに顔を真っ青にしていた馬口 魔穂香は、今回協力してくれるカンテミール選帝神代理にして『ネトゲの神』とも呼ばれるエカテリーナと、ネトゲ中毒同士気が合ったのか、ゲームの話題で盛り上がっている最中でした。 「……ええと、話を戻して構いませんか?」 そんな二人へ、ツライッツ・ディクス(つらいっつ・でぃくす)が控えめに割って入ります。 既に、馬口 六兵衛と共に現場に合流したナージャ・カリーニン(なーじゃ・かりーにん)のサポートの元、ジゼル・パルテノペー(じぜる・ぱるてのぺー)、スヴァローグ・トリグラフ(すゔぁろーぐ・とりぐらふ)と共に、魔法石の干渉への準備は殆ど終わっており、後は作戦開始を待つばかりとなっていたのです。 「俺たちが魔法石の弱体化に成功し次第、エカテリーナさん達による一斉攻撃によって破壊します。タイミングについては、俺のほうで合図しますので、よろしくお願いします」 そうして、それぞれの手順を確認しあい、ツライッツたちが干渉の最終調整に入った中、周囲を警戒をしながら遠目に魔法石を見ているハインリヒ・ディーツゲン(はいんりひ・でぃーつげん)の軍服の袖を、ジゼルが引っ張りました。 「ねぇハインツ、どうしてあんな風に無防備にしているのに、普通に攻撃しないの? イコンとかいっぱいでやったら、壊せちゃうんじゃない?」 『そんなの、とっくに試してみたに決まってるのだぜ』 純粋な問いにハインリヒより先に答えたのは、エカテリーナです。 『龍騎士やカンテミールの兵器なんかも出てったけど、攻撃を相手へ弾き返す性質があるようなのだぜ』 「Ein “Aigis”?(エーギス?)」 「Genau!(そうだね!)」 二人のやり取りに何人かが首を傾げたのに「ドイツ語です」とツライッツが補足した。 「皆さんに馴染みのある発音なら、アイギス、あるいはイージス――ギリシア神話において主神ゼウスが女神アテナに与えたと言う、ありとあらゆる邪悪・災厄を払う盾、ですね」 「盾か……。でもその絶対の防御力は奪い取れる。 魔法石へ干渉、弱体化ってのはつまり、その機能を完全に無効化――」 そうナージャが説明を引き取った時です。 「なーんて、そんな簡単に、させるわけないじゃん?」 鼻で笑うような声をして、時空の歪みから現れたのは『君臨する者』の一人、ピオ・サピーコでした。 その後に続くようにして、亜人の群れが、ぞろぞろと歪みから弾き出されるように現れました。 「……やはり、そう簡単には行きませんか」 「そうだね」 ここへ来るとある程度予想の上だった、とばかりのツライッツの言葉に、ハインリヒが応じました。既に、ピオに対抗すための武器が、葦原で作られてその到着を待つばかりとなっているのです。 ハインリヒは剣を交えてすらいないのに勝ち誇った顔のピオを見て、くっと喉の奥を震わせ、妹に提案しました。 「ジゼル、ご挨拶しようか」 「でも……」 「大丈夫だよ。今君の前には誰もいないし、一回くらい失敗しても、アレクも目を瞑ってくれるんじゃない?」 適当な言い訳を考えているハインリヒに、ジゼルはにこっと笑って歌を紡ぎます。彼女の歌に兄の声が重なると、契約者たちに紛れて組み上がっていた列車砲から発射されたエネルギー体が、兵器セイレーンの制御の出来ない凶暴な音波に重なり、闇の軍勢を貫きました。 「行くわよ皆!!」 砲撃は合図になり、魔穂香と契約者たちは亜人の群れへ武器を手に突っ込んで行きます。 魔法石へ干渉する者たちを守る為にその場に留まっていたハインリヒは、ツライッツへくるりと振り返ると、愛する人の手を取り恭しく口付けます。 「僕の名誉にかけて、君には指一本触れさせない」 「〜ッ! なんだよあの余裕は! 馬鹿にしてんの!?」 ふいの一撃と魔穂香達の勢いに気圧され、ピオは「あの女もあの女だ」と落ち着き無く戦場を見渡します。 「あんなトロそうなチビから武器をぶんどるのに何時間かかってんだよ!? あの女オレの命令だってのに、モタモタしやがって!!」 本来なら、自分の手足として契約者を蹴散らすはずの自分の駒――ファラが、葦原に向かったきり中々戻ってくる気配がないのです。 苛立った様子で爪を噛むピオの耳に、直接響いてくる声が有りました。 [ケツを出せ糞餓鬼。俺が教育しなおしてやるよ] 瞳に飛び込むハインリヒの好戦的な笑みと、耳を支配する契約者達の勇ましい声に、ピオは深まる苛立ちをぶつけるような勢いで亜人たちへ喚き散らすのでした。 *** 【カナン】 東カナン首都アガデ、領主の城の城壁に立ち、南カナン領主シャムス・ニヌア(しゃむす・にぬあ)は吹き上がってくる下からの風に桃色の髪をはためかせながら断崖を覗き込んでいました。 「火矢を」 彼女の求めに応じて弓兵の1人が火矢を手渡します。キリキリと引き絞り、放たれた矢は空を一直線に飛び、飛速を失い地に落ちるまで敵の姿を照らし続けました。 果てなく続くかのような人の頭。しかしそれはどれもつるりとしており、ガラスのように透明な人形たちです。剣や槍、弓を持ち、身じろぎひとつせず整然と続く様子は、見る者によるでしょうがまるで兵馬俑(へいばよう)を連想させます。 これが敵の兵隊でした。 突然上空に現れたヴァルデマールの部下、君臨する者イシドール・ラドゥカンが、アガデを金剛石のドームで覆うと率いて来た金剛の人形達でまたたく間にアガデを掌握してしまったのです。偵察兵によると、一般民たちはそれぞれ自宅にこもっているということでした。敵兵は人形で、人間のように略奪を行ったり無駄な殺戮といったものを好まないことが幸いしました。――もちろんその代償として、彼らの一糸乱れぬ進軍は驚異的なスピードで行われたために、アガデ西方にある軍舎とは完全に両断されてしまったわけですが……。 向こうには今朝方上将軍のトゥーレン・アズィールと騎士団長のオズトゥルク・イスキアが少数の騎士を率いて向かったのですが、以後何の動きもありませんでした。彼らが無事たどり着けたのかも不明です。 「シャムスどの」 じっと火矢の消えた方角に見入っていた彼女に、後ろから声をかける者がいました。 「これは、タイフォン卿」 そこにネイト・タイフォンの姿を見て、シャムスはさっと軽く頭を下げます。そして彼から聞かされた内容にシャムスは踵を返すと、一気に城壁を駆け下りていました。 「セテカ! おまえ何を考えている!!」 バン! と扉を押し開き、室内へずかずかと歩を進めます。その先には彼女の婚約者で東カナン12騎士のセテカ・タイフォン(せてか・たいふぉん)がいて、ベッドの縁に腰かけた格好で腹部に包帯を巻いていました。足元の床には替えられたばかりの血で汚れた包帯が落ちています。 彼は数度に渡るイシドールの人形たちの攻撃から城を守る戦いのさなか、わき腹をえぐられていました。すぐに手当てを受け、命に別状はない傷とはいえ、浅くもありません。 「そのけがで、特攻隊の先鋒につくだと!?」 「早いな。もう聞いたのか」 「なにをばかなことを! けが人は後ろに下がって、そういったことはほかの無傷なやつに任せればいいんだ!」 シャムスに頭ごなしに叱られて、セテカは苦笑しました。彼女の言うことはもっともなのですが、そうもいかない事情がありました。 「しかたない、圧倒的に人手が足りない。無傷のあいつらよりまだ今のおれの方がマシだ」 それもまた事実で、シャムスはぐっと言葉に詰まります。 包囲された当時、城にいたのは約300名ほどの騎士と100名弱の兵士でした。疲れを知らない人形たちの波状攻撃は苛烈で、すでに死者が多数出ており、負傷者はさらにその数を上回って、軽傷者を含めて動ける者は今では150名に満たない状況です。この人数では到底城を守りきれず、おそらく次に同じ攻撃を受ければ落城は免れないでしょう。 この事態に、東カナン領主バァル・ハダド(ばぁる・はだど)は苦渋の決断を迫られました。 開城(降伏)か、それとも敵の総大将であるイシドールへ総攻撃を仕掛けるか。 しかし開城は選べず、バァルは自身も出陣しての総攻撃を選びました。なぜなら、敵の目的の1つには―― 「バァルがそちらを選んだのは分かる。おれも、おまえの像など見たくないからな」セテカはそっとシャムスを引き寄せました。「戦利品としてやつの城を飾るなど、考えただけでぞっとする」 イシドールは美女を金剛石化することに愉悦を感じる男で、シャムスやアナトも目をつけられ、すでに金剛石化されて連れ去られたイナンナ・ワルプルギス(いなんな・わるぷるぎす)や神官 ニンフ(しんかん・にんふ)のように彼女たちも金剛石化して彼の城を飾る装飾品にしてやろうと宣言をされていました。 「とんだ悪趣味だが、まあ、そのおかげで女神さまと神官さまが砕かれたりせず無事でおられるのは分かった」 「しかしだからといって――」 「主君が打って出るというのに、騎士がむざと残れるか。――大丈夫。必ず戻ってくる」 「……当たり前だ! 死ぬ前提で行く気でいるならぶん殴ってでも行かせん!!」 「ははっ。だよなあ。 おまえには、城からの援護と兵の指揮を頼む」 セテカはシャムスの頭を抱き込んで、ふうと息をつきました。「必ず」などという保証は世界のどこにも存在しないと、2人とも知りながら……。 「子どもたちを頼む」 同刻、バァルもまた自室で妻アナトと向き合い、そう告げました。 「いざとなれば助けを呼びに行ったハワリージュのように地下の抜け道を通って外壁まで行き、あの壁を抜けてシャンバラを頼れ」 アナトは「わたしも戦います」と言うように、一心にバァルを見つめました。彼女はこの国の領母で、その覚悟を持ってバァルと結婚しました。その自分がこの都の人々を見捨てて1人逃亡するなど、考えられないことでした。ですが、今はその心をねじ曲げてでも守らなくてはならない存在がいました。 2人の子ども、エルマスとアルサイードはまだ生後間もなく、人の助けなしには食事をすることもできません。 「子どもたちにはきみが必要だ。きみたちが無事と思えば、わたしも心置きなく戦える。 それに、これはもしものときだ。決してわたしたちは勝算もなく出るわけではない」 しかし魔法を操る謎の男を相手にその確率は低く、籠城は限界だということからの特攻であるのも間違いないのでした。 明日特攻隊として出る騎士たちの大半は、二度と城に戻ることはかなわないでしょう。そのうちの1人がバァルでないと、だれが言い切れるでしょうか。 「……分かって、います……」 アナトはそっとバァルの胸に手をあて、肩に顔を押しつけました。泣き顔を隠そうとしたのでしょうが、じわりと服に染み込んでくる涙にバァルにもそれと悟れて、彼女の腰に手を回します。 もはや互いに言葉として告げるものはなく。ただ黙って、互いに腕を回していました。 「なあザルバ。おまえはオレの元へ嫁いで本当に幸せだったか?」 人気のない広間にぽつんと1人立って、西カナン領主ドン・マルドゥーク(どん・まるどぅーく)はつぶやきます。彼が見上げている先にある物、それは金剛石化された彼の妻ザルバと娘メートゥの姿でした。 イシドールの襲来で、急ぎ城内へ避難しようと階段を駆けあがっていたときメートゥが段につまずいてしまったのです。マルドゥークの目の前で、娘を助け起こそうとするザルバと、そしてやはり反対側から手を差し伸べたエンヘドゥ・ニヌア(えんへどぅ・にぬあ)が光の直撃を受け、金剛石化してしまいました。 彼女たちのこの姿は、マルドゥークにかつての日々を思い出させます。神官ネルガルの反乱によって彼女たちは人質にとられ、長く石化刑に処されていたのでした……。 「あれから2年……いや3年か。たった3年しかおまえたちに自由をやれなかった……また石像に逆戻りだ。それもこれも、おまえたちを守るはずのオレが不甲斐ないばっかりに……!」 ダンっと横の柱にこぶしをぶつけ、マルドゥークは行き場のない憤りに全身を大きくわななかせます。 「絶対におまえたちを元に戻してやる。たとえあの男と、刺し違えることになろうともな……!」 ふつふつと煮えたぎる怒りを声ににじませて、マルドゥークは2人の像に誓ったのでした。 月が雲間に隠れたうす闇のなか、ハワリージュ・リヒトは懸命に森の小屋を目指して走っていました。彼女は空京大学に通う交換留学生ですが、自国領主の初子生誕祝いに帰国していたところで今度の事件に遭遇しました。そして準騎士でもある彼女は主君バァルから命令を受け、城の抜け道を通って都の外壁まで行き、地面を掘ってドームの外へ脱出したのでした。 彼女は涙を振り切って、緊急用として常備されていた森の馬小屋から引き出した馬を西へ――シャンバラへと走らせます。 「みんな、待っていて! 必ず援軍を連れて来るから……!」 *** 【魔法世界・城内】 闇の軍勢に誘拐され、囚われていた契約者達。高天原 姫子の魔法によって牢獄から脱出した彼女達は、監視の隙間を縫って牢獄のある地下から地上へと移動していました。 しかし闇雲に歩けども外に出られるような場所は見つからず、明り取りらしい天窓を見上げて、シェリー・ディエーチィ(しぇりー・でぃえーちぃ)は自分の心へ問いかけます。 「暗いわ。もう夜なのかしら。昼の明るい時間に捕まってから、時間もそれ程経っているようには思えないのに。 ねぇ、今何時なのかしら? 院の皆はどうしているの? 1日とか3日とか経ってたりするのは嫌よ」 自分の不安の度合いを示すように右手首のシルバーリングを左手で縋るようにさするシェリーに、姫子は首を横に振って答えます。 「以前豊美達が魔法世界の採石場に囚われた時の話は聞いていたが……、 魔法世界の時間は、地球やパラミタと大きく異なるようだ。外が暗くとも、パラミタが何時かは分からぬな」 経験した事の無い出来事に不安を覚え、シェリーは自らの肩をそっと抱きしめました。 (嫌だわ。妙に寒くて……胸もドキドキして、息苦しい) と、押し寄せる不安を包み込むように、暖かい感覚が背中からやってきます。 「廊下が暗いのは、『瘴気』の所為だと思うのです」 ぱたぱたと駆け寄ってきたのはハルカ・エドワーズ(はるか・えどわーず)でした。彼女の笑顔にシェリーの強張っていた身体が和らぐのを見て、姫子が得心している間、ハルカは説明します。 「空京大学の事件の時にも、廊下がこんな風に暗くなっていたのです。それは瘴気の影響だって、アッシュさんが言っていたのです」 「成る程な。どうりで皆、様子がおかしい訳だ。軽くなら私の魔法でも回復する事は出来るが……」 姫子はそう言って、ちょこんと首を傾げているハルカを見つめます。 どうやら彼女自身はっきり自覚していないようですが、ハルカは瘴気の持つ悪しき力を清浄化する守護結界を備えているようでした。 「ハルカの傍に居れば問題はなかろう。 しかし目で捉えられる程敵の気を感じると言うのも厄介だな。どうにか出来ないものか……」 考え込む様子を見せる姫子の隣で、シェリーがハッと何かを思い出しました。 「そうだわ! 彼女が言っていたあれってそう言う事だったのね!」 あれでそれ。自己完結した言葉に、皆が彼女の顔を見ると、シェリーは急に気恥ずかしくなりながら、魔法世界へ捕らえられたときの話を詳しく始めました。 シェリーが捕らえられたのはそもそも、闇の軍勢が彼女の保護者である破名を利用しようと考えての事です。 しかしパラミタの何処か見知らぬ場所で、待てども待てども破名が迎えに来る事は有りませんでした。サヴァスの行動が何らかの罠だと分かっていたシェリーは逆に安心しましたが、日が暮れ始めるとサヴァスは痺れを切らし、彼女を連れたまま次元の穴へと飛び込んでしまったのです。 「気付いたらこの……お城の中に連れてこられてたのよ。それで衛兵みたいな人に引き渡れた時に……」 彼女と衛兵の前に現れたのは、シェリーが舞踏会で見かけた少女マデリエネ・ビョルケンヘイムだったのです。 マデリエネはシェリーを一瞥し、衛兵に言いました。 「あらあら、その女をどうするつもり?」 サヴァスに命じられた通り、衛兵は処刑すると答えます。シェリーの心臓は凍りますが、マデリエネは衛兵の言葉を鼻で笑い、自分についてくるように命じました。 「だめよ、いけないわ。折角パラミタの女を捕らえたのだから、簡単に殺すなんておばかさんのやることよ。 利用の仕方は私が考えてあげるから、それまで地下牢獄にでも放りこんでおきなさい」 「しかしマデリエネ様」 反論しかけた衛兵に、マデリエネは歩きながら話しを続けます。折々で、マデリエネの瞳は、シェリーの方を向いているようでした。 「いくら不思議な力を持ったパラミタの人間と言っても“ヴァルデマール様の瘴気が溢れたこの城で、好き勝手をする事はできないわ”。 “瘴気へ耐性がある私達闇の魔法使いを除いて、普通の魔法使いや契約者達は、この気に体力と精神力を蝕まれ、ヴァルデマール様に膝を折る事しか出来なくなってしまう”。 そうね……“この世界に瘴気を溢れさせている原因『滅びの源流』を、『始祖の水』から取り出せばそれは可能”でしょう。 けれど、“そんな事を出来る人間はこの世界には存在しない”わ。 始祖の水と滅びの源流の管理は、ビョルケンヘイム家の長女、このマデリエネが担っているのだから」 話が終るその時、シェリーはその目で見たのです。 噴水のような場所から、禍々しい闇の色が混ざってこんこんと水が湧き出ている光景を。 「きっとあれが瘴気の原因よ!」 結論づけるシェリーの言葉に、皆が沸き立ちます。しかし姫子はどこか釈然としません。 「その女、何故そんな風に情報を与えるような真似を……。罠ではないのか?」 「罠じゃないのです!」 はっきり言うハルカに、姫子が何故と問いますが、ハルカは言い淀むようにしながらも意思を曲げませんでした。 「上手く言えないのです。 でもハルカが会ったときも、マデさんは……何だか、様子がおかしかったのです」 「ふむ……。良く分からないが、意図を考えている時間は無さそうだ。 今はその言葉を信じて行動する他ないだろう。シェリー、『始祖の水』までの案内を頼めるか?」 シェリーは頷いて、あれ、と動きを止めました。 「でも『滅びの源流』をどうやって取り出せば良いのかしら?」 「マデリエネは“そんな事を出来る人間はこの世界には存在しない”と言ったのであろう。 つまり、パラミタには存在し得る。という事だ」 言って、姫子はハルカを見ながら笑うのでした。 *** 【魔法世界】 小指の指の爪よりも細かい古代文字が薄ぼんやりと発光し、それが縦横斜めと幾つも連なり太い柱を形作ったものが、契約者の左右に等間隔に並び、どこまでも伸びています。 間に入ると頭上では、文字から伸びた光が複雑に絡み合いオーロラのように輝いて見慣れた空の青色を塞いでいました。視界には柱と光りしか映らず、延々とどこまでも続くかのように思えたその道がふっつりと消えると、そこはもうパラミタでは無いのです。 鬱蒼と生い茂る木々の合間の向こう、小高い丘の上にそびえる城。 地球の中世ヨーロッパのデザインに似たその外見は漆黒で、その周囲もまた闇色の――瘴気の霧に包まれていました。 「……僕がまだ幼かった頃に見た時は、ここまで禍々しいものは感じなかった。 今は……あの時とは全然違う」 記憶の底にうっすらと残る城は、同じものである筈なのに、幼い日のアッシュへ全く違った印象を残していました。 「あの城と……城主ヴァルデマールが居る限り、この世界に平和は訪れない」 ヴァルデマール支配の象徴である城をキッ、と睨みつけるようにして、アッシュは契約者達と頷き合いました。 「……ハッキリとはしませんが、まず南側の棟と東側の棟に強い魔力を感じます。 奥にももう一つ強い魔力を感じますから、おそらくここにヴァルデマールが居ると思っていいでしょう。 棟に存在する魔力と中央の魔力は繋がっているような動きをしていますので、二手に分かれてまずは棟の魔力を絶ち、中央で合流してヴァルデマールへ向かう、はどうでしょう」 城に向かい『ヒノ』を掲げていた豊美ちゃんの提案に、アッシュとアレクが了解の意思を込めて頷きました。 「昔と変わりなければ、西と北側にも似たような建物があるはずだ。……豊美ちゃん、闇の軍勢に連れ去られた人達の気配は感じられる?」 アッシュに尋ねられた豊美ちゃんが、力なく首を横に振りました。『豊浦宮』から連れ去られた讃良ちゃんの気配は、ここからでは感じ取れなかったのです。だったら、とアレクはくるりと背中を向け、下官への指示を始めました。捕虜、人質の救出をするのであれば、一般の契約者よりも日々その為の訓練を重ね、特殊な行動に特化したプラヴダ兵士の方が確実な行動が可能だからです。 「讃良ちゃんやハルカ達は彼等に任せよう。 残りの皆で二組に分かれるなら……アレクへは城の構造を僕の覚えている限りで伝えているから、僕とアレクとで分かれて――」 皆が動きを確認する間、彼等の後ろにあった『道』が閉じていきます。その場に留まるように残された文章は、各地で作戦が開始されたという根拠地の士官からの連絡で、道を作り出したディミトリアス・ディオン(でぃみとりあす・でぃおん)が送ったものです。目を通したアレクは契約者達へ内容をざっと伝え、こう続けました。 「――ディオン先生の魔法は帝国領海の魔法石の力を利用しているから、帝国の作戦が成功し門が閉じれば、時間が経つにつれ空間を繋ぐ為の魔法も不安定になる。 あの道はパラミタと魔法世界を繋ぐだけでなく、二つの時間軸を無理矢理重ね、一つに縛るものだ。 その為の紐が緩んで行けば…………、俺達はリップ・ヴァン・ウィンクルになれるな」 或は浦島太郎の物語をそれぞれ思い出し、腹の底にぞっとしたものを感じながら、早急に目的を達成しなければという気持ちが契約者達に生まれます。 そこでもう一度メッセージを振り返ったアレクは恩師の顔を思い出してふっと笑い、「おまけがついてる」とアッシュを隣へ呼び寄せました。そこには米粒のように細かい文字が円形に連なり、その中心に波紋のように描かれた多重の円が、触ってくれと言わんばかりに光を帯びています。 「アッシュさん、あなたの声を、意思を、皆さんに届けてあげてください」 豊美ちゃんがアレクの言葉を補います。どうやらこの魔法円は触れた者の声を各地へ飛ばす効果を発揮するようでした。 「……分かった」 表情を引き締め、アッシュが多重の円に触れました。ディミトリアスの魔法が彼の声を、シャンバラ、帝国、カナンで闇の軍勢と戦う者に響かせます。 「……皆さん、僕の声が聞こえるでしょうか。 僕はアッシュ・グロック、今皆さんが戦っているのは“闇の軍勢”……僕の本来の故郷『魔法世界』を支配し、パラミタをも支配しようと企む者達です。 闇の軍勢を率いているのはヴァルデマール・グリューネヴァルト。僕は奴に命を奪われかけた所を助けられ、地球で過ごした後イルミンスールの庇護を受けてパラミタで色んな事を学びました。 地球もパラミタも、僕にとっては魔法世界と同じくらい大切な故郷です。 僕に付けられた忌まわしき名、【灰を撒く者】によって引き起こされた数々の事件を、地球とパラミタの皆さんは解決するため力を貸してくれました。 今、僕達はヴァルデマールの居城に攻め入ろうとしています。 ヴァルデマールを倒さなければ魔法世界ばかりでなく、地球とパラミタの平和も脅かされるでしょう。 どうか皆さん、僕達がヴァルデマールを倒すまでの間、闇の軍勢に屈せず戦ってください! 皆さんの力で闇を払い、光を取り戻しましょう!」 語り終えたアッシュが大きく息を吐くと、豊美ちゃんが「お疲れさまでしたー」と労いました。それは契約者への出撃の合図となります。 「行きましょう、全ての世界に平和と安心をお届けするために」 豊美ちゃんが『ヒノ』を契約者たちへ掲げ、包み込む加護の力がこれから始まる激戦を戦い抜く力をもたらします。 内側から湧いてくるような力に後押しされ、アッシュは城の天辺に杖を向け、宣戦布告を行います。 「城を攻め落とし、ヴァルデマールの支配を打ち砕く!」 風もないのに揺れる蝋燭の灯りに照らし出された少年の横顔は、美しいのにどこか歪んで見える邪悪な笑顔でした。 王座に座るヴァルデマールは闇の軍勢へ命を送ると、杖を軽く振り二つの黒い影を喚び出します。 「――トヨミ、アレクサンダー」 膝を折り頭を垂れる闇の衣を纏った二人のシモベを見下ろし、ヴァルデマールは言います。 「お前達に見せてあげよう、新たな世界の幕開けを。 【完全なる者】ヴァルデマール・グリューネヴァルトの、支配の美しさを……ね」 担当マスターより▼担当マスター ▼マスターコメント
本シナリオは、事前募集で参加者が決まっておりますが、 ************ ▼共通 今回登場するパート全てに、闇の瘴気が漂っています。こちらの瘴気はパート目的を達成しないと解除されません。 PCは時間が経つと瘴気におかされ、精神や体力を蝕まれ行動不能になってしまいます。 以下の対抗スキルをスキル1にセットすると、一定ごとに自動で使用する事が出来ます。(全体系スキルなどで、同じ場所に居る仲間を助ける事も出来ます) ・キュアポイゾン、メイドインヘブン、幸せの歌、清浄化 護国の聖域、聖霊の力、オープンユアハート▽ マインドシールド、浄化の札、聖者の導き *** 【シャンバラ学校】 担当GM:保坂 紫子 ▼パート目的 シャンバラの9つの学校にサヴァスが現れ、学校の備品に擬態した瘴気の塊を散撒き始めました。 PCは瘴気の影響を受け襲ってくる生徒達から逃れながら、指定された場所を映像に収めて基地へ持ち帰って下さい。(撮影の為の映像機器は配布されているものとします。装備の必要はありません) また、ある程度の回収が済んで瘴気が薄くなっていくと、ミリツァと破名の能力で、サヴァスの位置を固定する事が可能になります。 PC同士で協力し、サヴァスを倒しましょう。 ▽敵NPC 『サヴァス・カザンザキス』 9つの学校に瘴気の塊を散撒いています。瘴気を置く際は姿を現しますが、直後に気配を消してしまう為、ミリツァにしか気取られる事はありません。 しかし、瘴気の影響が薄くなると、魔法力が低下。位置が固定され、自由に姿を消す事が出来なくなってしまいます。 融解する力: その手で触れたものの輪郭を融解させてしまう能力 武器を溶かし、魔法の効果を完全に消すことができ、最悪の場合人体をも溶かしてしまう 空気も「触れる」範囲内にあるため、手から数メートル先までは留まっていると、ゆっくりとではあるがその能力の効果を受けてしまう 『生徒達』 瘴気の影響を受けた契約者の生徒達。サヴァスの誘導により、PCを敵とみなして襲ってきます。 瘴気の影響を取り除く事もできますが、校内には瘴気の塊があるので、一時的なものにしかなりません。 ▽味方NPC 『破名・クロフォード』 PCを瘴気の有りそうな場所へ飛ばし、一定時間後に、基地へと戻します。 転移:瞬間移動能力。任意の場所へ自分や他人を飛ばす事が可能。 『ミリツァ・ミロシェヴィッチ』 サヴァスの気配を追いかけ、瘴気の大凡の位置をPCに伝えます。また、瘴気の影響が薄くなると、破名との協力でサヴァスの位置を固定する事が可能です。 反響:微弱な波動を響かせる事により、返って来た情報で、位置を特定出来る能力。 『プラヴダ兵士』 皆さんが持ち帰ってきた映像をグレムダス贋視鏡で確認。回収後、瘴気を取り除きます。 *** 【葦原島】 担当GM:泉 楽 ▼パート目的 平太が鍛えた剣は、【大気を震わせる音】の二つ名を付与した魔法石を嵌め込んだ【風を喚ぶ者】へ対抗する為のいわば切り札です。これを空京のプラヴダの基地へ送る予定でしたが、ファラの妨害が入ってしまいました。更に帝国では戦いが起こり、早急に取り次ぎの龍騎士に届ける必要が有ります。 具体的な目的は「ミシャグジの洞窟を三階まで下る」ことです。三階に社祠があるので、そこに到着できれば、作戦は成功とします。 ミシャグジの洞窟は、円形の筒をすっぽり埋め込んだ形の、竪穴です。壁に沿って、螺旋状の階段が彫ってあり、頭より高い位置に、一定間隔で提灯が設置されています。 下へ行く途中途中に橋がかかっており、石灯籠と社祠があります。地下四階までは、ほぼ同じ作りになっていますが、今回はその下については関係ありません。ただし、落ちることもあるのでご注意を。 ▽敵NPC 『ファラ・ダエイ』 ピオの命に従い、葦原島に現れました。 二つ名の能力でピオに【応え】、心と身体、魔法力のセーブを外した状態で剣の破壊を狙っています。 風に応える者: 通常使用は風魔法。応えるの力でセーブを外した状態で動く事が出来る。 『傀儡』 洞窟に現れる忍者です。ミシャグジのエネルギーを栄養分に、土から無限に現れます。灯篭の火を消せば土くれに返りますが、周囲が暗くなって下に落ちるかもしれません。三階だけは現れません。 ▽味方NPC 『北門 平太』 戦力になりませんが、おそらくパートナーの奈落人、宮本 武蔵が憑依して戦うことになるでしょう。 『ベルナデット・オッド』 剣を持っている為、最低限彼女を目的地に連れて行く必要があります。 (目的達成のために平太を置いていく事は出来ますが、しかしベルナデットは、平太を置いていけないでしょう) *** 【帝国】 担当GM:逆凪 まこと ▼パート目的 エリュシオンの海上に現れた巨大な『魔法石・アイギス』が、魔法世界から『闇の軍勢』をパラミタ中に送り込んでいます。アイギスを破壊して、敵の進撃を止める事が目的です。 魔法石を弱体化させるためツライッツ、ジゼル、トリグラフ、そして機晶姫とギフト達は魔法石へ干渉を試みており、そのサポートを行っているナージャ博士も共に、無防備な状態となっています。魔法石が弱体化し攻撃可能になるまで、亜人達の妨害から、彼らを守る必要があります。 また、ピオを倒すためには、葦原からの武器の到着を待たなければなりません。 こちらが到着次第ハインリヒが『喚ぶ』能力を無効化するため、ピオを倒すことが可能となります。 こちらのパートでPCは、魔穂香達と共に『ピオ・亜人たちと戦う』行動、ツライッツ達と共に『魔法石に干渉する』行動のどちらかを取る事ができます。 (MC、LCが同一の行動を取る必要はありません。また、魔法石に干渉出来る種族は、機晶姫とギフトのみとします) ▽敵NPC 『ピオ・サピーコ』 ピオの能力が判明した後、平太は葦原で「特別な武器」を作成しました。これを使用しピオの能力を無効化すると、ピオは風魔法を使えるだけの魔法使いと化し、亜人達の統率が取れなくなります。 風を喚ぶ者: 『喚ぶ』の単語で、相手の内部(心)に直接声を響かせる事が可能。声は干渉力を持っており、抵抗に負ければ声のとおりにさせられてしまう。 ピオはその能力によって亜人たちを支配している。 『亜人』 ピオに操られてはいますが、元々人語を解さないため、説得は不可能です。単体はたいした力はなく、ある程度の契約者であれば一対一で負けることはありません。 ですが、亜人たちは相当な数で襲い掛かって来る上、魔法石が存在している限り、門を潜って次々押し寄せてきます。 ▽味方NPC 『ハインリヒ・ディーツゲン』 ツライッツ、ジゼル達の守りを優先しているため、積極的には前へ出ません。 葦原から武器が届き次第、ピオの攻撃を無効化させるために動きます。 『馬口 魔穂香』 ネトゲ中毒魔法少女。魔法少女団体『INQB』の代表……一応。 契約者と共に、亜人たちと戦います。 『馬口 六兵衛』 魔穂香の相棒。『INQB』の管理責任者。巻き込まれ体質なのはとっくに理解している模様。 パートナーとして、魔穂香と行動を共にします。 『ツライッツ・ディクス』 先日、魔法石から機晶石へ干渉を受けた際に取ったデータを使い、魔法石へ逆干渉を行います。 リミッターを解除し、ハインリヒから預かった『アクアマリンの欠片』の力も使っているため目が紫に発光しています 今回は、干渉へ全力を注いでいるため、全くの無防備です。単身では身体への負担がかなり大きいため、ジゼルたちの援護を受けていますが、それでもギリギリといった所です。 『ジゼル・パルテノペー』 アクアマリンの欠片の力を引き出せるものとして、ツライッツのサポートとして魔法石への干渉を行います。 パートナーが不在で特殊能力は扱いきれない為、攻撃などは行いません。 『トリグラフ』 ジゼルと同じく、ツライッツのサポートとして魔法石への干渉を行います。 ギフトである彼らは、ある程度は自衛行動が取れるようです。 『ナージャ・カリーニン』 専門家として、干渉パターン補正などツライッツ達のサポートをしています。 *** 【カナン】 担当GM:寺岡 志乃 ▼パート目的 突然現れたイシドール・ラドゥカンによって、アガデの都は金剛石でできたドームに閉じ込められてしまいました。 イナンナ、ニンフ、エンヘドゥ、ザルバ、メートゥを次々と金剛石化したイシドールは、ヴァルデマールの魔法によって動く力を与えられた金剛石の人形を引き連れた城を包囲しています。 敵の圧倒的な数に追い込まれたバァルたちは残る戦力を結集し、特攻隊を組織しました。バァル、セテカ、マルドゥークほか30名ほどの騎士でイシドールの元まで切り込んでいくつもりです。 シャムスは弓隊を指揮してその援護に回るほか、ネイトたちとともに、城を攻めてくる金剛人形たちへの迎撃の指揮をとります。 また、オズトゥルクは軍舎へたどり着いて歩兵2000人と合流していますが、金剛人形たちに阻まれて思うように城へ戻ることができなくなっています。 こちらのパートでは、それぞれのNPCたちとともに戦うことが選択できます。金剛人形あるいはイシドールのどちらを相手にするか選択し、戦法を考えてください。 ※尚、ドームへはハワリージュが掘った穴から侵入するものとします。 魔法世界とヴァルデマールに纏わる戦いについては、以前プラヴダと豊浦宮から東カナンへ連絡が行っており、ガイドに登場するカナンのキャラクターも敵が何者であるかは把握しています。 ▽敵NPC 『イシドール・ラドゥカン』 赤毛、緑の瞳をした、筋肉質の大男です。豪放磊落、タフなおっさんで、冗談を解し、よく笑う快活な性格です。普通に話をする分では好感を持つ人も多いでしょう。 しかしその趣味は、美女を金剛石の像に変えること。城を陥落したあかつきにはエンヘドゥやザルバのみならずシャムスやアナトも石化して、自分の城に飾ろうと考えています。 彼を倒さなければこの石化は解除されません。 金剛の皮膚: 己の肉体を金剛石のごとく固く強化し、どんな刃物も通しません。 『金剛人形』 イシドールが生み出した金剛石の人形です。イシドールほどではありませんが、やはり固い体をしています。 造形は全く同じで、個体の見分けはつきません。ヴァルデマールの力によって動いているだけの人形で、痛覚や感情は無く、会話も不可能で、ただ命令に従って城を攻めたり敵に攻撃をします。武器は剣、槍、弓です。痛覚がないので動ける限り動いて襲ってきます。数は相当数です。 イシドールが倒されれば、土くれに戻ります。 ▽味方NPC 『バァル・ハダド』 特攻隊にいます。並外れた反射神経、驚異的なスピードによる攻撃を得意としているのですが、今回は金剛人形たちによって周りを囲まれ、動けるスペースがあまりないため苦戦しそうです。 『セテカ・タイフォン』 特攻隊の先頭に立ち、ほかの騎士たちを指揮、鼓舞しながら金剛人形たちに切り込んでいきます。脇腹を負傷しており、戦闘が長引けば長引くほど死亡フラグが顕著になるでしょう。「おれ、これが終わったら結婚するんだ……」 ← 『ドン・マルドゥーク』 セテカとともに先頭に立って、雄々しく切り込んでいきます。妻と娘を取り戻すため、己の身をかえりみない、無茶な戦闘をしています。 『シャムス・ニヌア』 弓兵を指揮して特攻隊のサポートをしています。また、城を攻めてくる金剛人形たちの進行を阻もうと、城に残った人たちとともに防衛戦をします。 『アナト=ユテ・ハダド』 双子たちとともに奥宮にいます。双剣の使い手として戦いたいのはやまやまですが、産後で無理がききません。防衛戦をしている召使いたちに指示を出しています。 『オズトゥルク・イスキア』 兵士たちとともに城へ戻ろうとして、金剛人形たちと戦っています。 『東カナン12騎士ほか』 カイン、カファサルーク、シャウル、イェクタネア、ゼス……特攻隊にいます。 フェネル、エルシャイド、ミカーティー、ミフラグ、エシム……城で防衛戦したり、そのサポートをしたりしています。 ネイト、アラム……城内で、負傷していても動ける騎士たちに防衛戦の指示を出しています。 『エンヘドゥ・ニヌア』『ザルバ』『メートゥ』 金剛石化して、奥宮の広間に安置されています。 『イナンナ・ワルプルギス』『神官 ニンフ』 金剛石化して、イシドールの陣営を飾っています。 *** 【魔法世界・清浄化】 担当GM:九道 雷 ▼パート目的 魔法世界に誘拐され地下牢獄に幽閉されたPCは、姫子の協力によって脱獄し、城の地上階を彷徨っていました。 現在魔法世界は『始祖の水』の中に『魔法石・滅びの源流』が投げ込まれた結果、瘴気によって、汚染されています。これは魔法世界の人間は、ヴァルデマールに従う原因の一つとなっているようです。 そこでPCはマデリエネの言葉を信じ、脱出より先に瘴気を取り除こうと行動する事になりました。 『始祖の水』の場所はシェリーが記憶している為、彼女について行き、ハルカの守護結界による清浄化によって滅びの源流を取り出す事が目的です。 しかし城の中ではマデリエネの夢の誘惑から逃れながら、闇の魔法使いを退ける必要が有ります。更にシェリーとハルカは戦力にならない為、PCは姫子と共に二人のサポートを行う事になります。 PCはハルカ達と別行動を取る事も可能ですが、瘴気の解毒をこまめに行わないと、瘴気に完全侵され精神を肉体を蝕まれてしまいます。この時点で、魔法世界に救助にきたプラヴダの兵士に保護される為、その後は一切行動不能になります。ご注意下さい。 ▽敵NPC 『闇の魔法使い(衛兵)』 PCが脱出した事に気付いて追い掛けて来たものや、偶然鉢合わせたもの達です。 それぞれ『水』『土』『雷』『風』などの二つ名を持っており、その単語に則した魔法が使用できます。(ただしアッシュや君臨する者のように強力ではありません) 『マデリエネ・ビョルケンヘイム』 闇の魔法使いビョルケンヘイム家の長女。―終わりの無い輪舞曲―で、双子の妹のインニェイェルドは粛正され、殺されてしまいました。 以前は家のしきたりに従い、ヴァルデマールを妄信していましたが、現在はどこか様子が違っているようです。 ヴァルデマールもそれに気付いているようで、目を付けている為、PCの行動が派手になると彼女に危険が及びます。 始祖の水の近くで、契約者達がハルカを連れてくるのを、密かに待っています。 永続する夢: 実物と判別不可能な幻を見せる能力。 相手の望むものを見せることから、現実と夢との境を見極めることが困難です。完全に夢に堕ちてしまうと、二度と現実に戻ることはできません。 城内には彼女の魔法がかかっており、敵対する意志を持った時点で発動してしまう為、その誘惑から逃れる必要があります。 ▽味方NPC 『シェリー・ディエーチィ』 始祖の水への案内をします。戦う力を全く持っていないので、守ってやる必要があります。 『ハルカ・エドワーズ』 本人は今いち自覚していませんが、守護結界によって瘴気から同行するPCを護っています。この力によって滅びの源流を始祖の水から取り出す事が可能です。戦う力は殆どなく他、一瞬でも目を離すと迷子になってしまう可能性もあるので、注意を払う必要があります。 『高天原 姫子(鵜野 讃良)』 シェリーとハルカを護り、始祖の水を目指します。皆を守る為の防御魔法を、優先して使用します。 *** 【魔法世界・攻城】 担当GM:猫宮 烈(南)、東 安曇(東) ▼パート目的 魔法世界にやってきた契約者達は、城へ向かいました。この城の中にいる闇の軍勢を退け、ヴァルデマールを倒す事が目的です。 城では南(アッシュ・豊美ちゃん)と東(アレク)の2つのチームに分かれて行動します。 契約者を先へ行かせぬよう行動を阻むのが『闇の魔法使い』たち。 契約者を後ろから追い掛けてくるのが、南は『闇の衣を纏ったアレク』東は『闇の衣を纏ったトヨミ』です。 こちらの敵を倒すと(魔法使い達は退却させる事も可能です)、ヴァルデマールのもとへ辿り着きます。 対ヴァルデマール戦は、(上記が成功した場合)二つのグループが一緒に戦います。 また今回のバトルは劇中で時間制限がついています。アクション内の行動や目的を明確にする事が、突破の鍵になるでしょう。 ヴァルデマールは並大抵の攻撃では対抗することすらままなりません。一発、一撃にすべてを託しぶつけ、敵を屈させましょう。 ※城の外壁は魔法によって強化されている素材の為、別に壊れはしません。 ヴァルデマールの契約者を待ち受ける場所はガイドの通りですが、ヴァルデマールとの戦いは玉座の間で行われます。広いし! 壊れないし! 安心して下さい。(フレンドリーファイアだけは気をつけましょう) ▽敵NPC(共通) 『闇の魔法使い』 ヴァルデマールのもとへ向かうPCを阻む者たちです。 数は多く、それぞれ『水』『土』『雷』『風』などの二つ名を持っており、その単語に則した魔法が使用できます。戦闘に特化した使い方を得意とする戦士たちで、(契約者へ)全体攻撃も可能です。 『ヴァルデマール・グリューネヴァルト』 防御力が高く、魔法力を集め壁にして自分を守る事が出来ます。戦闘能力も圧倒的です。 また不容易に近付くと濃い瘴気によって(契約者の)精神を脅かし、肉体を操る事も出来るようになってしまうので、瘴気への対抗準備を整えて来て下さい(瘴気自動回復だけでは間に合わない事もあります)。 完全なる者: 強力な魔法使いを襲い幾つもの二つ名を奪った結果、あらゆる属性や様々な力を有するようになりました。本来は冗談のように長い二つ名を持つ彼を、闇の魔法使い達は畏敬を込め完全なる者と呼びます。 ▽敵NPC(南) 『闇の衣を纏ったアレク』 ヴァルデマールがアレクを魔法世界に捕らえた際に、彼をトレースして作り上げた闇の魔法使い。 ヴァルデマールの闇の魔法を与えられ自由に使いこなせ、古代魔法と合わせて増幅などを行います。またアレクの得意とする氷魔法との複合魔法は特に強力です。 身体については本物と同じものを持っていますが、ヴァルデマールが作った事から、肉体や武器を使用した近接戦闘は殆ど使えず、現代兵器を使用する事は出来ません。 ▽敵NPC(東) 『闇の衣を纏ったトヨミ』 ヴァルデマールが豊美ちゃんを魔法世界に捕らえた際に、彼女をトレースして作り上げた闇の魔法使い。 ヴァルデマールの闇の魔法を与えられ自由に使いこなせる他、かつてアレクの古代魔法で強化された時と、似た(コスチュームを纏い)能力を有しており、かなり危険です。 ▽味方NPC(南) 『アッシュ・グロック』 城内では契約者の道案内をするため、先頭に立ちます。 『飛鳥 豊美』 契約者をサポートし戦います。 ▽味方NPC(東) 『アレクサンダル四世・ミロシェヴィッチ』 城内では契約者の道案内をするため、先頭に立ちます。 (特殊コマンド:召還) アレクの要請によって、魔法世界にきているプラヴダのNPC(以下)が自動でPCをサポートします。アクションに名前とサポート内容をご記入下さい。 ・攻撃系:兄タロウ ・防御系:キアラ ・両方 :トーヴァ ▼サンプルアクション ・【シャンバラ学校】 ・【葦原】 ・【帝国】 ・【カナン】 ・【魔法世界清浄化】 ・【魔法世界攻城・南】 ・【魔法世界攻城・東】 ▼予約受付締切日 (既に締切を迎えました) 2014年08月07日10:30まで ▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました) 2014年08月08日10:30まで ▼アクション締切日(既に締切を迎えました) 2014年08月12日10:30まで ▼リアクション公開予定日(現在公開中です) 2014年08月29日 |
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