薔薇の学舎

　エリュシオン、ミュケナイ領首都、ルーナサズ。
　イルヴリーヒ達は、暴君テウタテスを討つことに失敗しました。
　臣下タルテュの犠牲により、撤退したイルヴリーヒ達は、重傷を負いながらも、街門を破壊していたことで、容易にルーナサズの外へ脱出することができました。
　密かに、年の離れた姉、もしくは母のようにも思っていた存在を亡くしたことで、イルヴリーヒの失意は小さくありませんでしたが、事態はそれどころではありませんでした。

　ルーナサズの民が、先公マナウィザンの息子が生きて、民の為に決起したこと、そして逆に斃れてしまったことを知り、今にも蜂起しかねないほど、テウタテスへの反感を高めていたのです。

　この情勢に、中央から派遣された龍騎士達は慎重でした。
「我々は、白輝精殿の依頼により、事実の確認と対応の為に参じたが、貴殿らの下に就いた訳ではないことを承知して頂こう」
　リーダー格らしい一人が、そう言うのです。

　もしも騒乱が起きてしまった時、テウタテスが暴動を鎮める為と称して何をするか、と、傷の治りが悪く、未だ病床のイルヴリーヒは危惧しました。
　自分の首を差し出すことで、一時的にでも、事態を鎮めることができるのなら、と。

「死に掛けたこの命ひとつ、今更惜しくもない。
　……あとは、兄上が、きっと何とかしてくださるはずだ……」

　一方、イルヴリーヒの兄、イルダーナ――キアンは、『神の如き力』を手に入れようと狙う魔女、ネヴァンの手に落ち、何処かへ連れ去られてしまいました。

　ネヴァンは現在、大陸の周囲に点在する浮島のひとつに根城を構えているようです。
　しかしそれらの小島に飛空艇の定期便はなく、勿論、小型飛空艇で行ける距離ではありません。
　ですが、追っ手が来た時に備えてキアンを『魅了』の術によって操り、備えながら、ネヴァンは『神の如き力』を継承する為の儀式を行うべく、準備を進めていました。




　また、浮き島ファリアスの領主、アヴカンは、とりあえず盗賊の襲来の脅威が去ったと判断して安堵していました。
　できれば盗まれた品を取り戻したいところですが、それは既に市井にばら撒かれてしまって不可能です。
　盗賊を捕らえて罰したいところですが、それは雇った者達のこれからの働きによるものと思っているようです。
　とりあえずの不安が去り、目下、近く立つ大きな市のことが彼の優先事項でした。
　近く、シャンバラ中央の方で大きな祭が行われるという噂があり、最果ての地である鉱山都市ファリアスにも、特需景気が訪れようとしていたからです。

　こちらのシナリオは、エリュシオンがどうのと言っておりますが、グランドシナリオには全く欠片も掠っておりません。
　世界規模のアクションを掛けても、スルーされてしまう可能性が高いですのでご注意ください。

　間が空いてしまって申し訳ありません。
　既にグランドシナリオも終了して久しいですが、今回のシナリオは、前回の直後とお考えください。まだアスコルドは戻ってきていません。

　ガイド内の「シャンバラ中央で大きな祭」とは、万博のことです。
　このシナリオでは、まだ万博は始まっておりません。

　また、ガイド内で龍騎士が「お前らの命令は聞かねえ」みたいなことをほざいておりますが、これは、どんなアクションを掛けられてもその通りに動くわけではない、という念の為です。
　使う場合は上手く使ってください。

　キアンは操られています。
　キアン、ネヴァン共に契約者ではありませんが、龍の杖『フラガラッハ』の魔力で実力が底上げされています。

　オリヴィエ博士は「やれやれ、参ったなあ」とか言いつつ、心配もしていますが、自分からは特に何をしようとは考えていないようです（自分の非力を自覚しているので）。

　ハルカは「大変なことになっちゃったのです！」と思いつつ、何かできることはないかと思ってはいるようですが何もないと思います。

　トオル、シキは、ネヴァンのところへ行ってやろうと息巻いています。


　そして今回も、扉絵に〇印アンケートにご協力くださいましたＰＣさんをセレクトして描かせていただきました。
　参加を強制するものでは勿論ありませんのでご安心ください。

　ちなみに左から、
　火村加夜、レキ・フォートアウフ、佐々木八雲、叶白竜、童子華花、キアン（ＮＰＣ）、イルヴリーヒ（ＮＰＣ）となります（敬称略）。

・テウタテスを討伐する

・キアンを救出

・ネヴァンを倒す

・ファリアスの結界を何とかする

・ファリアスの市で遊ぶ