シナリオガイド
試される絆。ドルグワント化したパートナーを取り戻せるか!?
シナリオ名:Perfect DIVA-悪神の軍団-(第2回/全3回) / 担当マスター:
寺岡 志乃
●前回までのあらすじ
ある日、蒼空学園をなぞの銀髪赤眼の少年が襲いました。少年はドゥルジと名乗りました。その肉体は「石」のような物で構成されており、それには持つ者を誘惑し、操るという力がありました。激闘の末、少年はコントラクターたちによって倒されましたが、その不思議な力を解明すべく、少年の一部が教導団の研究施設へ運び込まれていました。
後日、密林で少年が現れたとされる無人遺跡が発見され、蒼空学園生徒で組まれた調査隊が向かったのですが、遺跡から現れたなぞの少年・少女たち(ドルグワント)の襲撃を受けてしまったのです。遺跡内部へ隠れた彼らを救出するため、救出隊が組織され現地へ向かいました。
彼らが密林でドルグワントと死闘を繰り広げるなか、ヒラニプラの教導団施設ではなぞの爆発事件が起こっていました。それは運び込まれたドゥルジの石(実はアストーの石)によるものでした。
遺跡のスーパーコンピュータルドラは松原 タケシ(まつばら・たけし)の体をのっとり教導団へ侵入、アストーの石を取り戻すことに成功しました。
その際攻撃を受けて破損したアストーの石がさらに防衛信号を発信。己を護るドルグワントを呼ぶ強烈な目覚めのコールに反応したパートナーたちがばたばたと倒れていったのでした。
●遺跡(ダフマ)内部〜3階・睡眠漕室
「ディーバ・プロジェクトを止めたいのなら、簡単だ。おまえたちの力で今すぐこの俺ごと母の石を消滅させればいい。やつらが何を目論もうが、母の石がなくなれば達成はほぼ不可能になる」
よみがえったドゥルジは、彼をよみがえらせるために来た者たちに難問をつきつけました。
「そんなの、できるわけないじゃない!! 私たちはあなたを救うために来たんだから!!」
「そうか。なら自分でしよう」
ドゥルジは淡々と答え、自身の体を砕くための力を両手に集積します。
彼は、自分に存在意義を与えていた母アストーや創造主の科学者たちもいないこの世界に、もはや自分が存在する意味はないと考えており、消滅することに何の抵抗もないのでした。
ドゥルジがエネルギー弾を放出しようとしたとき。一条の光が流れて、彼の手を貫きました。
丸い穴がドゥルジの手のひらに開きます。
『勝手をされては困るな、ドゥルジ』
「その声はアンリか!? きさま、生きていたのか!?」
『わたしはルドラだよ。きみは知らないかもしれないけれど、わたしはきみのことをよく知っている。きみのデータはすべてわたしのなかにもあるからね』
声は、睡眠漕室内に設置されたスピーカーからしていました。
睡眠漕を動かしたことで、ルドラに気付かれてしまったのでしょう。
『きみがどうなろうと知ったことではないがね、その体はアストーのものだ。それを消滅されては困るんだ。知っているだろう? アストーは唯一比類なき者だ。いくらでも替えのきくきみとは違う』
「……やはり母の活性化した石がまだあったんだな。あのときの石か、俺が分離して海へ落とした…。
きさまら母をよみがえらせて、また悲しませるつもりなんだろう。そうはさせるものか!」
修復の完了した手で再びエネルギー弾を放とうとするドゥルジの体を、またもや数発のレーザーの光が貫きます。
『相変わらずひとの話を聞かない、困った子どもだ。
たしかにわれわれはアストーをよみがえらせる。彼女でなければこのダフマの力は100%引き出せないからな。そのためにはおまえのその石が必要だ。
取引きをしよう。おまえがおとなしく石に戻り、その体を渡せば、アストーを完全体にしてやろう』
「笑わせるな。科学者どもにもできなかったことを、なぜおまえが!」
『わたしはアンリにより構築された人工知能。科学者たちの研究データもすべてわたしのなかにある。科学者たちは再調整できなかったわけではない。しなかったんだ。起動した長距離型は彼女1人。ほかはすべて崩壊した。そのアストーに逆らわれては困るんでね。万全を期すために自分たちの手を必要とする存在に縛りつけておきたかったんだ。
だがそれもすべてプロジェクトのため。それがすめば彼女は必要なくなる。再調整しても不都合はない』
「……本当だな」
「嘘よ!! ドゥルジ、私たちを信じて! きっと私たちがアストーも解放してみせるから!!」
必死に訴えましたが、ドゥルジがもう心を決めているのはその目を見ればあきらかでした。
自分を崩壊させたコントラクターよりも長年一緒にいた科学者たちの力の方を彼が信じるのは当然のことです。
『さあ、こちらへ来いドゥルジ』
ドゥルジはルドラに促されるまま開いたドアをくぐり、『繭』と呼ばれる4階のとある一室で再び石に還ったのでした……。
●遺跡(ダフマ)内部〜4階・『繭』
『繭』――それはアンリ博士の研究室の別名です。そこにはルドラの本体がありました。
ドルグワントに内蔵されたカメラとリンクしたモニターに映された遺跡内部と密林内の映像では、突然苦しみながら倒れていくパートナーたちが映っていました。そしてなかには、まるでドルグワントと化したようにコントラクターに戦いを挑んでいくパートナーの姿もありました。
それまでともに戦っていた仲間が何の前触れもなく敵と化したのです。戦場は混乱の極みにありました。
そしてヒラニプラのシャンバラ教導団施設でも同様のことが起きているのがルドラの分身と化したタケシからも伝えられます。
『……そうか。アンリの呪いというわけか』
やがてルドラは得心がいったというふうにつぶやきました。
この遺跡内外で初期ナンバーのドルグワントが石に戻っていたのをルドラは知っています。何が起きたかは不明ですが、あれはアンリが開発し、3人の科学者たちだけが持っていたドルグワントの結合をほどく装置を用いた結果だというのは分かっていました。
『細かな砂利と化したドルグワントは風に運ばれ世界に散った。土と同化し、水に溶け込み、口や肌からそこに住む者の内へ入った。やがてそれは血肉となり、血を媒体として子孫に蓄積されていく。濃い者ほど優秀なドルグワントとしての特性を持ち、アストーの呼び声に反応して目覚めたというわけだ。
アンリ……きみはここまで考えていたのか? それとも、これは偶然の産物か…』
いずれにしても、ルドラにとって優秀な手駒が増えたことにかわりはありません。なにしろ遺跡内のドルグワントはGとHナンバーの一部しか起動しなかったのですから。
『とすると、わざわざあれを再結合させるまでもなかったということか。
まぁ、いい。あって邪魔になるものでもないだろう』
そして彼はかたわらで同じようにモニターを見ている人物を見下ろします。
『アストレース。もうじきアストーがここへ戻ってくるよ。きみもうれしいだろう? きみは母のように、姉のように彼女をしたっていたからね』
空調からのそよ風が彼女の銀色の髪を揺らします。
アストレースと呼ばれたその女性は、何も答えませんでした。そのかわりのように、彼女の腰掛けた車椅子がキイィとかすかな音をたてます。
それからはどちらも無言で。
モニターに映し出されている光景に見入ったのでした。
担当マスターより
▼担当マスター
寺岡 志乃
▼マスターコメント
こんにちは、または初めまして、寺岡 志乃といいます。
今回のシナリオは『Perfect DIVA−悪神の軍団−(第1回/全3回)』の続きで第2回目となります。
また、『酷薄たる陥穽−蒼空学園編−』、『酷薄たる陥穽−シラギ編−』の流れを汲んでいますが、独立した話となっていますので前作を知らなくても問題なく参加することができます。よろしくお願いいたします。
今回のシナリオは、アストーの石を手に入れた松原 タケシが遺跡へ戻るまでになります。
(アクション判定の結果、戻らない・戻れない可能性もあります)
第2回は第1回の直後から始まります。前回ご参加いただきましたプレイヤーさんは、その場所からのスタートとなります。
おおまかに「密林」「遺跡」「教導団内部」でかまいません。密林の入り口に運ばれましたPCも、目覚めて密林内部へ移動しています。
「戦わずに遺跡へ直接向かった」ということで遺跡の外壁に開けられた穴から侵入した、というアクションでもかまいません。
ただし、あまり密林で戦うPCが少ないと、そちらの排除を終えたドルグワントが遺跡へ戻ってきて排除にとりかかる可能性もあります。
今回よりご参加されるプレイヤーさんは、以下の場所のいずれかからスタートしてください。
1.密 林
皇 彼方から連絡を受けた山葉 涼司により急きょ編成された後発部隊です。
連れて行くLCはすべて正常あるいは体調不良【弱】となります。
2.遺 跡
1.蒼空学園の生徒のみ、調査隊として参加していたとして内部からスタートすることを選べます。
これは、あいさつ掲示板に書き込まれた方で、ダイス目の合計が奇数だった蒼空学園の人とします。
探索をされる場合は4階以外の階を指定してください。なければこちらで割り振りさせていただきます。
2.皇 彼方から連絡を受けた山葉 涼司により急きょ編成された後発部隊です。
連れて行くLCはすべて正常あるいは体調不良【弱】となります。
上空から侵入することになります。飛行アイテムかスキルが必要です。遺跡からエネルギー弾による攻撃を受けます。
また、遺跡はバリアを張っています。
※内部の全部の階にドルグワントがいますので、戦闘アクションがなければ捕まる可能性が高いです。
4階へ行くこともできますが、この階の攻略は難易度高です。それを踏まえてアクションをかけてください。
3.教導団内部
こちらは教導団生徒のみが参加できます。
第1回参加者から連絡を受けて駆けつけた、ということになります。連れて行くLCはすべて正常あるいは体調不良【弱】となります。
ほかの学校の方がこちらに参加された場合、教導団の敷地から出た場所(外壁)でのアクションとなります。
4.外 部
ヒラニプラから遺跡までの道中になります。
体調不良【強】でドルグワント化したLCは、遺跡あるいはタケシの持つアストーの元へ駆けつけようとしています。
彼らのあとを追って行った、となります。
●ドルグワント化したLCについて
その目的はルドラ、タケシ(ルドラ)、アストー、アストレースを護ることです。
彼らに忠実な配下の者と化しています。彼らの邪魔をする者は、たとえコントラクターであろうと排除しようとします。
パートナーロストになる、という考えは彼らにはありません。ひたすら彼らを護り、ルドラの命令に従うことのみに意識が固定しています。
MCのことは、全く記憶にないか、とるに足りない存在となっています。この設定は自由に決めてください。
スキル、アイテムは使用できます。反射速度や肉体の強度はLCのままです。思考が変化しただけと思ってください。
また、このシナリオ限定で、ドルグワント化している間だけは真空波とエネルギー弾とバリアが使えます。
ただし、バリアの強度、エネルギー弾の強さは真正ドルグワントほど強力ではありません。バリアは1種類の形にしか張れず、数度攻撃を受ければ砕けます。バリアを張っている間攻撃はできません。全身か盾型か書いておいてください。なければ盾型になります。
正気に返すことができた場合、それ以降この技は使えません。
また、精神ネットワークは構築されていませんので真正ドルグワントと意思疎通はできません。他の覚醒したLCともスキル使用か口頭になります。
ルドラから通達が出ているため真正ドルグワントから攻撃はされませんが、会話したり協力を頼むこともできません。
(ドルグワントが勝手にサポートする場合はあります)
●ドルグワントについて
第1回でドルグワントが大量に破壊されたため、ルドラはさらなる投入をします。
遺跡内部にはGナンバーが20体です。こちらは全員サバイバルナイフを所持しています。高速攻撃をし、エネルギー弾とバリアを使用します。
密林にはHナンバーが10体です。バスタードソードを所持。高速攻撃をし、真空波とエネルギー弾とバリアを使用します。
また、タケシとアストーを護るためにHナンバー10体が向かっています。教導団施設内か外部で、途中から合流します。
(こちらはアクション結果の時間経過によって変わります)
バリアは魔法・物理両方に効果があり、厚さを自在に変えることが可能で、小さくなればなるほど強力な攻撃を受け止めます。全身を覆う状態が最も薄い状態ですが、それでも中距離からの片手銃の弾丸は貫通しません。また、常に張り続けることはできず、エネルギー弾や真空波による攻撃の際は解除します。
基本的なことであれば自己判断して動きますが、自我はなく、会話はごくまれにルドラとしかしません。全員がテレパシーのような思念波でつながって常にフィードバックしており、全体を把握して敵に対処することが可能です。
●NPCの立ち位置について
タケシは教導団施設にいます。ドルグワントの指揮官として命令を出し、攻撃してきます。また、自身もドルグワントの能力を使います。ただし反射速度や肉体的強度は人間のままです。
リーレンは遺跡内部にいます。
健流は薬を投与され、遺跡内部にいます。予断を許さない状態です。
アスールは健流と一緒にいますが、本人も体調を崩しています。
山葉は校長室にいます。
彼方は地上から遺跡へ向かっている途中です。
梅琳は地下研究施設にいます。
※彼らは必ずしも登場するとは限りません。アクションがかからなかった、あるいは展開上不必要と判断した場合は登場しないこともあります。
●遺跡について
遺跡は5階層になっています。
1階……まだ探索されていません。
2階……この遺跡にいた科学者や研究員の居住区です。遺跡にいた者たちの写真が見つかりました。
3階……研究に使用されていました。睡眠漕のある部屋が見つかっています。
4階……まだ探索されていません。『繭』があること、行けばおそろしいことになる、ということが分かっています。
(PL情報)高出力レーザー、毒ガス等仕掛けのある廊下があり、奥には最強のドルグワントがいます。
5階……女神が暮らしていたと思われる箱庭があります。
●特別ルール
今回強化人間、悪魔、魔鎧以外のLCのみが体調不良になっています。
ドルグワント化しているのもこの種族だけです。強化人間、悪魔、魔鎧に影響はありません。
(奈落人は憑依した対象に依存します。MCに憑依した場合は影響を受けません)
ドルグワント化していない場合、体調不良【弱】として微熱や吐き気、頭痛、耳鳴りに悩まされつつの戦闘になります。
精神力の強い方でないと集中力が続かず80%程度の力しか出せないと考えてください。
注意点
1.アストーの石に直接肌で触れると浸食されます。ナノ単位で媒体を埋め込まれ、以後石に操られます。抵抗できません。取扱い注意です。
2.石に操られている者たちは、石の命令がなくなれば通常状態に戻ります。第1回で施設で操られていたMCはアストーが地上に出て目的を果たしたことで正常に戻っていますが、近距離からアストーやタケシに攻撃を仕掛ければまた操られます。
3.このシナリオはバリバリのシリアスバトルシナリオです。判定はいつも以上にシビアにいきます。できないものはできないし、結果として行動不能の大けがにつながる場合もあります。戦闘でコメった行動をするときには十分お気をつけください。
それでは、皆さんの個性あふれるアクションをお待ちしております。
▼サンプルアクション
・密林で戦う
・パートナーを説得する
・遺跡を脱出する
・遺跡内部を調査する
・タケシやドルグワントと戦う(教導団)
・タケシやドルグワントと戦う(外部)
▼予約受付締切日
(既に締切を迎えました)
2012年06月01日10:30まで
▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)
2012年06月02日10:30まで
▼アクション締切日(既に締切を迎えました)
2012年06月06日10:30まで
▼リアクション公開予定日(現在公開中です)
2012年06月26日