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【アナザー戦記】死んだはずの二人(前)

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シナリオガイド【イコン参加可】

もう一つの地球に迷い込んだ契約者達が出会った人とは
シナリオ名:【アナザー戦記】死んだはずの二人(前) / 担当マスター: 野田内 廻

 数歩先も見通せない霧の中、アルベリッヒは大きなスーツケースを引きながら歩いていました。

「霧の町、ですか。そう呼ばれていたのは随分前の事だったはずですが。服は黒くならないみたいですが、不気味ですね」

 彼が祖国の土を踏んでいるのは、かねてより行っていたワクチン勢作が終わり、治療を兼ねた実地試験のためです。

 かつて相対し、そして瓦解したブラッディ・ディヴァインの血縁者の中に残っているとされる、インテグラル因子の除去もほぼ終わり、現在は名簿から漏れているかもしれない保有者がないかの確認といった雑務が少し残っているくらいです。

 一時は犯罪者として身柄を拘束される身であった彼も、この活動のために尽力し続けていたためある程度の自由は許されるようになりました。それでも、完全に監視が無くなったわけではありません。

「一段落したら、一旦シャンバラに戻る事になるわけですが、お土産はきっと必要でしょうね。何がいいと思います?」

 監視役の学生とそんな話しをしつつ歩いていると、丁度彼の前で扉が開いて中から人が出てきました。

 普段ならそう気にする事でもありません。ですが、出てきた人を見た瞬間、アルベリッヒの足はぴたりと止まりました。

 出てきた人物も、こちらをちらりと見ると驚いた様子でドアノブから手を離さないままじっとしています。

 そしてほぼ同時に、それぞれ口を開きました。

「おかしい、あなたは―――」

「まさか、貴様は―――」

「「死んだはずだ」」

 アルベリッヒの前に現れたのは、かつて彼が所属したブラッディ・ディヴァインの指導者、ルバートその人だったのです。

 ○

「先手を取られてしまったようね」

 一人の女性と三体の怪物が細い裏道を駆けていました。

「申し訳ありません、マレーナ様」

「敵の方が上手だっただけの事、それよりも今を切り抜けるのが優先です」

 マレーナと呼ばれた女性は、怪物の言葉にそう返します。

 ここはもう一つの地球、アナザーのイギリス。アナザー・マレーナは敵の追跡を受けていました。

 その逃走劇は長く続かず、敵に回りこまれてしまいます。あっという間に、アナザー・マレーナ達は取り囲まれてしまいました。

「ここまでよ。鬼ごっこはどちらかというと追いかけられる方が好きなの、だから早く終わらせましょう」

 取り囲む怪物達の、一体の肩の上に腰掛ける怪物がアナザー・マレーナに向かって優しい笑みを投げかけます。

「アカ・マハナ……指令級が自ら出てくるとは」

「あなたの頼りない部下と違って、私のナイト様は優秀ですもの。ねぇ、シェパード」

「御意」

 返事をして姿を現したのは、人間の男性でした。その姿は、まるで怪物を身に纏っているかのようです。

「親衛隊の隊長ね」

 アナザー・マレーナの手に汗が浮き出します。油断ならない強敵なのです。

「もちろん、一人じゃないわよ」

 怪物達が横に避けていくと、さらに怪物を纏った人間が姿を現します。どれも眉目秀麗な男性ばかりです。しかし、最初に返事をしたシェパード以外の男達の目は虚ろです。

「親衛隊が揃い踏みかよ」

 アナザー・マレーナの横の怪物が呟きます。

「毒で好きなように操って、楽しいの?」

「あら、女の子だもの。お人形遊びも好きに決まってるじゃない」

 アナザー・マレーナの言葉に、マハナはくすくす笑って答えます。

「マレーナ様、ここはお引きください!」

 突然、怪物の一体が飛び出していきました。飛び出した怪物の体は、不自然に膨らみます。

「だめ、それをしたらもう戻れないっ!」

 叫ぶアナザー・マレーナの声が遠ざかっていきます。残りの怪物の一人が、彼女を無理やり抱えて飛び去ったのです。残りの一人も、それに続きます。

「いいわ、すぐに終わったらつまらないじゃない」

 アナザー・マレーナを追おうとした親衛隊をマハナはそう静止し、薄笑いを浮かべながら、もはや元の形を思い出せないほど変異した怪物を見つめます。

「やっぱり、彼女のはダメね、美しくないわ。始末して頂戴」

 ○

「学生達が行方不明?」

 アナザーからやってきている怪物の対策のためにやってきていた彼らには、突然の事件に戸惑います。

「状況の確認を急げ、一体何がどうなっているんだ?」

 ○

 一方、なんとか怪物達から一度は逃走に成功したアナザー・マレーナ達でしたが、市内は多くの怪物がうろついています。

「せめて、我ら黒血騎士団の主力と合流できれば……」

「国連軍の作戦開始まで逃げ延びれば、あるいは……」

 国連軍の大規模な作戦を察知したアナザー・マレーナ達は、その作戦に便乗しダエーヴァの指令級を仕留める作戦を立てていました。

 しかし、作戦は事前に察知され、囮役であったマレーナの少数部隊は逃げ場を失ってしまいました。シャンバラの遺物であるアナザー・マレーナはアナザーとオリジンを隔てる力の一部でもあります。

 何を犠牲にしてでも、生き残らなければなりません。

「……あ」

 二人の議論に参加せず、うつむいていたアナザー・マレーナは不意に顔をあげました。

「マレーナ様?」

「懐かしい、匂いがする。これは、シャンバラの……」


担当マスターより

▼担当マスター

野田内 廻

▼マスターコメント

■12月13日 追記「■■部下について■■」にて少佐の場合について追記を行いました 。
■12月11日 追記 「■■アナザー・マレーナと行動する方向け■■」についてと
「■■イコンについて■■」についての内容の一部を修正補足させていただきました。


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このシナリオは以前のキャンペーンシナリオの結果を元に発生したシナリオであり、
スペシャルシナリオではありますが、今回の結果は今後の展開に影響を及ぼす可能性を含みます。

さて、なんだか久しぶりな面々の名前がちらりと出ていますが、今回のシナリオについて少し補足させて頂きます。
ガイドから察して頂けるかもしれませんが、今回のシナリオにおいて皆さんの立ち位置は
「私用でイギリスに出かけていたら、突然アナザーに転送された」という状態になります。
そのため、アナザーについて全く知らなくても問題ありません。むしろ知らない方が臨場感があるかもしれません。

私用の部分は、シナリオ側からは
・オリジンの怪物対策を行うために派遣されてきた
・アルベリッヒの監視、手伝いをするために訪れていた
というものを提供しておりますが、単に里帰りであったり旅行であったりといった、個人的な目的でも可能です。

■■アナザー基礎知識■■

アナザーとは、皆さん契約者が住む世界の鏡写しのようなもう一つの地球です。
しかし、よく似ている部分とそうでない部分があり、もう一つの地球には現代においてパラミタ大陸が出現しておらず、
当然シャンバラに由来する技術(機晶技術や魔法など)はごく一部を除いて保有していません。

もう一つの地球には、ダエーヴァと呼ばれる怪物達が現れ、アナザーの人たちを苦しめています。
彼らは指令級と呼ばれる軍団長と、その部下の怪物で構成され、拠点として黒い大樹を保有しています。
怪物達はオリジンでも確認されており、アナザーほどの大群ではありませんがオリジン側にも被害が発生しています。

先日の戦いにおいて、アナザー日本のダエーヴァとの戦いが終結してから日本において怪物の出現は止まりましたが、
他の地域では怪物の出現報告は続いており、その対応は現在でも行われています。

以上の知識は、特に何らかの行動を起こさなくても手に入る知識として扱われます。

■■アルベリッヒと行動する方向け■■

アルベリッヒの登場するパートに参加する場合、称号由来の部下は使用できません。
現状の彼は危険人物のレッテルはしっかり貼られたままですが、以前より監視は厳しくありません。
また、パワードスーツを始めとする武装は取り上げられたままの状態のため、一般的な契約者が彼に
遅れをとるとも想定できないため、監視に大人数を必要としていないためです。
要するに、彼個人の危険度はさしたるものではないのです。

監視も任務なわけで、その費用は経費から捻出するわけで、大して危険でもない模範囚に、
多額の経費を計上できるわけもなく、というわけです。

また、アルベリッヒはワクチン勢作のため教導団以外の学生とも積極的に交流しており、
そういった学生等が手伝いとして今回のイギリス出張に同行していたりします。
そのため、教導団の学生以外でもアルベリッヒと行動する事に何ら問題はありません。
アルベリッヒとの関係も、全くの他人ではなく知り合い・浅い友人程度の距離感で接する事ができます。
もちろん、彼の監視・手伝いを名目に小旅行目的でついてきても問題ありません。

また、アルベリッヒも基礎知識程度にはアナザーについて認識しています。
なお、アナザー・マレーナの登場するパートとは物理的・時間的に隔てられており、
両方のパートに跨るように登場するのは、ほぼ不可能と考えてください。

■■アナザー・マレーナと行動する方向け■■

こちらのパートに参加する場合、「■■イコンについて■■」(12月11日修正)のイコンの利用と、教導団・パラ実称号由来の部下の運用が可能となります。

皆さんが飛ばされる先は、ダエーヴァがアナザー・マレーナを攻略するために敷いた包囲網のど真ん中です。
敵は目標に対して過剰とも取れる大戦力を動員していて、中々に危険な状況です。

アナザー・マレーナはガイドにある通り、彼女はオリジンとアナザーを隔てる重要な役割を持っています。
女王のように即ざに世界の破滅には繋がらないものの、彼女の損失は大きな意味を持ちます。なるべく、彼女の
安全にも気を使ってあげた方がいいでしょう。

また、自分達の力で切り抜けるのは少し厳しい状況でもあります。
ある称号を装備していれば、ある組織と連絡が取れた場合に交渉が上手く進みやすいかもしれません。

■■イコンについて■■

「Iパワードスーツ隊」(12月11日追記)「パワードスーツ隊」、「ウォーストライダー」「輸送用トラック」「出虎斗羅」といった、
イコン相当の乗り物などは利用が可能になります。これは元々市民の残っているオリジンで、
怪物対策を目的に持ち込む事み、使用されていたものです。町並みを破壊する可能性を含むイコンのような
大型の兵装は原則オリジンでは現地からの強い要望で利用できません。町並みも立派な財産なのと、
オリジン側にはイコンを必要とするような、大型・超危険な怪物が出現していないためです。

これらを扱う場合は、アルベリッヒのパートには参加できません。
アルベリッヒのパートは彼が気の抜けた事を口にしている通り、軍事作戦からは離れた地点に居るためです。

今回「IPS支援機」は使用できませんが、こちらのパイロットは“4機目のIパワードスーツ”を装備しているとすることができます。(12月11日追記)
■■ダエーヴァ情報■■

オリジン側のヨーロッパで目撃されているダエーヴァは、植物・昆虫ベースの怪物が中心です。
オリジンでよく目撃されていた怪物は以下の通りです。

・昆虫人間
 昆虫と人間を足したような怪物。昆虫由来の鎌や毒針、装甲を武器にし人間由来の武装は使わない。
 ベースとなる昆虫は実際多彩であり、ひとまとめにインセクトマンと扱われる。

・女郎蜘蛛、アルラウネ
 どちらも怪物の体から人間の女性の上半身が出ている怪物。指揮官タイプらしく人語を扱う事もできる。
 動き回り攻める部隊には女郎蜘蛛、拠点の防衛や待ち伏せにアルラウネが担当しているようである。

■■部下について■■

教導団、パラ実生徒は階級称号を付けて参加することにより、
階級に応じた数の部下・舎弟を扱うことが出来ます。
彼らは、ほぼ従者と同じ扱いで、数は階級によります。

少尉:10人、中尉:20人、大尉:30人、少佐:50人
E級四天王:なし、D・C級四天王:10人、B級四天王:20人、A・S級四天王:30人

部下・舎弟共にオリジンで活動してたら一緒にアナザーに放り込まれた扱いであるため、
四天王称号でも問題なく舎弟を引き連れる事ができます。

■■NPC■■

アナザー・マレーナは従う怪物二人と共に、市内を逃走しています
アルベリッヒはルバートと一時的に行動を共にしています

■■その他■■

アナザー・マレーナが行動する市内は、既に避難が完了しておりほぼ無人となっています。
また、古くからヨーロッパを拠点にし活動していた魔術結社は、とっくの昔に行動を開始しており、
現在のヨーロッパから安全に脱出しています。

▼サンプルアクション

・怪物退治を継続する!

・アナザー・マレーナを助ける!

・アルベリッヒと行動しています

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2013年12月10日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2013年12月11日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2013年12月15日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2013年12月30日


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