波羅蜜多実業高等学校

　さぁさぁ皆様、お立ち会い。
　これから始まりましたる物語の舞台はシャンバラのほこる大都市、空京。
　あらゆる文化の入り乱れる都の一画にここ『空京中華街』がございます。
　中華系移民とコンロン系移民でごった返す大変賑やかな繁華街でございます。

「ただいま『万勇拳（ばんゆうけん）』では弟子を募集しておるー！　ダイエットにも効果テキメンじゃぞー！」

　通りでチラシを配っているのは、可愛らしい猫獣人のミャオ老師。

　コンロンにある武芸の聖地『天宝陵』。
　大昔に『拳祖』とよばれる伝説的拳士が拓いた都で、彼の遺した幾多の奥義から派生した流派が入り乱れる場所。
　その中のひとつがこの万勇拳。拳祖の遺した技の中でも気を操る技を発展させた流派でございます。

　しかし、少子化の影響で弟子はなく、この前シャンバラの学生がひとり入ってくれただけで進展はありません。
　弟子集めなら空京のほうがいいという言葉に惹かれ、はるばるコンロンからやってきた老師。
　ただ残念ながら、老師の言葉に足を止める若者はなかなかあらわれません。
　とその時……。

「弟子になります！」

　蒼空学園の恋愛少女、マナミンこと小谷　愛美（こたに・まなみ）が名乗りを上げました。
　蒼フロ初期からの生徒なれど、そろそろキャラも限界気味、ここらでちょいとイメチェンしておきたい乙女心でございます。
　そんなおり、コンロン旅行中に出会った老師の拳法は彼女の理想に合致するものだったのです。　

「……あのぉ老師？」
「……かはっ！　げほげほげーほっほ！　お、驚かせおって！　喜びのあまり心停止に陥ったじゃないか！」
「ご、ごめんなさい。でも本気なんです。私、武闘家になろうかなって、本気で思ってるんです」
「うむ、その心意気やよし。では早速、道場で契約書にサインを……」
「道場？」
「万勇拳道場、またの名を中華街公園とも言うが……こっちに来たばっかりで住む所がないのじゃ、気にするな」
「だ、大丈夫かな……？」

　公園……もとい道場に向かいながら、愛美は初めて来た中華街を見回します。

「賑やかだけど……、ガラの悪い人たちもいるいるみたい……」
「黒楼館（こくろうかん）の連中じゃ」
「なに、それ？」
「天宝陵の暗殺拳の一派じゃ。コンロンとシャンバラの国交が出来たのをきっかけにこちらまで勢力を伸ばしてるらしい」
「あ、暗殺……！？」
「元々、コンロンの裏社会に生きてきた連中。こちらでも血なまぐさいことに関わっておりコンロンマフィアとよばれておる」
「じゃ、じゃあ関わらないほうがいいね……。目ぇ合わせないようにしよっと……」
「なにを言っておる。世話になっとる街に恩返しするのは武闘家の努め。弟子が集まり次第、奴らは中華街から追い出す」
「え、ええー！？」
「ほれ、そこの中華飯店が奴らのたまり場じゃ。あとで殴り込みにくるからよく覚えておくんじゃぞ」

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　一方はこちらは渦中の黒楼館。
　中華街の外れに我が物顔でそびえる豪奢な道場が、悪名高き彼ら黒楼館の本拠地でございます。

「……万勇拳のミャオがこの街にやってきたそうだな。まさか我々の計画を気取られたのではないだろうな」

　館主を務めるのはカメレオン型のゆる族ジャブラ・ポー。
　痩身で目をくりくり動かすその姿に威厳はすこしも感じられず、とても暗殺集団の首領とは思えぬ出で立ち。
　しかしながら、その前に立たされた黒楼館幹部『五大人（ごたいじん）』のひとりは大変に恐縮していました。

「め、めっそうもないアル。あのおいぼれはただ弟子集めにシャンバラまで出てきてるだけアルよ、ジャブラ様」

　五大人の一角を担う仙灸術の使い手、悪魔カソは答えます。

「それにあんなおいぼれひとり、黒楼館の手にかかればなんとでも……」
「奴を侮るな。万勇拳と言えば拳祖の遺した奥義の中でも剛拳中の剛拳を継承する流派なのだぞ」
「そ、それは知ってるアル。拳祖すらも完成しえなかったあの技を数千年の歴史の中で完成させた流派だとか……」
「ただの子猫と思っていると、ひっかかれるだけでは済まんぞ」
「き、肝に命じておくアル……」
「計画を早める。即刻、五大人招集しろ」
「了解アル。既にラフレシアンは空京に。残る三人も近日中に到着出来るはずアル」

　ふと、カソは思い出しました。

「……ところで、こちらで見つけた門下生の中にひとり、逸材を見つけたアル」
「ほう？」
「まだ小娘アルが随分と飲み込みが早いアル。もしかしたら千年にひとり、使い手があらわれるというあの奥義を使えるかも……」
「どこにでも天才はいるものだ。かつての九龍（くーろん）のようにな」
「懐かしい名アル……。でも、五大人の座を捨てて、鏖殺寺院とかいうよくわからん組織に行っちまった間抜けアルよ」
「貴様の言うとおりだ。才能はあっても間抜けでは話にならん。そうならないよう、今度はきちんと処置をしておけ」
「もちろん心得ているアル」

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　さて、そろそろお時間。長らくお待たせしました。
　空京功夫活劇『燃えよマナミン！』第一幕の開演でございます。

　ジャーンジャーン！（←ドラの音）

マスターの梅村象山です。
マナミンとともに冒険するカンフーキャンペーンを担当させていただく事になりました。
よろしくおねがいします。
ミャオ老師はシナリオ『崑崙的怪異談』のこちらとこちらのページを参照して頂ければすこしだけ人となりがわかります。
愛美と老師の出会いはキャラクエの『マナミン危機一髪』にて語られています。

【今回のシナリオについて】

今回は落ち目の万勇拳を再生させ、中華街で暗躍する黒楼館をなんとかするのが目的です。
シナリオは次の流れで展開します。
皆さんのアクション如何では変更の可能性もありますが、よほどのことがない限りこの流れだと思います。
アクションをかける際の参考にしてもられば幸いです。

１、老師＆愛美と一緒に修行【昼】
↓
２、老師＆愛美と修学旅行トーク【夜】
↓
数日の経過
↓
３、黒楼館退治

万勇拳に入門した人にはクンフーを積んでもらう必要があります。
なので修行パートでは万勇拳に伝わる奥義を会得するための修練を行いましょう。
どんな奥義の修行なのかはみなさんで思案して頂けたらいいなと思います。
あくまで万勇拳の奥義の修行という体で、みなさんでオリジナルの技を編み出してみてください。
ここで編み出された奥義は一部、モンクやグラップラーの追加スキルとして実装される予定です。
ただ、バランス調整などがありますので、その点はご了承ください。
素敵な技のアイディアお待ちしております。

また、修行のあとにみんなで公園にお泊まりする修学旅行トークパートも設けようと思います。
老師とお喋りしてみてもいいですし、愛美とお喋りしてもいいですし、お友達同士でお喋りしても大丈夫です。
もちろん、修行のあとに夕ご飯を作ってもいいですし、みんなが公園ですごしやすいよう何かしてもＯＫです。
万勇拳まわりに関わらず、シナリオの範囲を逸脱さえしなければ、気になるポイントにアクションをかけるのも大丈夫です。
いろいろ行動してみると思わぬところから、今後の展開を左右する発見があるかもしれません。

【黒楼館】

今のところ判明してる黒楼館のメンバーはこちらの三人です。
この情報は中華街で調べれば、一般人でも（うわさ話などで）知っているレベルの情報です。
なので中華街の”一般人”から情報を集めてもこれ以上の情報は出てきません。

館主『ジャブラ・ポー』
カメレオン型のゆる族で『幻魔無貌拳（げんまむぼうけん）』の達人。
強大な力を持つ魔獣の動きを模倣した象形拳で、その威力は元となった魔獣の強さに匹敵するといわれます。
表に出てくることがほとんどない人物なので、どんな魔獣の技を使うのかは謎に包まれています。

五大人『カソ』
商魂たくましい悪魔で『仙灸術（せんきゅうじゅつ）』の達人。
戦闘向きの術ではないため戦闘能力は低いのですが、人体に精通しておりあらゆる秘孔の場所を知っています。
見た目は鰻のような髭を生やした小柄のおじさん。黒楼館の中では参謀的な位置付けらしいです。
ずるがしこい性格ですが結構気が弱いとのこと。

五大人『ラフレシアン』
ラフレシアの花妖精で『薫気功（くんきこう）』の達人。
気の流れを操り、自らの体臭を自在に変化させる気功術のひとつ。
地獄のような悪臭で敵を昏倒させたり、秘孔を突き敵の体臭を変化させることが出来るようです。
見た目は髪はボサボサ髭ボーボー、風呂もひと月にいっぺんという不潔すぎる大男です。
あまり頭は良くなくとてつもなく鈍感。
ただ仲間に気を使う質なのか、仲間といる時は薫気功で自身の体臭をフローラルな香りにしています。

【本シナリオにおける注意点です】

ダブルアクションについて、改めて説明します。
MCとLCの目的が別のアクション、目的が複数あるアクション。
これらはダブルアクションになります。この場合、アクションが一部しか採用されませんので、ご注意ください。

またシーンを複数に跨ぐようなアクションも限りなく透明な……じゃない、ブラックに近いグレーです。
ダブルアクション気味になってしまうので、ワンシーンで魅せるようなアクションにして貰えると助かります。
ワンシーンで自分を出し尽くすようなアクションこそ、完成されたアクションだと私は思う次第です。

上記のシーン跨ぎ問題があるので、原則MCとLCの別行動を禁止とさせていただきます。

・万勇拳に入門する

・修学旅行トークで盛り上がる

・黒楼館を叩きのめす

・空京中華街でお散歩