「消える……私が消えてしまう……」
左手首をギュッと握りしめ、アーリア・セルシアは地面に膝をついた。
ここはツァンダからさほど離れていない、クリスティアという村です。
近くには過去、発掘が行われていたヴォル遺跡がありました。ですが、誰も訪れる者はいません。
行って戻って来た者がいないからです。
アーリアは悲しそうな瞳で、ヴォル遺跡の場所を悲しげに見つめる。
「今度、消えるのは私……?ヴォル遺跡……そう言いたいの??」
クリスティアの村では、ある一定の周期に人が一人ずつ消えていくのです。
それも一瞬で消えていくのではなく、身体の一部が徐々に薄くなり、
形を成さなくなり消えてしまうのです。
ですが、クリスティアの村人はここから離れることができません。
この場所を離れても身体が消えてしまうのです。
不思議な事に外部からの人達にはその効力はなく、村人限定の力でした。
ある日、ヴォル遺跡へ行った村人がいました。
その村人は何事かを囁くと砂がこぼれ落ちるようにして消えてしまったとの事です。
その話とは、
ヴォル遺跡は崩れかけた遺跡であること、
正面から入ろうとすると、炎が舞い上がり自分では中に入る力は無かったこと
その為崩れている地下から入ったが、落とし穴のような穴が無数にあいていて通るのは困難であり、
地下に住み着いた巨大なネズミが徘徊していたこと
その奥に試しの場と書かれた扉があったこと
その先に行くと……がおり、村人達の精気を吸い取って
生きているんだと笑っていたと……
だから、お前たちは私の餌なんだと……が言って。。。
それ以上は聞くことは出来ませんでした。
村にはいつの頃からか、こんな伝承がありました。
血が血を暗闇に誘い込む
その血をもちて光を目指せ
血は闇にもなり光にもなる
太陽と月と星を選べ
だが、使い方に気をつけよ
己も消えてしまうかもしれないのだから
強き意志をもちて己自身を試せ
アーリアは決意しました。
「このまま消えてたまるものか!私がヴォル遺跡へ行って秘密をあばいてくる!!」
ですが、アーリアには戦う力がありません。ただの村人でした。
アーリアの行動に対して、村から蒼空学園へ依頼を出すことにしました。
誰かアーリアの力になってあげてください。