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リアクション
プロローグ
ツァンダからさほど離れていないクリスティア村。その土地の大半は畑か放牧場になっており、一見すると平凡な田舎の村に見える。
放牧場近くの小川には水車の備え付けられた小屋がある。その横に積み立てられた干草に少女アーリアは寄りかかるようにして目をつむり、水車の奏でる音に耳を傾けていた。そこにアーリアを慕う子供たちが駆け寄ってきた。
「ねーちゃん、見て! みんなでカブトムシ捕りに行ってきたんだ! 力比べさせるから見にきなよ!」
「駄目よ、アーリアお姉ちゃんは私たちとお花摘みにいくの!」
子供たちが男女に分かれてアーリアの両手を引っ張り合う。
「待って待って! 私もみんなと一緒に遊びたいんだけど、今日は村長さんに呼ばれてるの。ごめんね」
アーリアが残念そうに眉をひそめた。そっか〜、わかってくれた子供たちが去っていく。アーリアは明るく手を振って見送った。子供たちの姿が見えなくなる。アーリアは包帯で覆われた自分の右手を太陽にかざした。
「……」
そのとき、遠くからアーリアを呼ぶ声が聞こえる。村長だ。
「私がやらなきゃ」
アーリアが決意するように呟く。そしてゆっくりと立ち上がり歩き出した。
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