波羅蜜多実業高等学校

「何をするの、赫夜！」

　生徒の一人が叫びます。

「私は蟹座の十二星華。ミルザム殿のお命を頂戴するのみ…！！」
　赫夜はそうとしか言いません。

　ある生徒達は赫夜と対峙し、ある生徒達はミルザム・ツァンダ（みるざむ・つぁんだ）の盾になろうとします。
御神楽　環菜（みかぐら・かんな）がクイーン・ヴァンガードたちにミルザムの身を守るよう指示します。

　屋上では、変わらず薄ら笑いを浮かべる真珠がその地上での混乱を見据えているだけでした。すでに臆病で優しかった真珠の面影はありません。
　そして、その真珠の左の中指の青い輝石の指輪が不気味に光を放っています。

「お覚悟！ミルザム殿！！」
　赫夜がミルザムを{星双頭剣、Due spade（デュエ・スパデ）で斬りつけようとしたとき！
「おやめください、赫夜様」
「…爺や！」
　赫夜の家の執事、吉備津　彦助（きびつ　ひこすけ）が間にはいりました。
　二人は斬り結ぶと、一旦離れます。
「止めるな、爺や！　私はミルザム殿を討ち取らねばならないのだ！　あの優しい美しい、真珠の笑顔を取り戻すためにも！」
　赫夜の脳裏には、優しく微笑む金色の髪と青い瞳の真珠、そしてもう一人、真珠そっくりの女性の姿が一瞬、脳裏に浮かびました。（ひいさま…！？）
　しかし、それも一瞬のことでした。
　
「某（それがし）も、『真珠様の魂』のため、赫夜様、そして『ミケロット殿』に協力して参りました。しかし、これ以上、誰も傷つけるわけにはまいりません！！」

　爺やはそういうと、生徒達に聞こえるよう叫びました。

「皆様、この吉備津、嘘をついて参りました。蒼空学園特別会館、そしてツァンダ美術館、直接ではなくとも、某も、その襲撃のための準備に加わりました…お許し下さい。…そして、生徒の皆様、赫夜様を説得して差し上げて下さい！　赫夜様は、真珠様のためにこのような蛮行を強いられておるのです。そしてミケロット殿！！もう、このようなことはおやめ下さい！　そんなことをしても、あなた様が愛したルクレツィア様は喜びませんぞ！！　あのような真珠様を、あなたは見たかったのですか！！」

　その瞬間、爺やの肩にシャープシューターが打ち込まれました。
「うおお！」
　爺やはその場に倒れてしまいます。

「大丈夫ですか！」
　急所は外れているようですが、爺やも若くはありません。ごはっと血を吐いてしまいます。
「どうか、みなさま、赫夜様をお止め下さい。そして、真珠様を解放してあげて下さい…」

　そこに遅れて赫夜たちの婆やもかけつけます。
「吉備津！　吉備津の爺！　しっかりするのです！！」
「おお、婆や…浦沿　佐知（うらそえ　さち）か…赫夜様と真珠様が、あのようなことに…」
「吉備津！それ以上言わないで。皆様、赫夜様をお止めください。そして、真珠様を『助けて』あげて下さい！真珠様は『ミケロット』なる人物に操られているのです」

　さて、ミケロットとは何者なのか。
　赫夜はミルザムを討ち取ってしまうのか。
　そして真珠の指に輝く宝石と、爺やの言う『真珠の魂』との関連は？

　そして、もう一人の『アッサシーナ・ネラ』と推測される三池　惟人の本当の狙いとは何なのでしょうか？

こんにちわ、杉井　幾です。　ついに黒の月姫、３回目にやってまいりました。

さて、以下に概略を記しておきます。

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真珠、真珠の父、真一、母（ルクレツィア）、それに三池　惟人が写った写真の入ったロケットを真珠が持っていました。

蒼空学園特別会館、ツァンダ美術館を襲ったのは二人の『アッサシーナ・ネラ』。そしてその一人は三池　惟人とほぼ確定しています。

また、卒業式リハーサルで赫夜より前にもう一人の『アッサシーナ・ネラ』がミルザムを襲撃しています。

真珠と赫夜の間には血の繋がりがなく、孫の真珠より他人の赫夜を愛する、藤野家当主、真言（しんげん）によって、真珠の心は傷つけられてきたようです。そして真珠は「姉様、死んで」と口にするようになり、今のような状況に陥ってしまいました。

また、『剣の花嫁』藤野　赫夜には幼少期の記憶がなく真言の旧友、弓削　光政（ゆげ　みつまさ）に助け出されたという経緯があるようです。赫夜の記憶回復を図ることで、彼女のミルザム襲撃を止めるキッカケが掴めるかもしれません。
赫夜は真珠に相当執着しています。それは真珠の内面だけではなく、外見も関係しているようです。
真珠、または今は亡き母、ルクレツィアがその鍵を握っているのかもしれません。

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赫夜はミルザムを襲撃することは、本意ではないようです。「真珠を守る為、仕方なく」ミルザム暗殺を命じられているようです。

ミルザムを守りながらも、赫夜を説得し、もしくは戦い、真珠を助けてあげて下さい！

・爺やを助ける

・クィーン・ヴァンガードとしての役目だから

・事実の調査

・真珠の様子がおかしいため、確保及び、調査