波羅蜜多実業高等学校

　――蒼空学園。
　肌寒くなり布団から抜け出せない、秋の始まり事です。
「環菜街道……ですか……　？」
「そうだ」
「それが何か？」
「当然、環菜街道は知ってると思うが少し変わった噂話が出ている。夕方、環菜街道を歩いていると麦畑に立っていたそうだ」
「麦畑に？」
「ああ、向こうに居た時間は僅かだったそうだ。気付くと環菜街道に戻っていた」
「それなら問題は無いと思いますが」
　山葉　涼司（やまは・りょうじ）は高円寺　海（こうえんじ・かい）に自販機から出てきた缶コーヒーを放り投げた。
「どうも……」
　缶を開けると温かいコーヒーと香りが冷たい空気へと零れて、白い湯気を立てる。

　「確認は取れて無いんだが、業者が環菜街道を作る際に何かの碑や封印を誤って壊した場所が幾つかあるらしい。今回もその影響と考えられる」
「それとオレに何の関係が……」
「……見てみろ」
　涼司は何かを海へ向けて放る。砕けた水晶だった。水晶は淡く輝きながら、微かな映像を映し出していた。
「これは……」
　海の瞳孔が瞬く間に開いた。食い入る様に映像を見つめる。
　一人の男と複数の男達が何かを言い争っていた。僅かにだが、声も聞こえてくる。
「何故、盗賊が――を求める？」
「ククッ、――　――。――は黄金の実りを宿す。――　――　――　！――は莫大な――を手に入れる！」
　そこで映像は終わっていた。
「オレが……いる……」
　海の瞳は驚愕に見開かれていた。涼司は思いつめる様に壁を視ていた。
「既に調査を加能　シズル（かのう・しずる）に頼んでいたんだが、まだ帰還していない。代わりにその砕けた水晶が街道に落ちていた」
　海の握った水晶は壊れたビデオの様に何度も同じ映像を再生し続ける。涼司の瞳は海の横顔を見つめる。
「海、お前向こうに行ったことはあるか？」
「いえ、未だ……ありません」
「お前には向こう側へ行ってもらい、調査をして欲しい。シズルの帰還も含めてな」

　「何時になったら現れる……」
　環菜街道を当ても無く海は歩き続けていた。目的の無い歩行運動。まあ、大本の目的としてはあるのだが……退屈でしょうがない。
　担いでいた鞄を降ろし、海は大きく伸びをする。
「ん〜〜……」
　目を開いた時だった。
「は……？」
　海は麦畑に立っていた。
　昼の陽光が麦畑を黄金色に輝かせていた。ゆっくりと吹き抜けていく風が小麦の穂を揺らしていく。
「ここが……」
　視線を這わせる海が見たのは無限に続く麦畑。小麦の穂が海の手にゆらゆらと触れる。
「貴方は……護ってくれますか？」
　声の方へと振り返る海の視線には一人の女性が映っていた。
「シズルさん……？」
　シズルは華美な仕草で微笑むが、海だと認識していない様だった。海に対して初対面の礼をする。
「初めまして、私はファナ・ユースウェルです」

　こんにちは、または初めまして、村野憂規です。
　このシナリオに興味を持って頂き、ありがとうございます。

　本シナリオは山葉涼司からの依頼で、麦畑の調査、原因の解明がメインの目的となります。
　環菜街道を歩いていた生徒は偶然巻き込まれてしまうので、学校による区別はありません。どの学校の生徒も参加できます。

　涼司は映っていた映像から『海自身が麦畑へ向かう事でこの事象が進み、原因が解決出来る』と考えている様です。

　映像の中で海は盗賊の男達と言い争いをしていました。その内容から盗賊達が何を探しているのかをイメージして頂ければと思います。
　また、シズルは本来の記憶を失っているようです。戦闘には参加出来ないため、彼女を護る必要があります。
　　

アクションとしては、以下の様なものが考えられます。

1.麦畑や女性ついて調べる
2.盗賊達に味方して、大暴れする
3.盗賊達が欲している物を探してみる　
4.海と一緒に調査を行う
5.盗賊達と戦う
6.麦の収穫をする


皆様のアクションをお待ちしております。
　

・海と一緒に調査を行う

・海の護衛をします