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魂を壊す夢

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シナリオガイド

初日の出を見るはずが、廃墟で悪夢に襲われて……え、誰かの夢なの!?
シナリオ名:魂を壊す夢 / 担当マスター: 冷泉みのり

 シャンバラ大荒野にある雪山。
 初日の出をここから見ようと、加能 シズル(かのう・しずる)の呼びかけで学生達が数日前から登っていました。
 しかし、今ここで大変な困難が起こっていました。

 次々と倒れ伏す友人達を助ける術もなく、シズルもまたその一人になろうとしているのです。

「急に吹雪いてきたと思ったら……何でこんなに眠いの……おかしいわ……」

 薄れゆく意識の中、悪夢でも見ているのかうなされる友人達の声を聞きました。
 襲い来る睡魔に抗えず、ついにシズルも眠りに落ちました。


 次にシズルが目を覚ました時、周囲の様子に混乱しました。

「ここはどこなの!? こんな、岩山をくり抜いてつくったような……町、なのかしら」

 シズルがいたのは小さいが見晴らし台のようなところでした。

「でも、人がいる感じはないわね。まるで廃墟……」

 窓と思われる小さく真っ暗な無数の穴に、シズルは得体の知れない寒気を感じました。
 目をそらすように空を見上げたとたん、彼女は鋭く息を飲みました。

「何これ……黒い太陽……!? 空も、一面の灰色……」

 とっさにシズルは携帯で、麓のオアシスにいるフェンリル・ランドール(ふぇんりる・らんどーる)に連絡を取ろうとしました。
 ところが、圏外と表示されたのです。

「おかしいわ。電波が入ってるのは、ついさっき確認したのに!」

 下を見下ろしたシズルは、そこに見えたものに愕然としました。

「麓がない!? まだ雲の上にも出ていなかったのに! まさか、上も?」

 上も下も、岩肌をくり抜いてつくった居住区だけでした。
 シズルの混乱が極致に達しようとした時、彼女は一緒にいたパートナーのことを思い出しました。

「……レティーシアはどこ? 他のみんなは? 探さないと。見つけて、みんなでここを出るのよ」


 その頃、レティーシア・クロカス(れてぃーしあ・くろかす)は薄暗い石の通路でシズルと対峙していました。
 シズルは、暗く冷たい目でレティーシアを見つめています。
 レティーシアは、その目にただただ恐怖を感じていました。
 そして、その恐怖は形となってシズルの口から発せられました。

「あなたのお守りはもうおしまい。さようなら」

 シズルは、剣をレティーシアに向けました。
 わけがわからなくなったレティーシアは、シズルから逃げ出しました。

「シズルさんが、あんなこと言うわけありませんわ! きっと、本当のシズルさんがどこかにいるはずです! こんなの、ただの悪い夢ですわ!」

 レティーシアは特に根拠もなく叫んだだけでしたが、ここは確かに誰かの夢の中だったのです。

 不安に飲み込まれそうな気持ちを押し殺し、レティーシアは石の通路を走り続けました。
 彼女を探しに出たシズルも、同じような目にあっているとも知らずに。



 薄暗いこの世界のどこかで、誰かが泣きながら笑っていました。

 引きずり込んだ人達にひたすら謝り、しかしこの世界の仲間が増えたことに喜んでいたのです。


△ ▼ △



 翌日、麓のオアシスで部屋を借り、シズルからの連絡を待っていたフェンリルは、焦った表情で何度も携帯をかけていました。

「加能……なんで出ないんだ? 何かあったのか?」
「おかしいですわね。もう朝日はとっくに昇りましたのに。初日の出、ちゃんと見ることができたのでしょうか? まさか……」
「その先は言うなよ」

 顔を青くした泉 美緒(いずみ・みお)に、フェンリルはピシャリと言いました。

 そこに、熾月 瑛菜(しづき・えいな)が慌ただしく駆け込んできました。

「あんた達、なんでこんな山に登ってるの!? 連絡はきてる?」

 いきなりの剣幕にフェンリルと美緒は驚きましたが、すぐに疑問が生じました。
 その疑問に瑛菜はオアシスに残る、このような伝説を話しました。

「『希望の山』とか言われてるけど、オアシスの人は『終末の山』って影で呼んでるんだ。登った者は魂を破壊されるって言われてて」
「な、何だよそれ。この山に何かあるのか?」
「わからないよ。言い伝えでは、大昔は山は一つの町だったんだって。岩肌をくり抜いて住居を作って暮らしてたって。
 人が住まなくなった後は、登った人が怖いと思うものや苦手にしているものを見せる不気味な山になってしまったって言われてるんだ」
「何かいるのか? そういう悪さをするものが」
「さぁ……確かめた人はいないから」
「でも、わたくし達が山に登ると言った時、止められませんでしたわよ?」

 美緒の疑問に、瑛菜は少し言いにくそうに答えました。

「たまにパラ実生が度胸試しに来るからね。それで止めなかったんじゃないかな。あいつらに言っても無駄だし。それよりもシズル達だよ。きっと悪夢みたいなとこにいるんじゃないかな
「そういうことなら助けにいかないとな」

 フェンリルが立ち上がると、瑛菜も同行を申し出ました。

「オアシスの人が言うには、登山中はネガティブ禁止! どこまでもハイテンションで明るく! フェンリル、魔剣の夢なんて見ないでよ」
「お前こそ、怖くなって泣くなよ」
「あたしには歌があるからね。不安も弱気も吹っ飛ばしてやるよ!」
「それでは、わたくしはもっと広い部屋を借りて、皆さんのお帰りをお待ちしておりますね。戻られた時に手当てが必要な方もおられるでしょうし。毛布などをご用意しておきますわ」

 三人はそれぞれやるべきことを確認しあうと、すぐに準備に取り掛かったのでした。

担当マスターより

▼担当マスター

冷泉みのり

▼マスターコメント

 こんにちは、冷泉みのりです。
 シナリオガイドを読んでいただき、ありがとうございます!

 初日の出を見に山に登ったシズル達が引きずり込まれた廃墟の世界は、誰かの夢の中です。

 このシナリオでは、大きく以下の行動をとれます。

・シズルと一緒に初日の出を見に登山中、謎の睡魔に襲われます。目覚めた廃墟で悪夢に囚われます。
 MCとLCでご参加の場合、どちらも夢の中にいるようにしてください。
 シズルとレティーシアのように、夢の中で別々の場所にいることは可能です。

・フェンリルや瑛菜と一緒に登山者達の救助に向かう。
 不安も焦燥も全部押し隠して、ひたすら前を見て、希望を捨てず、明るく捜索活動をしてください。
 瑛菜は歌うそうです。
 フェンリルは特に何も考えていないようです。

・美緒と一緒にオアシスで下山者達を待つ。
 美緒が借りた広い部屋で、みんなが無事に山を下りてくることを信じて、帰ってきた彼らにできることを考えてください。
 また、美緒一人では不安なので、助けてあげてください。
 

 MCとLCが別々の場所にいることはできません。
 必ず同じ場所にいるようにしてください。

 リアクションに登場するNPCは、シナリオガイドに登場しているNPCとそのパートナーのみとなります。
 ご了承ください。

 それでは、皆さまのご参加を心よりお待ちしております!

▼サンプルアクション

・初日の出じゃなく、悪夢を見るなんて!

・救助隊に参加

・温かいスープを作ろう

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2012年12月29日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2012年12月30日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2013年01月03日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2013年01月17日


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