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【神劇の旋律】タシガンの笛の音

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シナリオガイド

呪われし音色が導く先は、破滅か混沌か
シナリオ名:【神劇の旋律】タシガンの笛の音 / 担当マスター: 篠原 まこと

 レモ・タシガン(れも・たしがん)が、ある日忽然と、姿を眩ましました。


「なんで、こんなことに……」
 苦しい息の下、カールハインツ・ベッケンバウワー(かーるはいんつ・べっけんばうわー)が呟きます。
 ジェイダス・観世院(じぇいだす・かんぜいん)に捜索を頼まれ、レモの行方を追っていたカールハインツは、森の奥で確かに一瞬、あの小柄な少年の姿を見つけたのです。
 けれども……。
(あれは、違う。あれは、レモじゃ、ない)

『失せなよ。僕は、君に興味ないんだ』

 微笑んだ、赤い瞳。
 同時に繰り出された強烈な一撃に、カールハインツは深手を負わされていていました。
 ぎりぎりに身をかわしたからこそ、なんとかこうして動けてはいます。もしもまともにくらっていたとしたら、命はなかったことでしょう。
 膝をついたカールハインツに、少年はそれ以上の追撃はせず、ただ姿を消しました。
 美しく、だがひどく禍々しい、澄んだ笛の音とともに。
 
(あれは……ウゲン・タシガン(うげん・たしがん)だ)
 カールハインツには、そうとしか思えませんでした。
 けれども、何故? ウゲンは幽閉されている身です。誰であろうと、面会することもかなわない、シャンバラ刑務所の最下層にいます。なのに何故今更になって、レモの姿にあの黒い影を見たのでしょうか……。
「畜生……」
 しかし、今は、考え込んでいる暇はありません。
 なんとしても、薔薇の学舎に帰り着き、そして、この異変を伝えねばならないのです。
 ひどく重たい体を引きずり、カールハインツはそうして、なんとか薔薇の学舎へと帰り着いたのでした。



 一方、その頃。
 ザンスカールにある、カフェ・ディオニウスでは、美しい三姉妹が一堂に会していました。
 閉店後のカフェには、ほかに人の姿はありません。
「ねえねえ! 今日、学校できいたんだけど! ストラトス・フルートが見つかったかもしれないよ!」
 興奮した口調で、パフューム・ディオニウス(ぱふゅーむ・でぃおにうす)が報告します。
「どういうことですの?」
「ただの噂じゃないでしょうね」
「シェリエ姉、ひっどぉい! ちゃーんと、ルドルフ校長からの依頼だもん!」
 パフュームは丸い頬を膨らませ、事情を説明しはじめました。

 ――ルドルフ・メンデルスゾーン(るどるふ・めんでるすぞーん)が他校生徒にも依頼をしたのは、カールハインツが重傷を負って薔薇の学舎に戻った、その五日後のことです。
 あれから、レモは自ら薔薇の学舎に戻ってきました。
 しかし、カールハインツの言うように、すでに彼は、以前のおとなしい少年ではなかったのです。
 ナラカの化け物を従え、レモは強大な力でもって、薔薇の学舎の敷地に一角を構えるオペラハウスを占拠しました。
 このまま捨て置けないのは言うまでもないが、なにより、レモにはとてつもない切り札があります。
 ……あの、エネルギー装置です。
 ジェイダスとラドゥ・イシュトヴァーン(らどぅ・いしゅとう゛ぁーん)が、カールハインツの報告を受けて即座に施設関連を封鎖し、自ら護衛となったことにより、レモはそちらに手を出すことはできません。しかし、それも時間の問題です。
 レモだけが、あの装置の鍵であるという事実は、今も変わらないのですから。

 よって、ルドルフは、薔薇の学舎生徒たち全てに、この問題の解決を命じました。
 同時に、他校生においても、協力者を募ることにしたのです。

「それはわかったけど……それとフルートに、なんの関係があるの?」
 シェリエ・ディオニウス(しぇりえ・でぃおにうす)が当然ともいえる問いかけをします。
「それがね。レモって子が失踪する少し前に、なんでも、差出人不明のプレゼントが届いたんだって。それが……」
「ストラトス・フルートだったのですわね」
 トレーネ・ディオニウス(とれーね・でぃおにうす)が、パフュームの言葉を引き継ぎました。
 ストラトス楽団の楽器を持つ者は、突如として別人のように豹変することがあるらしいのです。
 レモは今、闇の力に操られてしまっているのかもしれません。
「急ぎ、タシガンに向かったほうがいいかもしれませんわ。……闇の力が、全てを蝕んでしまう前に」
「賛成ね」
「意義なーし!」
 ……こうして、カフェ・ディオニソスは、しばしの休業とあいなったのでした。








『……不思議な音が聞こえるんだ。
 笛の音。とっても綺麗な。だけど、……すごく、怖いんだ。
 ここは、どこなんだろう? わからない。意識が、ぼうっとする。
 僕はまた、石に戻ってしまったんだろうか。それとも……?

 聞こえるのは、ただ、不思議な音色だけ。
 誰か……誰か、この音を、
 
 ……止めて……』




担当マスターより

▼担当マスター

篠原 まこと

▼マスターコメント

 このシナリオは、「神劇の旋律」関連のシナリオとなります。

 ウゲンとうり二つであり、彼に作られた存在であるレモ・タシガンが、楽器を手に入れた事によって正気を失ってしまっています。
 どうか彼を助けてあげてください。

1)オペラハウスについて
 薔薇の学舎の本校舎よりやや離れたところにある、名前の通りの音楽施設です。
 また、貴賓室や、食事を楽しむための施設、また、周囲には薔薇の庭園があります。

 しかし、どうやら内部はレモの力によって空間が歪み、通常の状態ではありません。
 以前からこの建物に詳しいとしても、迷うことはあるでしょう。
 そこでは、敵として『自分自身』が現れることがあるようです。十分に注意してください。
 また、レモの持つ笛の音が、精神的に弱い存在、とくに子供に作用し、操られる可能性も危惧されています。

 現在は周辺に、レモがナラカより呼び出したモンスターが徘徊しています。
 こちらは主にアンデッドの類いです。彼らを掃討しなければ、内部に侵入するのは容易ではないでしょう。

 今回、オペラハウスおよびその周辺に関しては、女性も立ち入りは可能です。
 ですが、本校舎そのものは、いつも通り女子禁制ですので、ご注意ください。

2)三姉妹について
 三姉妹は強力なキャラクタークエストの助っ人ですが、キャラクタークエスト「三輪の花」をプレイして頂くと、彼女達のことが少し分かります。
 なお、彼女達と知り合いかどうかは称号で判断いたします。
 三姉妹関連の称号を付けていれば知り合いとさせて頂き、付けていなければ初対面とさせて頂きます。
 彼女たちは、表向きはルドルフの依頼の協力者ですが、自分たちの目的のために動いています。
 三姉妹に協力するか否かは、自由です。


3)NPCについて
 ジェイダス、ラドゥは、薔薇の学舎から離れた谷にあるエネルギー装置の元にいます。レモの影響か、一度はおさまったモンスターたちが、再び装置を目指して蠢いているためです。こちらも、オペラハウス外部の敵と同様に、アンデットが主となります。
 ルドルフは自ら、オペラハウスの戦闘を率いるつもりです。
 カールハインツもまた、傷ついてはいますが、オペラハウスに向かうことでしょう。
 今回のシナリオでは、上記以外のNPCについては、原則登場させることはできません。アクションをいただいても、不採用とさせていただきます。ご注意ください。


 オペラハウスに響く妖しい笛の音が、一刻も早くやむことを祈ります。


▼サンプルアクション

・オペラハウスにむかい、周囲の敵と戦う

・レモを正気に戻すために、説得を試みる

・彼女たちの潜入に手を貸す

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2012年05月05日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2012年05月06日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2012年05月10日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2012年05月24日


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