このシナリオを含む、11月27日(日)まで公開の【重層世界のフェアリーテイル】後編へのシナリオ参加は、
【重層世界のフェアリーテイル】後編全体で、1ユーザー様につき最大2PCまでの参加』
『マスターシナリオ1つにつき1ユーザー様1PCまでの参加』
『同キャラクターの複数シナリオへの参加の禁止』
をお願い致します。
1PCが2本のシナリオへの参加決定、また1ユーザーが所有するPCのうち、3PC以上の参加決定が確認できた時点で、参加した全てのシナリオにおいて白紙扱いとなります。ご了承下さい。
※ただし、追加募集になった場合はその限りではございません。
追加募集になったシナリオに限り、上記のルールは適応されなくなります。
――トロイア基地
未知の侵略ロボット、ドールズから未来都市オリュンズを守る防衛基地。
基地のミネルヴァ軍はこの防衛作戦において、新たな局面を迎えていました。
エルメリッヒ・セアヌビス博士が報告します。
「バーデュナミス。とうとう完成しました――」
一つはバーデュナミス、BD―01「フィーニクス量産型」の完成です。
「パラミタ側からもたらされた《機晶技術》により、動力部分に既存の機晶エンジンを流用することで、エンジンかかるコストを削減、生産性が向上。
更に、コックピットインタフェースの利便性、変形後の安定を確保し、試作機にはない新たな可能性を獲得しました」
それを聞いたミネルヴァ軍、トロイア基地最高司令官、フィンクス・ロンバート大将は頷きます。
「そうか、完成したか! 敵の本拠地もわかり、我が軍はこの防衛戦に終止符を売れるわけだ」
ドールズの本拠地は、ここより東の消えた廃都市、ヘリオポリスが奴らの根城です。
「今までヘリオポリスはその姿を隠していた。
調査によれば、都市の周囲に不可視の《テレポート》ゲート障壁が張り巡らされてあり、空間的に隔絶されていたとのこと。
事前の調査団の働きにより、その障壁が破壊され、ヘリオポリスを視覚的に捉えられる様になり、襲撃作戦が可能です」
マシュー・アーノルド空軍中将も意気込みを新たにします。
「敵の正体と目的も分かった」
キョウマ・ホルスス博士が説明を続けます。
「ドールズの正体は2つ。伝承にある嘗ての戦いにて破損したロボットと、それを操る黒い靄たるナノマシン群だ。
このナノマシンは複数の種類が存在し、ドールズのエネルギーを生成するもの。
外壁から侵食、電子的にではなく、機体を直接制御するもの。
更に、侵食した機体を量子レベルで分解、再構築できるものもある。これがドールズの神出鬼没な出現、量子《テレポート》での出現を可能としていた。また、これにより機体の自己修復を有していることも分かった。
だが、これらのナノマシン群は末端に過ぎない。これらのナノマシンを統括するナノマシンが存在するはずだ。そしてそれらを操るマスター、
――『ドールズマスター』が存在するはずだ。そいつが居るとするならヘリオポリスだろう」
キョウマ博士の説明に、アーノルド中将が続き、説明します。
「敵の目的はオリュンズの中心たる雷霆。そこにある都市管理マザーコンピューターRAR.に封じられている大いなる者の『最終兵器』の封印解除こそが奴ららの目的だそうです。
異世界から来た彼らがRAR.から得た信じがたい報告だが、フィン。私はこれを確信している」
「お前もか。私も何故だかな――」
それはドールズの侵略の裏に、大いなる者意思が関わっている事がわかっています。
ヘリオポリスが大いなる者の封じられた土地であることからも明らかです。
「しかし、この好機は逆に危惧すべき事でもあります」
エルメリッヒが指摘します。
「ヘリオポリスを覆っていた障壁は、もしかしたら、ドールズを都市に封じるために施されたものだったとしたら、障壁を掻い潜るための量子《テレポート》での出現だとしたら――
障壁の無くなった今、ドールズは今までにない侵攻作戦を開始するかも知れない。
現に、ドールズの出現周期である7日を大幅に過ぎているのに、ここ数日はドールズは都市周辺に出現していないんです。その分、僕らの兵器開発が進みましたが、敵も、次の侵略に向けて準備を整えているとも考えられます」
「ああ、俺もそうだと思う」
兵器開発を担当していたキョウマも同意見です。
「しかし、俺とパラミタの諸君の手により、対ドールズ兵器が完成した!
ドールズの正体がナノマシン群であること前提に、その機能を停止させるためだけの兵器だ。
俺はこれを『ハルパー』と名付けた。メデューサの首を刎ねた剣と同じなだ」
「けど、『ハルパー』はドールズのナノマシンをシステム素体として使っている諸刃の剣だろう?
ナノマシンの有機変化に対応するためには仕方の無いことだけど、これを使うにはあまりにも危険だよ」
「ああ、そうだ。しかも、『ハルパー』は完全ではない。これ末端のナノマシン群の機能を停止できるものであって、それらを統括するナノマシンを停止する事はできないだろう……。
統括ナノマシンのデータさえわかれば、組み込みは簡単なのだが、拿捕した中にはその統括ナノマシンを得ることは出来なかった。おそらく、それは『ドールズマスター』の元に有るのだろう」
「ドールズマスターを見つけ、統括ナノマシンの情報を奪い、ハルパーで止めを刺さなければ、ミネルヴァ軍に勝利はない。ということか――」
ロンバート大将の言葉の後、深い沈黙が訪れます。
アーノルド中将が覚悟を決めます。
「フィン。この兵器を彼らに使わせるわけにはいかない。ましてや、部下にもだ。必要なときは私が使おう」
ロンバート大将は彼の覚悟を受け止めて、彼もまた言います。
「わかった。お前に任せる。だが、今回は私も前に出させてもらう。
実は、ドールズを一体鹵獲した事により、思わぬ副産物を得た。
回収したドールズを整備班が修理し、再利用することが可能となった。
機体装甲に『スフィーダ』と記されていた。機体の名前なのだろう。
私はこれに乗り、前線の指揮を取る。基地の事は博士たちに任せる」
そして、この防衛作戦の最終作戦が伝えられます。
「ここに我が軍、最初にして最後のヘリオポリス侵攻作戦『オベリスクを奪取せよ!』を開始する」
ロンバート大将の言葉に皆が敬礼しまします。盾を構える様に左拳を右胸に復唱します。
「我らミネルヴァ軍、オリュンズを守る盾(アイギス)となれ」
――そして、同時にドールズによる最終にして最大の侵攻作戦も開始されようとしていました。