葦原明倫館

　２０２４年、夏。
　パラミタ内海に面する、とある砂浜にて――。

　蒼空学園第三代校長兼理事長の馬場　正子（ばんば・しょうこ）は、透き通るような蒼い空と紺碧の水面、そして強烈に降り注ぐ陽光を跳ね返す真っ白な砂浜をゆっくりと見渡しながら、しかしその面には、何ともいえない渋い表情を浮かべていました。

「何でまた、こんなところであんなものを設営したのだ」
「ふっふふふ……この灼熱の太陽のもとでこそ、熱い戦いに華を添えられるというものよ」

　答えたのは、馬場校長に優るとも劣らぬ立派な体格の持ち主、ヴァンダレイ・シルバ――空京の地下闘技場をホームグラウンドとする格闘家でした。
　傍らに立つヴァンダレイの自信満々な笑みに、馬場校長はやれやれと小さく肩を竦めます。

「地下闘技場の出張イベントっちゅうから、わしもレフェリーを務めん訳にはいかぬ故、わざわざこうして出張ってきたが、このクソ暑い中よ。出張手当は２割増しで貰わねば割に合わんぞ」
「その点は心配ない。今回のスポンサーはシャンバラ行政府、即ち国家機関だ。資金は潤沢ぞ」

　いいながら、ヴァンダレイは馬場校長と同じ方向に視線を転じました。
　ふたりが見つめるその先には、真っ白な砂浜には全く似つかわしくない代物、即ち、６メートル四方の四角いマットが鎮座していました。
　その周辺には場外用鉄柵が張られていますが、地面が砂浜である為、場外用マットは敷かれていません。
　一方、観客席は砂浜での地べた座りとなりますが、花道にはしっかりと装飾が施された豪華なゲートが用意されていました。


　　　　　＊　＊　＊


　この年、地下闘技場は真夏のイベントとして、８名の猛者達をトーナメント形式で優勝を争わせるＳ−１グランプリの開催を発表しました。
　試合形式は純粋にプロレスですが、どのようなスタイルでもオールウェルカムな大会です。
　ちなみに、ヴァンダレイ・シルバは主催側のスタッフのひとりではありましたが、選手としてトーナメントに参加することが決定しています。
　つまり、残り７名を新たに募集しなければなりません。


　　　　　＊　＊　＊


「今から募集して、当日までに集まるでしょうか？」

　今回の大会に急遽、ラウンドガールとして呼び出された泉　美緒（いずみ・みお）が、ふくよかな胸を持ち上げるような格好で腕を組み、心底疑わしそうな表情で小首を傾げています。
　しかしヴァンダレイは何故か偉そうにふんぞり返り、傲岸不遜な含み笑いを漏らしました。

「その場合は、このヴァンダレイが不戦勝で優勝をかっさらうだけの話よ」
「何だ、それは。そんな結果になれば、わざわざ大会を開催する意味が無いではないか」

　馬場校長の指摘は尤もなのですが、しかしそのようなことをいちいち気にするヴァンダレイではありませんでした。

　本シナリオガイドをお読み頂き、ありがとうございます。

　内容は、至ってシンプルです。
　プロレスで勝負し、優勝を目指して下さい。
　優勝者には【２０１４　Ｓ−１クライマックス優勝】の称号が付与されますが、それ以外は特にこれといった特典はございません。
　まぁ要するに、プロレスしたいひと、出てこいやぁ！　なシナリオです。本当にただ、それだけです。

　トーナメントに参加出来るのは最大７ＰＣ（ＭＣ、ＬＣ問わず）です。
　もし参加希望ＰＣ数がＭＣ・ＬＣトータルで７名を越えたら、選抜予選が行われます。
　逆にトーナメント参加ＰＣが７名に満たなかった場合、適当なＮＰＣが補填されますが、誰が出場するかはリアクション執筆時の各ＮＰＣの状況に因ります。

　尚、試合会場には人間Ｐキャンセラーことラインキルド・フォン・リニエトゥテンシィが来場しており、コントラクターとしての能力（スキル、アイテム全て）は片っ端から無効化されますのでご注意下さい。

　凶器の使用はレフェリーにばれなければ問題無し、ばれたら反則負けとなります。

　トーナメントへの参加を希望される場合は、以下の内容を明記してください。

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　打撃技、投げ技、極め技を五種類、記入してください。
　バランス良く配置しても良いですし、どれかひとつの系統に絞っても結構です。
　但しそれぞれの系統には有利・不利があり、お互いにジャンケンの三すくみに近い関係が存在します。
　以下が、その相関関係です。

　　打撃技は極め技に強いが、投げ技に弱い。
　　極め技は投げ技に強いが、打撃技に弱い。
　　投げ技は打撃技に強いが、極め技に弱い。

　技の名前と具体的な説明は、必要と思われたら記入してください。
　マスター側で理解出来ない内容は勝手に改変されますので、ご注意願います。

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　試合に参加しない場合、以下のようなアクションが考えられます。

・観客として観戦する
・トーナメント参加者のセコンドにつく
・ラウンドガールを務める
・売り子になって商売する

　上記はあくまでも例ですので、他にもこれはというアクションがあれば、是非試してみて下さい。

　尚、ＬＣは最大二名までとさせて頂きます。
　三名を超えた場合、三人目は白紙投稿ＰＣとして没扱いとなりますので、ご注意下さい。


　それでは、皆様からのアクションをお待ちしております。

・Ｓ−１クライマックスに出場する。

・観戦する。

・Ｓ−１クライマックスのスタッフとして働く。