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【逢魔ヶ丘】魔鎧探偵の多忙な2日間:1日目

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【逢魔ヶ丘】魔鎧探偵の多忙な2日間:1日目

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シナリオガイド

初めてのクラフトワーク・手作りの魔鎧……って何それ
シナリオ名:【逢魔ヶ丘】魔鎧探偵の多忙な2日間:1日目 / 担当マスター: YAM

 謎の契約詐欺集団……と単にいうにはあまりに奥底が見えない不気味な反社会組織『コクビャク』の悪事の全容を解明するべく、空京警察は、彼らがその手で地球人と契約させたパラミタ人種を送り込み、死に至らしめていると思われる「丘」なる場所を、シャンバラ北西部にある、大陸よりも高い位置にある浮遊島群のなかにあると見て、捜索を続けていました。
 これらの島の中の一つに、昔ながらの集落での生活を続けている守護天使の一族があることが分かりましたが、警察からの問い合わせには「そんな集団は知らない」というそっけない一言が返信されただけでした。
 噂によると彼らは古い血を守ることに固執し、現代の地球人や様々な種族が入り乱れるパラミタ社会を嫌い、外部の干渉を受け付けない排他的な生活をしているそうです。
 しかし、この集落以外には大した要所や他の遺跡などは群島内にはなく、またしても警察の捜査は行き詰まりかけていました。


******


 空京。
 魔鎧探偵キオネ・ラクナゲンの事務所が入っている雑居ビルの1Fにある「ぽかぽっか弁当」。
 ここでバイトしている綾遠 卯雪(あやとお・うゆき)は非契約者の地球人少女。契約は一度試みたものの素質がなかったらしくできなかったのですが、本人は特に気にせず、せっせと働いて稼ぐ毎日。夢はいつか自分の弁当屋を持っていずれは独立し、一代で財をなして女手一つで育ててくれた母に楽をさせたあげることです。
 そんな彼女の生活にいきなり入り込んできているのが、魔鎧探偵なる胡散臭い男・キオネ。

「あの、卯雪さんの……今日の、終業時間……訊いても……」
「誰があんたに教えるってのよ魔族。買うもん買ったらもう帰ってよね。あんた、人の魂で鎧作るんでしょ。うちのお客さんに手ぇ出したら、熱々の揚げ油ぶっかけるからね!」
 こんなやりとりを、もう何度となく繰り返している仲です。
「ご、誤解しないでください……俺は、『魔鎧になることを承知した魂でしか魔鎧を作らない』が信条で……っ」
「魔族の言葉なんか信じられるかってのっ」
「それは偏見ですよ……っ、魔族だって真面目な人はいますから」
「あーもーうっさい、廃棄寸前の唐揚げやるからさっさと帰れっ」
「……通りすがりが差し出がましいことを申し上げるようですが、本当に、キオネ様は真摯な職人でいらっしゃいます」
 いきなり、店に入ってきた背の高い、フード付きマントをかぶった女性が低い声で囁くように言ってきたので、2人はぎょっとしました。
「……!? シイダ? シイダかい!?」
「ご無沙汰しております、キオネ様」
 女性はフードを取ってキオネに深々と一礼すると、今度は卯雪に向かって挨拶しました。
「ご挨拶が遅れました。私、キオネ様の手による魔鎧・シイダと申します」
「魔鎧?」
「私は昔、とある事故から大病を得て死ぬばかりだったのを、キオネ様の手によって魔鎧の身となることで永らえたのでございます。
 キオネ様は魔鎧となった私を束縛しませんでしたので、今も私は大事な者の傍にて日々を送っております。
 探偵業のことは疎うございますが、魔鎧職人としてのキオネ様は、そういう方なのでございます」
「あ、あのシイダ、いつ空京に!? 俺に何か用があって来たの?」
 いきなり自分のことを持ち上げられてむしろ慌てたキオネが、彼女の言葉を遮るように尋ねました。
「はい、実はご相談したいことが」
「そ、そう、分かった。じゃ、取り敢えず俺の事務所で」
 何だか卯雪との会話がうやむやに終わった形で、キオネはシイダを連れて事務所へとそそくさと引き上げてきました。




「これを見ていただきたいのです」
 シイダは一枚のビラを、キオネに見せました。


初心者にも優しい魔鎧作り教室 開催!!

 新時代の貴族の嗜みかも? 魔鎧作りは決して難しくはありません。
 初心者でも心配いりません。講師が優しく教えてくれます。
 あなた好みの魔鎧、気軽に作ってみませんか?

 興味のある方はこちらまで (以下略)』

 


「…………ふざけ抜いている」
 どこのクラフト教室だよ、と、キオネは頭痛を覚えました。
「シイダ、どこでこのビラを?」
「我が家の者が手に入れました。よくご覧くださいませ、キオネ様。
 この『初心者向け魔鎧作り教室』、主にザナドゥの田舎に引きこもったような貴族家悪魔の子女――かつての私のような者――が対象なのですが、何故か場所はザナドゥではなくタシガンなのです」
「本当だ。『タシガン・白林館』……?」
「それからこちらをお読みくださいませ」


『※ 材料の魂はこちらで用意しますので、安心して手ぶらでお越し下さい。
 もちろん、使ってみたい魂をお持ちの方は、お持ち込みくださって結構です。』


「魂は用意する……?」
「私は今もあの館にて父と、数人の使用人と共に、世事に関わることなくひっそり暮らしております。ゆえに、世間の動向には疎うございますが……
 最近、世を騒がす『コクビャク』なる集団。なんでも彼らに関わって、多くの者が命を落としながら、その“死の戦場”は未だどことも知れぬとか。
 その死者たちの魂は、無事にナラカへと辿りついたのでしょうか……?」
 キオネはハッとして、シイダを見ました。
「この教室、コクビャクが関わっている、と……!?」
 シイダは憂いを湛えた暗い瞳で、キオネを見ました。
「何らかの術を持ってして魂を捕獲し封じ込め、この教室へ運ぶ……ザナドゥでなくタシガンなのも、その方が地の利があるからとも考えられないでしょうか。
 それを職人でも何でもない、世間知らずの悪魔の子女の手で魔鎧にすることに何のメリットがあるのか、それは測りかねますが……
 ですがそれ以上に……私には不安があるのです、キオネ様」
「それは……?」
「この白林館という名前……。
 数十年前、私が甘言に乗って参加してしまい、あの恐ろしい病を得るきっかけとなった人体実験を行っていた施設が、そう呼ばれていたのです……」
「何だって……!」
「あの館、今はもうその場所にはありません。が、どこかに移築されたという噂も昔からありました」
「君を蝕んだ病の源となった実験が、コクビャクの手によるものだったというのか……?」
「噂でしか聞いたことがありませんが、コクビャクには魔族が関わっているとか……
 ならばその根が、かつてはザナドゥにあったとしてもおかしくはないかと」

 不意に、キオネはシイダを見ました。
「……今でもあの家に引っ込んでいるにしてはいろいろ聞いているんだね、シイダ。
 もしかして、誰かが君に教えた? この、俺の事務所の場所も……」
 シイダはしばらく、キオネを見つめ返していましたが、不意にかくしから一枚の紙を取り出しました。
「――ビラの真相を追って、ザナドゥへいらしたようですが……たまたま立ち寄られまして。
 これをキオネ様に渡すよう、仰せつかっておりました」
 紙にはこう書かれていました。


『奴らの移動手段は飛空艇の可能性大。
 発着場に使える開けた場所が館の近くにあるはず。
 飛空艇の航路は、あんたなら予想がつくんじゃない?

 この件全部終わったら、改めて話を聞かせてもらう。
 あの、「彼女」の匂いのする地球人の娘のことも含めて。
 今まで相当ニアミスしてたの、お互い露ほども気付かなかったわけじゃないでしょ?

 適当なこと言ってお茶濁すなら、あんたと言えども刃の錆にするから、そのつもりで』



「……相変わらず、物騒な」
 キオネは溜息をつきました。
「シイダは、今まであいつに会ったことあるんだっけ?」
「いえ、先日が初めてです。ですが、話には聞いておりましたし、何よりキオネ様のこともエズネル様のこともよくご存知でした。
 ……ので、ご本人の名乗りを真に受けてしまったのですが、もしかして」
「あ、いや、心配しないでいいよ。間違いなく刀姫カーリア本人だろうから」
 キオネはそう言って、紙切れを指に挟んで振りました。
「しかし……直接対談はもう少しだけ先に延ばしたかったんだがなぁ。絶対話がこじれそうな気がする……」
 気弱な呟きをこっそり紛らわせながら。
「これは俺一人で追えるようなもんじゃない……つまりは、応援要請役を俺に押しつけて来たってとこか」



******


 キオネはしばらく独自に調査した後、警察にビラとその成果を持っていき、ある推測と計画とを立てました。
 調査の結果、魔鎧作り教室に参加するザナドゥの魔族(田舎の土地持ち貴族の子女がほとんど)たちは、教室開催日の前日に白林館に集まり、ささやかな夜会を催して翌日を待つということが分かりました。
 また、ビラを頼りにシイダがザナドゥで仕入れた情報によると、教室の「講師」は当日になってから来館するそうで、「魂」もその時に一緒に運び込まれるようです。
 おそらく、前日の時点で、講師はいなくても教室開催に携わるスタッフの類は、何人かは館にいるでしょう。本当にコクビャクの息がかかっているのかどうかを確認するためにも、前日に潜入して教室関係者を探り、もしコクビャク関係者だった場合には大ごとにせずに彼らを拘束する必要があるだろう――何故なら翌日に講師や魂搬入者などの重要人物が来るはずなので、異変を気付かれて彼らが警戒して逃げるのを避けるため――という結論に至りました。
 つまり、前日のうちに外部に知られないように館を空京警察の制圧下に置いて、当日何も知らずにやってくる比較的大物(推定)をおびき寄せて捕獲したい、という思惑です。



******


 それとは別に、キオネは、シイダから個人的な相談を持ちかけられていました。

「実は、私の家でずっと働いておりました小間使いの娘が、何か思うところがあったようで『魔鎧になりたい』と言い残し、暇を取ってどこかへ消えたのです。
 とりもなおさず、このビラを手に入れてきたのはその娘なのですが……
 彼女は花妖精で、闇商人に売られてきたのを我が家で保護してから、ずっと勤めていてくれていたのです。
 私の勘ですが、今回の参加者の誰かに頼み込んで、素材となるためについていくつもりではないかと。

 彼女を見つけ、できれば止めてもらいたいのです。
 私とて自身の望みで魔鎧となった身。何のつもりかは分かりませんが、真剣な目的があっての願いなら無下に阻むつもりはありません。
 ――けれど、それならばせめて、キオネ様のような信用できる職人様の手で……
 長く勤めてくれた彼女には家族のような愛着があります。恐ろしいものに関わって不幸になってほしくはないのです」


担当マスターより

▼担当マスター

YAM

▼マスターコメント

 こんにちは、YAMです。
 12作目のシナリオは、前後編の前編という扱いになります。よろしくお願いいたします。
 またしても長々しいガイドで申し訳ありません……。

 今回はこの謎の「初心者にも優しい魔鎧作り」教室を巡る諸々を解決するのが目的です。
 なんのつもりか、手芸教室感覚で魔鎧作り体験を謳っているという、なかなかふざけたシロモノです。
 前編は教室開催前日の1日となります。当日の展開は後編で示される予定です。


【白林館】
 タシガンの一角に建っています。
 ガイド本文中のシイダの言葉通り、過去に怪しげな実験に使われたものであるかどうかは、シイダが確認する必要があります。
 今のところ、あまり物々しい警備はしていないようです。
 しかし早々と教室参加者が来ているので、相応の警備はあるでしょう。


【教室参加者】
 本文の通り、ザナドゥの田舎で土地を持っている貴族悪魔の子女がほとんどです。
 総じて、波乱の少ない田舎のお屋敷でひっそりとくらしているせいか、権力争いや煩わしい世事などをほとんど知らない、おっとりした箱入り娘ばかり。
 はっきり言って「世間知らず」の群れです。
 よっぽど攻撃的に接するのでもない限り、むやみやたらに喧嘩になるようなこともないでしょう。
 シイダも元はこのような家柄の子女の一人でしたが、いろいろあってそのような娘たちとの付き合いからは一歩退いているようです。
 魔鎧になってからは外聞が悪くて会いにくいという抵抗感もあるようです。


【シイダについて】
 田舎の貴族悪魔の一人娘で、キオネの手によって魔鎧となり、今は父と、少人数の使用人と共に、生まれ育った館でひっそりと生活しています。
 魔鎧となった理由は本文の通り、怪しげな実験の被験体となったことで病を得たためですが、どうやら父親も体が悪いらしく、父の面倒を見て過ごす日々だとか。
 ゆえに魔鎧としての主は持たず、キオネとはそのような経緯からの穏やかな知人関係です。
 本文にあるように、何故か『炎華氷玲シリーズ』の魔鎧とも接触したことがあるようです。
 キオネを全面的に信頼していますので、彼を通じて信頼がおけると判断した相手になら、質問などにも答えるでしょう。
 ただ、奥ゆかしいところがあるので、自分の秘密は打ち明けても、他人の秘密を開示することには抵抗しますのでご注意ください。
 このシナリオでは彼女は、キオネと共に館に潜入します。


【シイダの捜し人】
 素性は本文の通りです。
 魔鎧になりたい理由は、シイダにも分かっていません。
 参加者に接触して探せば、見つかるかもしれません。


【刀姫カーリアについて】
 館の情報をキオネに渡して暗に対処を任せてきたところを見ると、彼女はこの件では動くつもりはなさそうです。
(※PL情報 表立った動きは2日目に見せてくるでしょう)
 姿を見せないとは限りませんが、PCと絡める位置での登場はまずありません。


▼サンプルアクション

・館に潜入し、制圧する

・シイダの捜し人を捜す

・シイダと話して情報収集

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2013年09月10日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2013年09月11日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2013年09月15日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2013年09月27日


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