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レベル・コンダクト(第2回/全3回)

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シナリオガイド

隠れる者、現れる者、企む者、暴く者
シナリオ名:レベル・コンダクト(第2回/全3回) / 担当マスター: 革酎

 南部ヒラニプラに反・金鋭峰勢力、現る――。
 この一報により、ヒラニプラ内はかつてない緊張に覆われました。

 鏖殺寺院の残党パニッシュ・コープス新型機晶爆弾ノーブルレディを奪取し、ヒラニプラ南部に位置する領内第三の都市バランガンを占拠した事件は、鎮圧に当たった第八旅団による完全制圧という、一見最も好ましい結果に終わったかのように報じられました。
 しかしその過程で、金 鋭峰(じん・るいふぉん)のパートナー関羽・雲長(かんう・うんちょう)が、ノーブルレディ発射の阻止に失敗したとして、その全責任を背負う格好で旅団長を解任され、彼の教導団内に於ける権威が著しく失墜しました。
 更にレオン・ダンドリオン(れおん・たんどりおん)中尉が上官殺しの容疑で国軍指名手配となり、現在逃走中という状況が発生しており、手放しでは喜べない感情が、ひとびとの表情に重苦しい陰を落としています。
 更にヒラニプラ家の管理行政官であるヴラデル・アジェンが、関羽将軍を第八旅団の長に充てた金団長への任命責任、及び南部ヒラニプラの経済疲弊を招いた政治責任を問うという名目で、シャンバラ教導団の団長職返上を求める声明を出すに至っています。
 今やヒラニプラは、南北に分かれて内戦に近しい状態へと突入しつつありました。


     * * *


 バランガン駐屯部隊基地の、上級司令部内。
 関羽将軍に代わって第八旅団の全権を握ったミゲル・スティーブンス准将が、執務デスク前で何ともいえない微妙な表情を浮かべています。
 その手には、望遠レンズで撮影された、ある人物の姿が写っていました。その人物とは――バァル・ハダド(ばぁる・はだど)東カナンの現領主です。
「東カナンが、ダンドリオンに手を貸そうという動きを見せておりますな」
 スティーブンス准将の支配下にある第八旅団に於いて、副官的地位を任されている御鏡 兵衛(みかがみ ひょうえ)中佐が資料の束を手にして、歩を寄せてきました。
 その御鏡中佐の言葉に渋い表情を返し、スティーブンス准将はうむ、と小さく頷きます。
「バァル・ハダトめ、こちらの意図に気づき、餌を蒔こうという腹積もりか。噂通りの食えぬ男よ」
「ところで、准将閣下」
 御鏡中佐はスティーブンス准将の意識を室内の別方向へ促そうと、軽く手を挙げました。
 スティーブンス准将がその方角に視線を向けると、大気が淀んだように揺らめき、黒い亀裂が空間上に出現しました。
 その亀裂の中から、ふたつの屈強な人影が出現してきたのですが、スティーブンス准将も御鏡中佐もまるで驚いた様子は見せず、寧ろ待ち受けていたかのように、ゆったりとした仕草で出迎えます。
「これはこれはラヴァンセン伯爵に、ジェルキエール男爵。随分とお早いお着きで」
恐竜騎士団からの引き上げが、意外と早く済んだものでしてな」
 スティーブンス准将に応じたのは、マルセラン・ジェルキエール男爵なる人物でした。
 もう一方のギュイ・シド・ラヴァンセン伯爵なる巨漢は、むっつりと黙ったまま、ふたりのやり取りを聞いています。
「次はエルゼル駐屯部隊攻撃と聞いておりますが、この部隊を、どのように始末されるのですかな?」
「連中が、鏖殺寺院の一派と繋がっているという証拠映像を用意しました。ヒラニプラ家内の上級貴族を形の上で納得させるには、十分な材料です。エルゼルを悪の巣窟と糾弾した上で叩く……というのが、現在のシナリオです」
 御鏡中佐の説明に、ジェルキエール男爵は納得したかのように、鷹揚な調子で二度三度、頷きました。
「エルゼル駐屯部隊のうち、証拠映像を信じてこちらに味方する者はそのまま第八旅団に吸収します。しかし、絶対に始末しなければならない者も居ります」
「確か……ジェニファー・デュベール中尉とかいう軍用生物兵器科学者でしたな」
 ジェルキエール男爵は、御鏡中佐から手渡された写真をじろじろと眺めます。
 ジェニファー・デュベール――またの名を、野盗団アヤトラ・ロックンロールの女性幹部ジェニー・ザ・ビッチと呼ばれた美貌の二刀流ショットガン遣いは、今ではスティーブンス准将と御鏡中佐にとって、絶対に始末しなければならない目の上の瘤と化していました。
 ある任務の為に教導団を離れ、敢えて野盗団として行動していた彼女でしたが、その任務は失敗に終わり、失意の中で原隊復帰を余儀なくされたという経緯がありました。
 しかし何よりもこのジェニファーが厄介な存在として浮上してきたのは、彼女がヘッドマッシャーに関して詳細な知識を持っている、ということに因っていました。
「死亡した兄は鏖殺寺院の一員で、妹は教導団の生物兵器科学者……シャンバラ人というのは、よく分からん人種ですな。しかし、要求には応じましょう。我々としても、貴軍が早々に足場を固め、我々と足並みを揃えて東カナン攻略に本腰を据えられるよう、色々助力して参りませんとな」
 いいながら、ジェルキエール男爵は錦で飾られた一巻の文書を御鏡中佐に手渡しました。
 そこには、エリュシオン帝国から離反した主戦派の突龍騎士団恐竜騎士団の一部の龍騎士・従騎士達から成る新たな独立龍騎士団、即ち、冥泉龍騎士団(めいぜんりゅうきしだん)の主立った顔ぶれの氏名が記されてありました。
「これは……お聞きしていた以上の数ですね」
「帝国が敷く昨今の穏健且つ平和的政策、及び外交には辟易している龍騎士が、それだけ大勢居る、ということですよ。しかし流石にこれだけの数ともなると、拠点となり得る、まとまった土地が欲しくなる。だからこそ、早々に東カナン攻略を実現したいのですがね」
 半ばプレッシャーをかけるように、ずいと身を寄せるジェルキエール男爵の傲岸な態度に、スティーブンス准将と御鏡中佐は、揃って苦笑を浮かべるばかりでした。


     * * *


 東カナン西部の街、ベルゼン。
 教導団から上官殺しの容疑で国軍指名手配を受け、逃亡の身となっていたレオンは、ベルゼンの太守屋敷内へと招かれていました。
 何故自分が、こんなところに呼ばれ、そして半ば匿われるようにして堅い警護を受けているのか――最初は全く理解が出来ずに戸惑っていたレオンでしたが、通された一室の奥で、ある人物に引き合わされた瞬間、彼の疑問など遥か彼方へ消し飛んでしまっていました。
 そこに現れた人物のインパクトが、それ程までに強かったのです。
 レオンの前に佇む端正な面立ちの持ち主は、東カナンの現領主、バァル・ハダトそのひとだったのです。
「内々に、貴殿と話したいことがある」
 挨拶もそこそこに、バァルは引き締まった表情で、未だ戸惑いの中にあるレオンに向けて静かな声音を発しました。
グレムダス贋視鏡を、貴殿に貸し与える。これを使って、教導団の反乱分子が仕掛けた偽の証拠の数々が無効であることを暴いて貰いたい」
 レオンは、思わず息を呑みました。
 グレムダス贋視鏡――東カナンの代々の領主に伝わる秘宝で、あらゆる偽りを消し去り、真実の姿を露わにさせるという特殊魔装具です。
 但し、その効力は『映像関連』のみに限られている為、東カナンに於いては使いどころが非常に限定される代物でもあります。
 逆に、現代技術が流入しているシャンバラでは映像証拠の確度を高める分析装置として、極めて高い評価をこのグレムダス贋視鏡に与えています。
 あらゆる偽造映像や、変装を施した犯人の写真などを完璧に暴いてしまう絶対的な効果がある為、現行犯逮捕以外での取り締まりが難しい東カナンとは違い、シャンバラでは使い道に困らないのです。
 その絶対的な効力と希少性とがあいまって、滅多に持ち出されない秘中の秘たる存在なのですが、バァルはこれを、レオンに貸してやろうといっているのです。
 レオンが驚き、戸惑うのも無理からぬ話でした。
「大変嬉しいお言葉ですが、しかしそのようなことをされては、東カナンの立場が危うくなるのでは?」
「無論、承知の上だ。寧ろ貴殿には、スティーブンス准将とラヴァンセン伯爵の意図を白日の下にさらけ出す為の囮になって貰いたい」
 つまりバァルは――スティーブンス准将とラヴァンセン伯爵に東カナン攻略の企みあり、の意図があることを明確にさせたいといっているのです。
「連中が東カナンを狙っているということは、まだ六割程度の確度でしか分かっていない。そこで貴殿に味方することで、連中がどういう反応を見せるのかを見極めたい、というのがこちらの狙いだ」
 何を考えているのか分からない相手程、厄介なものはいない。逆に、明確な敵意があることを知ることが出来れば、対処の方法は幾らでもある――それが、バァルの狙いでした。
 こうまでいわれると、レオンとしても断る理由がありません。
 バァルが差し出すグレムダス贋視鏡を受け取り、力強く頷きます。
「ではまずこれで、あらぬ疑いをかけられているエルゼル駐屯部隊の無実を晴らします。あの部隊が叩かれてしまっては、金団長閣下の支配力の崩壊が止められなくなってしまいます」
 レオンの言葉を受けて、バァルはこの場に於いて初めて、その口元を僅かに緩めました。

担当マスターより

▼担当マスター

革酎

▼マスターコメント

 本シナリオガイドをお読みくださり、ありがとうございます。
 ヒラニプラ南部を舞台としたキャンペーンの第2回をお送りします。

 今回は、ヒラニプラ第四の都市エルゼルとその周辺が主な舞台となります。
 第八旅団側は、エルゼル駐屯部隊が鏖殺寺院との繋がりありとして糾弾し、金団長の指導力の欠如を正すとして、エルゼル駐屯部隊に鉄槌を加えると宣言しています。
 逆に、エルゼル駐屯部隊は第八旅団の一方的な宣告に猛反発し、戦火を交える覚悟を見せています。
 教導団員として第八旅団に加わるか、エルゼル駐屯部隊に味方するかは、皆様の意志ひとつです。

 アクションとしては、以下のような内容が考えられます。

 1.第八旅団、もしくはエルゼル駐屯部隊に参加して、市街戦を戦い抜く
  各NPCの思惑が色々入り乱れてますが、基本は単純な市街戦です。

 2.レオンと共にエルゼルの無実を晴らす為に行動する
  場合によっては、レオン自身の潔白を証明する行動にまで発展するかも知れません。

 3.東カナン、ヒラニプラ貴族、もしくは冥泉龍騎士団に対する行動を起こす
  現時点では、東カナンは建前上は直接関与していませんので、その前提で行動する必要があります。
  また、バァル・ハダトはガイドにこそ登場していますが、今回は彼に対するアクションは一切
  かけられませんので、ご注意ください。
  その代わり、東カナン西部の街ベルゼンの太守なる人物と接触を取ることは可能です。
  冥泉龍騎士団は割りと堂々と動いてますが、スティーブンス准将の義戦を助力するという
  名目で参戦している為、第八旅団的には問題無しという扱いになっています。
  尚、ガイドには出ていませんが今回もヴラデル・アジェンは何かやってることでしょう。


 以下は、PC情報として、参加頂けるPCの皆さんが事前に知っている内容として頂いて構いません。


■ヘッドマッシャー
――外見的特徴――
 身長はおよそ2メートル80センチ。全身を黒い革製のマントで覆った、巨漢の暗殺者です。
 いびつな黒い兜と、醜悪な黒い仮面を装着しており、ガスマスク越しのような呼吸音を響かせています。仮面越しの目は血走っており、ほとんど狂気そのものです。
――能力――
 肉体の周辺には常時Pキャンセラーが発動しており、彼に戦闘を仕掛けるものは、最も効果的と思われる能力をひとつ、打ち消されてしまいます。
 主な武器はブレードロッドと呼ばれる鞭性の二刀流武器で、しなやかに変化しながら敵に襲いかかり、少しでも触れれば真っ二つに叩き斬られます。
 現時点までに、スティミュレーター、プリテンダー、メルテッディン、アレスター、ディクテーターの5モデルが確認されています。

■冥泉龍騎士団
 エリュシオン帝国に於ける昨今の穏健且つ平和的な政策や外交に不満を抱いた帝国主義、或いは主戦派と呼ばれる龍騎士達が、一斉に帝国を離反して新たに創り上げた独立龍騎士団。
 本拠地を持たない根無し草であり、その規模や活動内容も全く知られていない為、半ば都市伝説化しているものの、最近になってその所在が少しずつ明らかになってきています。


 それでは、皆様からのアクションをお待ちしております。

▼サンプルアクション

・第八旅団、或いはエルゼル駐屯部隊に味方して市街戦を戦う。

・レオンと共にエルゼルの無実を証明する。

・交渉や調査、その他諸々に尽力する。

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2013年05月13日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2013年05月14日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2013年05月18日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2013年06月04日


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