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【ぷりかる】夜消えた世界

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シナリオガイド

その村から夜を消したのは、一人の少女の願いだった……?
シナリオ名:【ぷりかる】夜消えた世界 / 担当マスター: 相景狭間

 そこは、どこにでもあるような小さな村。
 その村の端にある丘の上で、一人の少女が一人の男と話していました。
 涼しげな印象を持つ男は、夕日を見上げる少女の顔を優しげに見下ろします。

「……なるほど。夜が怖い、と」
「うん。ねえ……なんで夜は来るの?」
「難しい質問だね」

 男は苦笑すると、夕日を見上げます。

「科学で説明がつく事象ではある。魔法学でも説明はつく。だが、君が求めているのはそういう答えじゃないんだろう?」
「私が聞くと、皆バカにするの」

 その言葉を聞いて、男は優しく少女の頭に手をのせます。
 それまで少女の隣に立っていた男は、静かに隣に座って遠くを見つめます。

「君が知りたいのは、夜のメカニズムじゃない。夜を遠ざける方法だ。夜に何ら価値を認められず、その駆逐を望んでいる」
「……難しくてわかんないよ」
「つまり、ずっと外が明るければいいのに、と。こういうことだろう?」
「うん」
「なるほど、人は暗闇の駆逐を求めて光を操る術を手に入れた。ならばいっそ、夜の駆逐を求めるのも不自然ではない」

 男は、何かを納得したように頷きます。

「……君の名前は?」
「リリア」

 少女の名前を聞くと、男は満面の笑顔で少女の手を取ります。

「リリア。君の持つソレは、大人が理屈で屈服させた原初の理想。君が望むならば……その理想を実現させよう」

 リリアは手を取る男の顔をキョトンとした顔で見つめます。
 当然でしょう。
 リリアは、この男とは初対面なのです。

「心配することは無い。私は対価など何も求めない。君はただ、一言だけ私に聞かせてくれればいい」
「……一言?」
「ああ。この私、理想追及機関ネバーランドの機関長オルヒト・ノーマンが君に問おう」

 そして、オルヒトと名乗る男はリリアに問いかけます。

「夜の無い世界。夜消えた世界。それは、君の理想かな?」


 ■■■

「……こりゃあ、なんともかんとも」
 
 一人の少女が、丘の上に鎮座するものを見上げています。
 それは、光り輝く巨大な塔。
 硬く閉ざされた扉のみが、唯一の現実感を保っています。

「どう見ても魔法儀式の産物だし……こんな規模のもの造るのって、最低でも中規模魔法結社クラスで確定じゃん。やだなぁ、見なかった事にしたいなぁ」

 溜息をつきながら、扉を調べ始めるアーシア。
 その肩を、背後から誰かが叩きます。

「そこの子供、危ないわよ」
「は?」

 振り向くと、そこには褐色の肌の少女が立っています。
 露出度の高い服装をしているものの、不思議とそれが似合う雰囲気をもっています。

「……一応聞くけど、持ち主?」
「あたしは、こんなピカピカ光る塔を建てる趣味はないわ。これ、どう見たって悪人の仕業じゃない」
「いやまあ、どうでもいいけど。邪魔しないでくれるかな」

 褐色の少女に、あっちにいけ、と手を振るアーシア。
 しかし、少女はアーシアの襟をむんずと掴みます。

「子供に言われたくないわね。危険な目に合う前に帰りなさい」
「あのねぇ……私はこう見えても、イルミンスールの教師なの。どこの誰だか知らないけど、仕事の邪魔しないでくれるかなあ」

 それを聞いた少女は、アーシアの襟を掴んで持ち上げながら、顔を覗き込みます。

「聞いた事があるわ、優秀な子供は学年を飛び越せるのよね。先生にまでなれるなんて、物凄く優秀なのね」
「……子供先生なんざ、うちの悪魔ロリだけで充分だっつーの……つーか、いつまで掴んでるの」

 しかし、褐色の少女はアーシアを掴んだまま、何か納得するように呟き続けます。

「イルミンスールが動くなんて……やっぱりアタシの勘は間違ってなかったんだわ。これは悪の組織の仕組んだ大事件の……」
「おーい、もしもーし」
「決めたわ!」
「そりゃよかった。さようなら」
「何言ってるの。アタシの力を貸してあげるわ」

 少女の突然の言葉に、アーシアに如何にも迷惑そうな顔をします。
 しかし、一瞬で笑顔を作り直して少女の手を握ります。

「ありがとう。その言葉だけで充分。時が来たら声をかけるから、まずは家に帰って。じゃあね」

 そう言って、くるりと身を翻して。
 背後から、ひょいっと持ち上げられます。

「……呪うわよ」
「……面倒な知り合いは間に合ってるんだけどなあ……」

 呟くアーシアと、ジト目の少女。
 こうして丘の上で、二人の乙女の駆け引きが始まるのでした。

 ■■■


 イルミンスール魔法学校の校長室。
 エリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)は、一人の人物と話をしていました。
 相手は近代西洋儀式魔術学科の教師……アーシア・レイフェルです。
 
「じゃあ、要点だけ伝えるですぅ」
 
 その言葉にアーシアは頷くと、手に持った紙をバサリと机の上に投げ出します。

「正直、信じられないかな。魔力規模がハンパじゃない」
「んなこたぁ分かってんですよ。ここからでも観測できるから派遣したんでしょぉが」

 数日前から、イルミンスール魔法学校では異常な魔力反応に関する噂が広がっていました。
 曰く、魔力計測器が正体不明の魔力を計測した。
 微妙な魔力調整の必要な器具の使用禁止令が出たらしい。
 エトセトラ、エトセトラ。

 そしてそれらは、一部が真実なのです。
 確かに、異常な魔力をイルミンスール魔法学校では計測していました。
 問題は、それが何なのか……です。

「周辺の魔力を少しずつ集めて、膨大で半永続的な光に変換する魔法儀式。それを自動実行する魔法建築。平たく言えば、擬似的な昼を作り続ける魔法だね」
「私の学校まで搾取範囲を広げるなんざ、ハタ迷惑もいいところですぅ。それで?」
「ちょーっと面倒な事になってるかな。魔法に使ってる魔力媒体目当てに、魔法道具専門の盗賊団が出張ってきてる形跡がある」

 魔法道具専門の盗賊団。
 魔法の心得のある者を中心とし、魔法に関連する高価な品々を奪っていく特殊な盗賊団です。
 そんなものが学校の近くに引き寄せられてきているというのは、迷惑以外の何物でもありません。

「まあ、それだけの規模の魔法儀式なら高いもの使ってるのは間違いないでしょぉねえ」
「だねー。放っといても全滅しそうな気もするけど」
「というと?」
「オルヒトが直接関わってる形跡があったから。たぶん、えげつない防衛機構あるんじゃないかな」

 オルヒト。その名前を聞いて、エリザベートは記憶の糸を辿るように天井を見上げて。
 唐突に、ポンと手を叩きます。

「ああ、超ババ様に薔薇の花束抱えてプロポーズしにきた奴ですねぇ。あのロリコン、生きてたんですか?」
「すごかったよねえ。初対面でいきなり「残念だ……ほぼ完璧なのに、君には恥じらいが足りない」だもんねえ」
「どこぞの偽ロリも、「君が要件を満たしているのは年齢と外見だけだな。私の理想にはあらゆるものが足りない」でしたからねぇ。笑い死ぬかと思ったですぅ」
「まあねえ。まあ、アイツが動いたってことはネバーランドの総力で作ってるだろうし」

 理想追求機関ネバーランド。
 それは、全ての「理想」を賛美し支援する、謎の秘密組織です。
 それがその何かの理想であれば、惜しみなく支援をするという活動スタイルで世界規模に支持者、機関員を広げています。
 その活動はボランティアの構想を大規模で実現する事から犯罪組織の立ち上げ、更にはその犯罪組織を壊滅させる事など、無駄に手広いようです。
 組織としての行動理念は「理想の追求」のみであり、正義とか悪とかはあんまり関係ないらしいのですが……。

「で、具体的には?」
「三十階建てくらいのデカい塔が村の近くの丘の上にあったから。そこで魔力精製行ってるのは間違いないかな」
「じゃあ、とっとと潰してくるですぅ」

 サラリと言うエリザベートに、アーシアは目を丸くします。

「……え、どれを?」
「全部に決まってるですぅ」
「どれを全部?」
「だから、全部ですぅ。塔も盗賊団も、全部まとめてブッ潰してくるですぅ」
「ええー……」

 と、そこでアーシアは思い出したように口を開きます。

「あ、そうそう。何か現地で妙なのに懐かれてさ」
「別にいつも通りですぅ」
「……いや、否定はしないけどさ。まあ、いいや」


 こうしてエリザベート校長の名の下に発令された、太陽の塔破壊作戦。
 その防衛機構は不明。
 盗賊団の詳細も不明。
 ですが、こうしている間にも僅かずつ魔力が奪われているのも事実。
 安全な学習環境の為には、この任務を遂行するしかないのです。





 

担当マスターより

▼担当マスター

相景狭間

▼マスターコメント

■「プリンセスカルテット」■
このシナリオは新シリーズ「プリンセスカルテット」の第一弾となります。
本シナリオでは、扉絵の4人のキャラクターの内、一番右の女の子が登場しています。
詳しいキャラクター紹介は、本日発表されるキャンペーンページをご覧ください。



こんにちは、相景狭間です。
今回も、よろしくお願い致します!


■探索について
太陽の塔の探索になります。
正面は大きな扉で封印されていますが、こじ開けられた形跡があります。
足場はしっかりしていますが、強烈な光で満ちており眩しいです。
なお塔自体が魔力で精製されており、単純な破壊は不可能です。

塔の中には光輝属性を持った人型の「光のゴーレム」が山のようにいます。
各種の部屋にはゴーレムの製造場所、魔力の増幅場所、魔法の制御箇所などがあります。
生活空間も用意されているようですが、何か特別に用意された資格か道具を持つ者でなければ生活は難しいように見えます。
最終的な制御装置は最上階にありますが、強力な「太陽のゴーレム」が装置を守護しています。


なお、太陽の塔の内部は侵入者防止の為の特殊な魔法がかけられており、塔に入る時には最大で二人ずつしか入れません。
LC追加の際には、一人までが最大となります。
内部での他の方との協力は可能です。


■光のゴーレムについて
光輝属性をもった人間サイズのゴーレムです。
特殊な技法により光を束ねて造られていますが、太陽の塔の外では姿を維持できないようです。
光術を操ります。
上位種である太陽のゴーレムは、光と炎を操る事が出来るようです。
これを倒すと、最終制御装置の破壊が可能となります。

■制御装置
各階で魔力の制御、増幅を繰り返して最終制御装置へと送っています。
それぞれを壊していくことで、塔の各種防衛機構を弱める事が出来ます。
なお、最終制御装置の破壊と共に、魔力で精製された太陽の塔は崩壊を始めます。
ただし、制御装置は独自の防衛機構として、光弾を放つ砲台を備えています。


■盗賊団について
魔法の心得のあるリーダー達と、ごろつきで構成されています。
放っておいても全滅しますが、逃げて村で悪さを働こうとする輩もいるかもしれません。

■オルヒトについて
行方は不明です。探すだけ無駄だとのエリザベート校長からのお達しが届いています。

■リリアについて
村にいます。オルヒトから指輪らしきものを貰って宝物にしているようです。
今回の事件については、何も知りません。

■アーシア先生について
現地で出会った少女と一緒に振り回されるように動いているようです。
露出度の高い服装の褐色の少女のようですが、アーシア先生と即席の正義の味方コンビ(強制)を組んでいる様子です。


▼サンプルアクション

・護衛行動

・探索担当

・盗賊退治

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2012年08月11日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2012年08月12日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2012年08月16日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2012年08月28日


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