天御柱学院

　
「大量のゴブリンが襲ってきたって？」

　村を訪れた熾月　瑛菜（しづき・えいな）が村長から聞かされたのは、ゴブリンがこの村を襲撃したという話でした。

「……ええ。一体や二体ならどうにかなろうものでしょうが、あまりにも数が多く。
　村の財産を奪われてしまったのです」
「財産っていうのは――」
「文字通り住人が所有していた宝の類。だけでなく年若い娘や子供たちを、です」

　瑛菜は拳を握り締めました。
　ゴブリン達は村近く、小規模な洞窟に立てこもっているようです。

「せめて、さらわれた者たちだけでも助けてはいただけないでしょうか。
　村の男たちを集めても、多すぎるゴブリンの数を減らすことすら叶わぬ有様で……」
「わかった、任せてよ。絶対に助けてみせる」

　瑛菜は洞窟の場所を確認し、村長の家を後にします。

　■■■

　家を出た直後、彼女のパートナーであるアテナ・リネア（あてな・りねあ）が駆け寄ってきました。

「瑛菜おねーちゃん！」
「おう。村の人たちから話は訊けたかい？」
「うん！　あのね……」

　アテナの聞き込みによって得られた情報は以下の通りです。

　ゴブリンの数は最低でも三十匹以上。
　子供たちは洞窟に囚われていると思われるが、確認したものはいない。
　最近、その洞窟近くの湖に、複数の首を持つ巨大な蛇の怪物、ヒュドラが住み着いたという話。

「ヒュドラだって？」
「それで逃げたゴブリン達が集まっちゃったんじゃないか、って言ってたよ」

　ヒュドラは複数の首を持ち、炎と毒の息を吐くとされています。
　水源に住み着いたということは、放っておけば水に毒を流されてしまう危険もあるでしょう。
　この村の水にはまだ影響は出ていないようですが、そちらを放っておく訳にもいきません。

「あたしらだけじゃ、手が足りないかな」
「だね。手伝ってくれる人、いるかなぁ？」

　瑛菜たちは自分たちだけで解決できる問題ではないようだと判断し、多くの人たちに協力を呼びかけることにしました。

大量のゴブリンとの戦闘になります。
洞窟自体は小規模なもので、探索にそれほど時間はかかりません。
逆に言えば、隠れて侵入しても発見されやすいでしょう。

ヒュドラの血液は猛毒であり、何の対策もせず倒すなら水源は毒に侵されてしまいます。
かといって放置すれば、水にじわじわと毒が広がり数日で使用不能になってしまうでしょう
湖の水は周囲の村々の生命線であり、毒に侵されてしまえば甚大な被害が発生します。

ヒュドラは生贄を求めているため、誰かが囮になって湖から引き上げることが可能です。
さらわれた子供・女性たちは怪物に怯えており、囮をお願いするのならかなりの説得が必要になるでしょう。

ゴブリンたちの行動は他より少しだけ知恵の回るゴブリンの祈祷師（シャーマン）によって指示されたもののようです。
ヒュドラとは関係のない財宝までもが奪われたのはそのせいでしょう。
財宝はゴブリンの本隊や生贄が集まる場所よりも、洞窟の入口に近いところに山積みにされています。

・ゴブリンを倒し、さらわれた人たちを救出する

・ヒュドラを倒して事件の原因を取り除く

・ヒュドラを引きつける囮になる

・洞窟内の財宝を探す