空京

　
　
　2022年2月。
　伝説の地にして、人類がようやく到達したもう1つの浮遊大陸ニルヴァーナ。

　かつての文明が滅び去った大地の地下に広がる、廃墟遺跡にて。
　
　

「……つぅ」

　夏來香菜（なつき　かな）は、打ち付けた腰をさすりました。
　
「大丈夫？」
　
　ルシア・ミュー・アルテミスが手を差し出しましたが、

「…………」

　彼女の手を無視して、香菜は立ち上がり、周囲を見渡しました。
　そこには、自分たちと同じ新入生や訓練生たちが居ました。
　
　まだ契約者としての経験が浅い者たちで訓練を行っている時でした。
　突然、地面が割れ、全員が地の底に吸い込まれてしまったのです。
　
　見上げると、自分たちが落っこちてきたはずの天井はピッタリと閉じていました。

「参ったわね」
「わくわくするね」

　香菜は、呑気な様子のルシアの方を軽く睨みました。
　と――訓練生たちの引率を行っていたニルヴァーナ探索隊の隊長ヘクトルが言いました。
　
「皆、無事か？
　……どうやら、俺たちは閉じ込められてしまったらしいな」

　選択肢は２つでした。
　このまま助けを待つか、それとも自分たちで出口を探して地下廃墟の探索を行うか。
　
「探索を行おうという者は俺と共に来てくれ」
「はーい」

　ルシアが勢い良く手を上げましたが、
　ヘクトルは首を振りました。

「君はまだ地上の重力に慣れていない。
　訓練補佐の者や他の皆とここに残って、救助隊が来た時に備えて欲しい」
「……はーい。 　もしかしたらギフトを発見できたりするかもしれないのにな……」
　
　ルシアは不満そうに引き下がりました――が。
　
「じゃあ、お留守番する人たちで合コンやろうよ合コン。
　みんなでパァーッと騒ぐんだよね？」
「あなた、ちゃんとした意味を知らずに言ってるわよね……？」
　
　香菜はルシアに一応ツッコミを入れましたが、
　他にやることも無いので、そこに残る者たちで『合コン』という名の交流会が行われることになったのでした。
　


　
（ギフト……）

　香菜は心中で、その単語を繰り返しました。

　滅亡したニルヴァーナ人が、この地へ訪れた者たちのために残していた超高度技術の塊“ギフト”。
　それは、大剣に変化する狼型のロボット生物など、様々なものが存在し、
　ニルヴァーナの各地に封じられているのだといいます。

　そんなギフトの中には、ニルヴァーナ人が、この地を訪れた者へと向けたメッセージを残したものもありました。
　
『私たちの文明を滅ぼしたモノは強大で、恐ろしい力を持っています。
　――……勝手なお願いかもしれません。でも、私たちは願わずにはいられない。
　お願いです。
　どうか、あの豊かな世界を取り戻してはくれませんか？』
　
「……世界を取り戻す、か」
　
　香菜は、伝え聞いたニルヴァーナ人のメッセージを想い出しながら、朽ち果てた暗い廃墟を眺めたのでした。
　
　

　
「ニルヴァーナに新たな学校を作りたいの」
　
　ラクシュミ（空京　たいむちゃん（くうきょう・たいむちゃん））は言いました。
　膨大な距離と時間を跳んで現代のパラミタへと生き延びていた、たった一人のニルヴァーナ人である女の子です。

　彼女は遥か昔に滅んでしまった故郷ニルヴァーナの地に、“学校”を作りたいと願いました。
　シャンバラや海京にあるような契約者たちの学校です。
　
「私、気づいたんだ。
　皆が居たから、こうやってニルヴァーナまで帰ってくることが出来たんだって。
　だから、私は滅んでしまったニルヴァーナ人たちの願いを叶えるための学校を作りたい」
　
　ラクシュミの願った学校は未開の地を探索し、荒廃した大陸に新たな世界を造っていくための学校です。

　そして、全く新しい学校作りが始まったのでした。
　
　


「確かに、報告通りの塩湖だな」

　長曽禰　広明（ながそね・ひろあき）は掌の水を舐め、呟きました。
　目の前に広がっていたのは、最初の探索によって発見されていた海のように広がる巨大な湖。
　
　広明は、その北方の彼方に存在する果てない大爆布を見やってから、視線を巡らせました。
　
「ギフトがあるというのは此処より東の――あの何処か、か」
　
　東の方には、太陽の光を受けた何かがヒラヒラと光を返しているのが見えています。
　ポータラカ人ゲルバッキーは長曾根に幾つかのギフトの場所を伝え、いつの間にか姿を消していました。
　隊に参加していた古代種族、熾天使リファニー・ウィンポリアが胸元を押さえ呻くように言います。
　
「……あの場所に恐ろしい気配を感じます」
「だとしても、探索しないわけにはいかない。
　ニルヴァーナ人たちの残したメッセージを鑑みれば、この大陸にイレイザー以上の脅威が存在するのは明白だ。
　それに、メルヴィアの件もあるからな……。
　3つ目のギフト……必ず手に入れる必要がある」
　
　


　一方、地下遺跡では。

「クソッ、こんな時だってのに！！」

　報せを受け、訓練生たちの救助へ向かっていた契約者たちの前へ、
　まるで“訓練生に引き寄せられるように”、一体のイレイザーが現れていました。
　
　
　
　新たなる冒険――
　伝説の地ニルヴァーナでの冒険が、今、始まろうとしていたのです。
　

扉絵のインテグラル・ポーンはへっぽこさんに描いていただきました！


■２月１８日　【関連キャラクタークエストが公開されました！】

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蒼空のフロンティア運営チームです。
『蒼空のフロンティア』のグランドシナリオ新シリーズです。

新たにゲームを始められる人でもこのガイドだけお読み頂ければゲームに参加できるようになっています。
新規キャラクター登録時に付与される５０Ｐで遊ぶことが出来ますので、ぜひご参加ください！

関連のキャラクタークエストやペリフェラルシナリオも順次公開される予定です。お楽しみに！


***あらすじ****
滅びの運命にあるパラミタ大陸を救う術を求めるため、
シャンバラ王国とエリュシオン帝国は、伝説の大陸ニルヴァーナを目指しました。
　
ニルヴァーナ大陸には、卓越した機晶技術を持つニルヴァーナ人たちの文明が栄えているはずでした。
しかし――
　
ようやく辿り着いた新大陸ニルヴァーナは、
遥か昔に文明が滅び去り、大地の荒れ果てた『枯れた世界』だったのです。

******


このシナリオで遊べることは、基本的に以下のようになります。


【１】新入生・訓練生の合コン（交流会）に参加する：寺岡　志乃ＧＭ
こちらは新しく蒼空のフロンティアを始める方にお勧めのパートです。
ルシアや他の新入生たちとワイワイ遊びます。

遺跡の中に閉じ込められた状況ではありますが、
調理器具や保存食、楽器や携帯ゲーム機があります。

お喋りに花を咲かせながら、食事を作ったり、カラオケをしたり、
ボードゲームや格闘ゲームをしたりして、自由に遊ぶことが可能です。
アクションには、ぜひ自己紹介も入れてください。

※こちらの交流会パートは、新入生でなくても、訓練補佐としてその場におり、
　交流会を盛り上げる目的であれば参加可能です。


【２】探索に参加する：丹野佑ＧＭ
こちらは2012年1月、2月に新規キャラクター登録した方のみが参加できるパートとなっております。
ヘクトルや夏來香菜と共に遺跡探索を行います。
遺跡にはモンスターも多く存在しているため、バトルをしたい人向けでもあります。
探索次第ではギフト（超文明の遺産）が見つかるかもしれません。


【３】新入生・訓練生の救助を行う：丹野佑ＧＭ
崩落によって、遺跡の奥へと閉じ込められた訓練生たちの救助を行います。
といっても、突如、訓練生たちに引き寄せられるようにイレイザーが出現したため、
こちらの対処も行わなければなりません。

場合によっては、途中で訓練生たちと合流する可能性もあります。


【４】学校作りを行う：古戝　正規ＧＭ
ニルヴァーナ探索のための拠点として
シャンバラとエリュシオンなどパラミタ各国が後ろ盾となった『学校』作りを行います。
校長はニルヴァーナ人唯一の生き残りである、元たいむちゃんことラクシュミです。
学校は回廊近くに築かれつつある橋頭堡の内側に造られます。

今回は、学校作りのためのインフラ整備が主となります。
最初に行われた探索により、ニルヴァーナの地下には水脈や温泉脈がある可能性が高いのが分かっています。
コントラクターたちの脅威となり得る生物たちも現れることが考えられます。

また、ラクシュミにニルヴァーナ校の学科や施設の提案を行うことも出来ます。
※学科や施設の提案を行うことが出来るのは、過去１回以上マスターシナリオに参加したことのあるＰＣに限ります。

５ｍ四方以内の重機であればギリギリ回廊を通らせることが出来るため、
希望すればブルドーザーなどの重機を使うことが可能です。


【５】ニルヴァーナの地を探索する：野田内　廻ＧＭ
今回、探索するのはパラミタとニルヴァーナを繋ぐ回廊より、北東にある地です。
スタート地点は、ペリフェラルシナリオ『未踏の大地を行く』にて発見された“塩湖”となります。
つまり、ここから東に向けて行軍し、“夥しい光を放つ場所”を探索します。
そこに重要なギフトが存在しているのだといいます。
どうやら、巨大な水晶が森の如く乱立している場所のようですが詳細は分かりません。
長曽禰たちはクリスタルフォレスト（水晶森）と呼称しています。

非常に強力な気配がある、とのことで、
リファニーは『遭遇したら、必ず逃げて欲しい』と言っています。

今回、隊は塩湖より東に向かうため、基本的に塩湖より東方面の地の探索が行えます。
恐ろしい何かが居る可能性があるため、隊を離れ過ぎないようにと厳しく通達されています。
パラ実生徒にも通達は行われましたが、その時、リファニーの見せ脇について熱く論議が交わされており、誰も聞いちゃいませんでした。

隊を離れることも出来ますが、その場合は最低限の支給物資しか用いれません。

■特別な称号・立場のＰＣについて
▼特別な称号を装備したＰＣ【階級称号】
教導団、パラ実生徒は階級称号を付けて参加することにより、
階級に応じた数の部下・舎弟を扱うことが出来ます。
彼らは、ほぼ従者と同じ扱いで、数は階級によります。

少尉：10人、中尉：20人、大尉：30人
Ｅ級四天王：なし、Ｄ・Ｃ級四天王：10人、Ｂ級四天王：20人、Ａ・Ｓ級四天王：30人

※ただし、部下を用いれるのは、【４】【５】パートに限ります。
　また、部下を分散したり、派遣させたりすることはできません。
　あくまで自身の行動のサポートとしてのみ扱えます。

【階級称号】の部下は、コマンダーのスキル「※ドッグズ・オブ・ウォー」とは別に扱います。
ただし、部下と傭兵団を別々に運用することはできません。

▼特別な立場のＰＣ
　放校、ロイヤルガード、指名手配犯の立場にあるＰＣです。
・放校
　【４】パートで学科や施設の提案を行うことは出来ませんが、それ以外は他の生徒と同じ扱いになります。
　
・指名手配犯
　何者かの手引きで回廊を通り、ニルヴァーナへやってきた事に出来ます。
（その何者かが誰なのかは、今は分かりません）

　また、【５】パートの「塩湖近くの洞穴からスタート」でしか行動出来ませんが、行動範囲を限定されません。
　ただし、ロイヤルガードなどに見つかると問答無用で捕まってしまう可能性があります。

　近辺の状況について。
　数は少ないですが、ブラッディデバインの残党などもニルヴァーナに潜り込んでおり、
　彼らは塩湖近くの洞穴に集まっています。
　指名手配犯ＰＣはその場所からスタートとなります。
　そのため、アクションによっては彼ら数人を配下として扱える場合があります。


・ロイヤルガード
　指名手配犯を捕まえるという目的であれば、【５】にて長曽禰の隊を離れて自由に行動することが出来ます。


■■■創世の絆に関わるＮＰＣについて■■■
▼ルシア・ミュー・アルテミス
地球の月にある月面基地アルテミスで育ったムーンチルドレンです。
月面で眠っていた熾天使リファニーと契約した事によって地上で生活できるようになり、
ニルヴァーナの探索と開拓のための宇宙開発技術提供の一環として、
ニルヴァーナへと派遣されて来ました。

月でしか生活した事がないため、
知識は豊富でも、どこか色々とズレてしまっていますが、
好奇心旺盛な女の子です。

▼夏來香菜
蒼空学園の新入生で、ニルヴァーナ最初の探索の際、
訓練の一環として調査隊に加わっていました。
調査隊がイレイザーに襲われた時、メルヴィアに庇われて事無きを得ています。
余程ショックだったのか、その時の記憶は欠落しています。

強気で委員長肌の生真面目な女の子です。

▼ヘクトル
元エリュシオンの第七龍騎士団の団長です。
今はシャンバラの者ともエリュシオンの者とも言えない微妙な立場ですが、
指揮能力を買われ、ニルヴァーナ探索隊の隊長を行っています。

▼ラクシュミ（空京　たいむちゃん）
膨大な距離と時間を跳んで現代のパラミタへと生き延びていた、たった一人のニルヴァーナ人です。

▼リファニー・ウィンポリア
遥か昔に滅んだはずの古代種族、熾天使です。
地球の月面で氷漬けとなっていましたが、ルシアと出会い、復活しました。
ルシアのパートナーです。

現在はその力を見込まれ、長曽禰の隊に同行しています。

▼長曽禰　広明
シャンバラ教導団の技術科講師です。
水晶化してしまったメルヴィアに代わり、
リファニーと共にギフト探索隊を率いています。

▼メルヴィア・聆珈
ニルヴァーナ探索隊に参加するシャンバラ教導団大尉ですが、
今は、夏來香菜を庇って水晶化してしまっています。


■■■命名アクションについて■■■
▼ニルヴァーナで発見された生物の命名について
ペリフェラルシナリオ『【創世の絆　序章】未踏の大地を行く』にて、
ニルヴァーナの生物を新発見しているＰＣには、自身が発見した生物に名前をつける優先権が生じています。

生物に名前を付けたい場合は、自身のアクションの最後に
＊＊＊＊＊
（生物の特徴）【名】○○○
＊＊＊＊＊
という形で名前を付記して宣言してください。

＊＊＊＊＊
例：
角が生えた犬【名】ドリル犬
＊＊＊＊＊

※今後も、新生物などの第一発見者には命名の優先権が発生することがあります。

▼地名の命名について
こちらは参加者全員が名前を投稿することができます。
今回は、下記２つの場所の地名を投稿する事ができます。

『初原の荒野』
パラミタとニルヴァーナとを繋ぐ回廊がある広大な荒野です。
ほぼ植物は発見されておらず、奇妙な生物が疎らにうろついています。
回廊の傍には、ニルヴァーナ校が造られる予定です。


『塩湖（クレセントソルトレイク）』
最初の荒野の北に存在する、非常に大きな三日月型の湖です。
塩水によって出来ています。


名前を投稿したい場合は、アクションの最後に
＊＊＊＊＊
塩湖【地名】特大しおしおプール
＊＊＊＊＊
という形で名前を投稿してください。


■■■“なになぜ”ニルヴァーナ出張版！■■■
今までのシナリオ結果などニルヴァーナのまとめ情報です！
【本家はこちら！】
▼ギフトについて
何者かの手によって滅びたニルヴァーナ人が、
いつかニルヴァーナを訪れた者たちが、その『敵』と渡り合うためなどに残していたモノです。
現在までに見つかっているのは、栗鼠型の機械生命体とオオカミ型の機械生命体。
栗鼠型はニルヴァーナ人からのメッセージを持っており、
オオカミ型は大剣に変形する力を持っていました。

▼シェルター跡
シナリオ『【創世の絆・序章】涅槃に来た、チャリで来た。』で探索が行われた
ニルヴァーナ人たちの地下遺跡です。
狂暴な軟体生物（モンスター）が蔓延る古代のショッピングセンターなどがありました。

▼ニルヴァーナで行われた最初の探索の「探索報告」
シナリオ『【創世の絆・序章】未踏の大地を行く』での結果です。
ニルヴァーナの自然の状況などが記されています。

▼長曽禰　広明の「橋頭堡建設計画途中報告」
シナリオ『【創世の絆・序章】イレイザーを殲滅せよ！』での結果です。
現在建設されている基本的な施設やイレイザーについての情報があります。
こちらに出てくる橋頭堡の内側で、今回の学校作りが行われます。
調査隊を逃がすために一人残っていたメルヴィア・聆珈は、イレイザーの巣の中で水晶化した状態で発見されました。

・【１】交流会に参加する！

・【２】遺跡探索に参加する！

・【２】遺跡でお宝探し！

・【３】新入生・訓練生の救助を行う

・【４】学校作りを行う

・【５】ニルヴァーナの地を探索する