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八月の金星(前)

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シナリオガイド

深度500メートルの密室
シナリオ名:八月の金星(前) / 担当マスター: 革酎

 イルミンスールの東、パラミタ内海沿岸に、要塞ともいうべき巨大な軍港が、その礎を構えています。
 シャンバラ政府の要請を受けて建設された軍港ケーランスは、内海洋上の防衛戦略拠点のひとつとして、教導団によって運用されています。
 このケーランスから先日、一隻の潜水艦が進水式を迎え、試験航行へと出航しました。
 新型の機晶エンジンを搭載するこのロサンゼルス級攻撃型潜水艦は、バッキンガムと命名されました。
 バッキンガムは最高水準の新式装備を搭載しており、SLCMをはじめとする各種の強力なミサイル兵装を整えた戦略兵器です。
 ケーランスを発ったバッキンガムは、一週間後には試験航行を終えて帰港することになっていました。
 ところが二週間が経過しても尚、バッキンガムはケーランスに引き返してくる気配がありません。それどころか、十日前からケーランスへの定時連絡が途絶えているという状況が続いていました。
 バッキンガムに、何かがあった――ケーランス総督デルコ・ウィシャワー中将はそう判断し、バッキンガム捜索に向けてオハイオ級巡洋型機晶式潜水艦ヴェルサイユに対して、捜索航海への出航を命じました。


     * * *


 ヴェルサイユ艦長ロベルト・ギーラス中佐は、ケーランス第二桟橋にて、目の前に居並ぶ数十名の乗員達をぐるりと見渡し、うむ、と小さく頷きました。
「どの顔も、良い緊張感を保っている。陸に上がっている間も、訓練を絶やさなかった証拠だな」
「しかし艦長、今回は少しばかり、様子が異なります」
 女性ながらヴェルサイユの航海長を務めるドリュー・バスケス少佐が、端正な面に幾分不機嫌そうな色を浮かべて、ギーラス中佐の横からそっと耳打ちしてきました。
「各校のコントラクターが、捜索協力要員として本艦に乗り込んでくるらしいな」
「自分も同じくコントラクター故、彼らをあまり悪くいいたくはありませんが……正直、素人に潜水航行を引っ掻き回されるのではないかと、少なからず危惧しております」
 バスケス少佐の言葉に、ギーラス中佐は一切の不安を払拭するかのように、微かな笑みを濃い髭の下に形作ります。
「ヴェルサイユはオハイオ級ながらSLBMを一切排して、わざわざ巡洋型として設計されたのだ。他校のコントラクター達を押し込めておけるだけの空間は、十分に確保出来るだろう。それに今回は僚艦として巡洋艦ノイシュヴァンシュタインが同行する。こちらにもコントラクターは分乗するから、我々ばかりに負担がかかるという訳でもない」
 ギーラス中佐の応えに、バスケス少佐は曖昧に頷くしかありませんでした。
 ヴェルサイユの乗員はいずれも潜水艦乗りのプロばかりであり、潜水航行の何たるかを熟知しています。しかしその一方で、今回、捜索協力要員として乗り込んでくるコントラクターの大半は、洋上訓練すらも受けていないような素人が多くを占めていました。
 そんな連中が潜航中にどんな問題を引き起こすのか、分かったものではない――それが、バスケス少佐の偽らざる不安でした。
 しかし軍上層部からの命令である以上、バスケス少佐とてこの決定に異論を挟むことは出来ません。
 果たしてギーラス中佐は、彼らコントラクター達をどのように扱うつもりなのか。
 バスケス少佐は内心で、酷く気が重くなるのをどうにも抑え切れそうにはありませんでした。


     * * *


 一方、捜索対象となっているバッキンガムの艦内では――。
「く……くそッ! 何なんだ、あれは!?」
 艦内通路を必死の形相で駆け抜けるひとりの若い乗組員が、天をも呪う程の勢いで獰猛に吐き捨てました。
 バッキンガムは既に十日以上、パラミタ内海のどこかに着底したまま、まるで動き出す気配がありませんでした。
 のみならず、艦内には不穏な影が出現しはじめ、乗組員がひとり、またひとりと行方不明になってゆくという有様です。
 密閉された狭い空間内で、こんなことが起きるものなのか――若い乗組員は、混乱する頭の中で、その点だけは随分と冷静に疑問視していました。
 しかし事実、何者かが艦内を徘徊しており、警戒に警戒を重ねる乗組員達の必死な思いを嘲笑うかの如く、次々と神隠しに近しい状況へと引きずり込んでいくのです。
「何とか……何とか、友軍に連絡を取らないと……!」
 憔悴し切った表情の若い乗組員は拳銃を構えたまま、艦橋内の長距離通信装置前へと歩を進めてきました。
 ですが、結局彼は海上との通信を開くことは出来ませんでした。
 若い乗組員が通信用マイクを握った直後、彼の背後に迫っていた巨大な影がぬっと太い腕を伸ばし、彼の姿を艦内から消し去ってしまったのです。

 バッキンガム艦内では確かに、何かが起こっていました。

担当マスターより

▼担当マスター

革酎

▼マスターコメント

 本シナリオガイドをお読みくださり、ありがとうございます。

 今回ご参加頂くPCの皆さんはバッキンガムかヴェルサイユの乗員として、海中の密閉空間内での行動に従事して頂くか、ノイシュヴァンシュタインの乗員として海上での行動を取って頂きます。
 シナリオの目的は無事にバッキンガムをケーランスに帰港させることですが、シナリオタイトルからも分かるように、今回のシナリオでは決着にまでは至りません。
 どこまで進むかは皆様のアクション次第ですが、非常に謎が多く、恐らく一筋縄ではいかないでしょう。

 アクションとしては、以下のような内容が考えられます。

 1.ヴェルサイユに乗り込む捜索協力要員として行動する。
  シャンバラ教導団の団員も例外なく、外部から招聘された捜索協力要員として乗り込むことになります。
  ヴェルサイユの乗員に協力するも良し、独自捜索理論を展開してバッキンガムを探すのも良し。
  ご自身の信じる方法でバッキンガムを探し出してみて下さい。

 2.バッキンガムに乗り込んでいた試験航行要員として行動する。
  こちらは、各校から試験航行の為に集められたコントラクターという位置づけでの行動です。
  バッキンガムは既に十日以上も航行を停止しており、パラミタ内海のどこかの海底に着底したままです。
  艦長や航海長は行方不明となっており、しかも艦内には謎の影が出没しています。
  この謎の影が、乗組員を次々と消し去っているとの噂が立っています。
  バッキンガムから脱出するか、謎の影と対峙するか、はたまたバッキンガムを帰港させるか。
  いずれの行動を取るにせよ、非常に難易度の高いアクションになるでしょう。

 3.巡洋艦ノイシュヴァンシュタインから海上捜索
  ノイシュヴァンシュタインは大型の巡洋艦であり、海難救助にも対応出来る装備を持っています。
  比較的自由に行動することが出来ますが、捜索可能範囲は海上付近に限定されます。


 それでは、皆様からのアクションをお待ちしております。

▼サンプルアクション

・捜索協力要員としてヴェルサイユに乗艦。

・バッキンガム乗員として事態の解決を図る。

・ノイシュヴァンシュタインの艦上から捜索活動。

▼予約受付締切日 (予約枠が残っている為延長されています)

2013年07月23日10:30まで

▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました)

2013年07月24日10:30まで

▼アクション締切日(既に締切を迎えました)

2013年07月28日10:30まで

▼リアクション公開予定日(現在公開中です)

2013年08月07日


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