胸に響くはきみの歌声(第1回/全2回) リアクション公開中! |
シナリオガイド狙われた歌姫を守って古代遺跡ダフマへ!
シナリオ名:胸に響くはきみの歌声(第1回/全2回) / 担当マスター:
寺岡 志乃
「アストーを助けてください!」 ※ ※ ※ そのころ。ツァンダ郊外のとある廃ビルの一角で、蒼空学園の生徒――松原 タケシ(まつばら・たけし)は崩れかけた壁に背中を預け、荒い息を吐き出していました。 「あの……大丈夫、ですか……?」 傍らからアストー01がおそるおそる声をかけます。 「大丈夫だ。肉体を酷使したことによる疲労だ。人間の体というのを忘れていたわけではないが、あの包囲を抜けるにはしかたなかった」 もちろんそれだけではありませんでした。体で隠れた方の右腕にはアストー01を連れて逃げる際に撃ち抜かれた傷があり、相当量出血しています。 しかし少年は痛みのようなものは一切見せず、めずらしい、ほのかに赤く発光する機械の両目で無表情にアストー01を見つめました。 アストー01は少年の返答の意味が分からないといったとまどいの表情で彼を見返しており、その手は己を抱くように体に回っています。 「寒いのか?」 アストー01はステージ衣装のままでした。外からわずかに差し込んでいる外灯の明かりが彼女のひざから下を照らしており、銀の髪と対照的な濃いワインレッドが上品な光沢を出しています。しかし、それはスパンコールのついたキャミソールタイプのイブニングドレスで、肩はむき出し。胸元にシフォンでドレープがあり、背中に回った部分が人魚の尾ヒレのようなフリルとなっていて多少布はありますが、それでも本格的な冬を間近に控えた11月にこの格好は、見る者にぞくりとした寒さを感じさせるに十分です。 少年が返答を待っていることに気づき、アストー01は首を振りました。 「わたしは作り物ですから。そういった心配は無用です」 「そうか」 「あの……あなたこそ……本当に大丈夫なんですか?」 息が元に戻らず、冷たい汗が流れているのを見て、おずおずと訊きます。 「問題ない。今は休息が必要だが、きみの話してくれた遺跡までは持つだろう。 戻りたいんだろう?」 「……はい。すみません。お願いします。どうかあそこへわたしを連れて行ってください」 答えつつ、アストー01は無意識のうち、自分の胸元に手をあてていました。マスターデータチップがある場所です。 「うまく言えませんが……わたしのなかの【Astres】が言っているんです。あそこに……ダフマに戻りたいって」 それはこのマスターデータチップを入れるたび、もう何度も口にしてきた言葉でした。ほかのデータチップでは起こり得ない感覚です。しかし科学者たちは一笑に伏して、だれも真面目にとりあってはくれませんでした。 今度もまた、そうなるのだろう――そう思い、あきらめ半分の思いで目を戻したアストー01を待っていたのは、ほんのわずかだけれども穏やかな表情へと変化した少年の顔でした。 アストー01はなぜかとても気恥ずかしくなって、赤らんだほおを隠すようにうつむきます。 「あ、あの……あなたの、お名前は……?」 「ルドラ。 ……歌ってくれ」 少年は再び壁に頭を預け、ため息のように息を吐き出すとそう言いました。 「えっ?」 「歌を……あのとき、きみが歌おうとしていた、歌……」 アストー01はいぶかしみ、とまどいつつも、彼の望んだ歌を歌います。 彼は壊されそうになった自分を助け、遺跡へ連れて行ってくれると約束してくれた人。その礼を返そうにも、歌うために造られた機晶姫である自分は、歌う以外にできることなどないのだから……。 胸のマスターデータチップを作動させ、歌っていたアストー01でしたが、やがて歌はぷつっと唐突に途切れて終わりました。 「あの、すみません。この歌……【Astres】は、ここまでしか復元できてないんです……。でも、ダフマへ行けば、きっと残りも……」 恐縮そうに肩をすくめ、おそるおそる少年に目を向けると、少年はいつの間にか眠ってしまっていました。 寝苦しそうなのを見て、アストー01は少年の肩を引っ張って自分のひざへ彼の頭を乗せました。ヘッドギア型の機械をはずすと、その下のこめかみの所には打撲痕があって、黒いあざが広がっています。 「…………」 自分をあそこから連れ出すために負った傷だと思うと、申し訳ない気持ちで胸がいっぱいになって。 そっと髪を払い、アストー01は再び歌を歌い始めました。今度は子守歌のように小さく、ささやくように。 「…………アンリ……」 機晶姫の耳でなければ聞こえないほど小さなつぶやきがして。少年の目じりを伝った涙が1粒、アストー01のひざに落ちてそこを濡らしたのでした……。 担当マスターより▼担当マスター ▼マスターコメント
こんにちは、またははじめまして。寺岡志乃といいます。 ▼サンプルアクション ・組織の者と接触する ・追跡者と接触する ・アストー01たちと接触する ・科学者たちと接触する ▼予約受付締切日 (既に締切を迎えました) 2013年11月14日10:30まで ▼参加者募集締切日(既に締切を迎えました) 2013年11月15日10:30まで ▼アクション締切日(既に締切を迎えました) 2013年11月19日10:30まで ▼リアクション公開予定日(現在公開中です) 2013年12月09日 |
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