天御柱学院

　猛暑の日々が続くなか。蒼空学園にも夏休みが訪れます。
　明日から夏休み、という終業日の放課後、突然クラスのドアががらりと開いて松原　タケシ（まつばら・たけし）が飛び込んできました。

「おーい香菜！　香菜いるか？」
「いるわよ、うるさいわね。大声でひとの名前連呼しないでよ」

　不機嫌そうに叱りつけられるのもものともせず、タケシは香菜の席へ移動しました。

「なあなあ知ってるか？　明日の夜、近くの神社で夜祭りがあるんだってさ！」
「知ってるわよ」

　夏來　香菜（なつき・かな）はさらりと言うと、自分のカバンを持ち上げて席から離れます。

「それより、あなたも早く帰る用意すれば？」
「むーう。
　あっ、じゃあこれは？　そこのすぐ近くを流れてる川の河原でパラミタホタルが飼育されてるんだ」

　パラミタホタルとは地球のホタルによく似た生き物で、きれいな淡水でしか生息することができません。こちらでもやはり近年その数が激減していることが問題視され、生息が危ぶまれていたのですが、パラミタホタルを守る会が地元有志によって発足し、毎年手入れをされてきたおかげで相当数のパラミタホタルが舞い飛ぶようになったのでした。

「防波堤の道から、今年もすごい数で飛んでるのが見えるって話題だぜ！」
「……それで？　あなた、私に何させたいわけ？」

　意図が読めず、うさんくさそうに見てくる香菜に、タケシは答えました。

「んっ？　ああ。一緒に行かないかと思って」
「え？　って、あなたいつもつるんでるリーレンは？　そういえば今も一緒じゃないみたいだけど」
「あいつなら、夏休みだから今夜から里に帰るってさ」
「それで私ってわけ？」
「だって、おれの知ってるやつで１人なのっておまえだけなんだもん」

　タケシの歯に衣着せぬ失礼なもの言いに香菜は口をぱくつかせ、そんなことはないと言おうとしたのですが、ふと視界に入った窓の外の２人――これから一緒に街へ繰り出す約束で、校門のところで彼女が出てくるのを待っているルシア・ミュー・アルテミス（るしあ・みゅーあるてみす）とキロス・コンモドゥス（きろす・こんもどぅす）の姿を見て、言葉は声になる前に消えてしまいました。

「なっ！　だから行かねえ？」
「行・き・ま・せ・ん・！」
「えー！！　なんでだよー！？　１人で行ったってつまんねーだろー？」

　ブーブー文句を言うタケシをその場に放置して、ぴしゃりとドアを閉めて部屋を出たあと、ドアに背中を預けてぼそっとつぶやきました。

「……そりゃ、私だって誘ってくれる人がいたら行きたいけど、ね……」

　夏の夜祭り、河原を舞い飛ぶホタル。
　すごくロマンチックだし、きっと幻想的な光景でしょう。

「でも、間違っても一緒に行く相手はあんなデリカシーのないバカじゃないわ」

　はーっとため息を吐き出して。頭をふりふり、香菜は帰宅の途についたのでした。

　こんにちは、またははじめまして。寺岡志乃といいます。
　こちらは夏の夜をテーマにしたフリーシナリオです。
　夜祭り帰りの夜道、下の河原の方ではたくさんのホタルが舞い飛んでいる、というシチュエーションで、好きなようにアクションを組み立ててください。

　行動はフリーですが以下の決まり事がありますので、こちらを熟読の上アクションがけをよろしくお願いいたします。


　１．ＬＣについて
　　ＭＣと別行動はできません。また、ＬＣは２名までとさせていただきます。
　　３名以上参加されていましても、１名は没扱いとなりますのでご注意ください。

　２．ＮＰＣについて
　　寺岡のＮＰＣはだれでも誘い出し可能です。制限はありません。
　　公式ＮＰＣの場合は恋人、婚約者、婚姻関係にある者のみ呼び出せます。（称号を付けておいてください）
　　そしてＮＰＣを呼び出す場合はＬＣ１名を呼び出し枠として入れてください。これは２名までのうちの１名とはなりません。
　　呼び出し枠のＬＣのアクション欄は、ＭＣ等のアクションとして使用していただいてかまいません。
　　寺岡のＮＰＣの場合呼び出し枠は不要です。
　　　※東カナンＮＰＣの場合、東カナンからちょうど来訪していた、ということになります。
　　　※スウィップの場合、無意識世界で自分の見てきた河原の様子をクリエイトして見せる、ということになります。

　３．その他
　　夜祭りの帰り道、ということで、お祭りアイテムは何でも出すことができます。たとえば、金魚すくいですくった金魚の入った袋とか、ヤキソバとかです。また、お祭りに持ってきていそうな小物、うちわとかもＯＫです。もちろん浴衣もＯＫ。柄等指定がありましたらそのように描写します。
　　なお、その川のパラミタホタルは有志の皆さんが一生懸命世話して増やしたホタルですから、捕まえて持ち帰る等のアクションはご遠慮ください。よろしくお願いいたします。



　それでは、皆さんの個性あふれるアクションをお待ちしております。

・好きな人と歩く

・パートナーたちと歩く