天御柱学院へ

なし

校長室

蒼空学園へ

【おとこのこうちょう!】しずかがかんがん! 後編

リアクション公開中!

【おとこのこうちょう!】しずかがかんがん! 後編
【おとこのこうちょう!】しずかがかんがん! 後編 【おとこのこうちょう!】しずかがかんがん! 後編

リアクション

■□■3■□■ カンガンガニと、未来の自分との戦い

「リア充は爆発しろっ」
未来の白波 理沙(しらなみ・りさ)は、パラ実のネクロマンサーになっており、
平和な未来を望む者とは敵対する気満々であった。
「待ってよ、未来の私!」
そこに、現在の理沙が進み出る。
「なによなによ!
幸せなカップルなんてみんないなくなれ!」
「……本当にそう思ってるの?」
未来の理沙に、現在の理沙は、真摯な視線を向ける。
「私はそんな事で挫けたりしない。
別れてもちゃんと未来へ向けて進むわ。
あなたは本当にそれでいいの?
彼がそれを望んでいたとでもいうの?
あなたがしてあげられる事って……そんなんじゃないわよね?」
「……それはッ」
現在の理沙の言葉に、未来の理沙は動揺する。
周囲にはべらせているゾンビを見回し、助けを求めるような視線を一瞬送るが、
ゾンビやグールは沈黙するままだ。
「たとえ、傷つくことがあったとしても。
私は、きちんと歩いていきたい。
未来に向かって進んでいきたい。
それが、彼にとっても、私にとっても、すべきことだと思うから。
ねえ、あなたは、ずっと『そこ』にいつづけるの?」
現在の理沙の言葉に、未来の理沙は沈黙する。
年齢は、10歳ほど上なのかもしれなかったが、
未来の理沙は、ひとりぼっちの少女のようであった。
「歩き始めましょう。
……私達の世界は、まだ、捨てたもんじゃないわよ」
二人の理沙は、ゆっくりと、お互いの手を取る。

★☆★

「去勢なんかにビビる俺じゃねぇ!
それに俺は超ビッグな巨根だから切られる心配が逆にねぇはずだ!」
ラルク・クローディス(らるく・くろーでぃす)は、
未来の自分と戦い、手傷を負っていたが、
勇敢にカンガンガニに立ち向かおうとする。
「うおおおおおお!?」
カニを素手で殴って倒すラルクだが、ズボンをカニに切られて見えそうになっていた。
「力だ! お前の力をよこせええええ!!」
そこに、未来のラルクが、
宦官となった未来のクライス・クリンプト(くらいす・くりんぷと)に連れられ、やってくる。
恋人の砕音・アントゥルース(さいおん・あんとぅるーす)を失ったラルクは、修羅と化し、未来の静香の手先となっていたのだった。
「桜井静香……お前を捕まえりゃ、強い奴らが出てくるよなあ!?」
未来・ラルクは、獣じみた赤い目を光らせる。
「きゃああああああ!?」
「ハッハッハッハ!! 殺されたくなかったら
もっと大勢強い奴デテコイヨオオオオオオ!!」
未来・ラルクは悪役全開であった。
「静香校長を放せ!
お前には今度こそ負けないぜ!」
「お前は過去の俺!
前回は力を求めて強くなった俺に手傷を負わせやがって……。
相手にとって不足はねぇぜ!」
現在・ラルクは、他の者には禁じ手にしていた閻魔の掌を開放することにする。
「殺しの拳ってのは好きじゃねぇが……。
本気で行かせてもらうぜ!」
「甘いことを! お前にだけは負けねぇ!」
二人のラルクの拳が交錯する。

★☆★

「カンガンガニ? 切り落とす……?
……死んでもゴメンだーーーーー!!」
現在のクライス・クリンプト(くらいす・くりんぷと)は、未来の自分を追って行動していたが、
カンガンガニ狩りの場にいあわせて、ライトニングランスを連発していた。
「ライトニングランス! ランス! ランス!
絶対に失ってたまるものか! 失わせてなるものか!
貴様らなんか全部消し去ってやる!」
レッサーワイバーンを呼び、ブレスを吐かせた後、
現在のクライスは、レッサーワイバーンに騎乗し上空へ行く。
「……ほう、やるではないか
そんなにあれを失うのが怖いか。
まあ私も過去経験した身だ、その恐怖はわかる。
だが、それも終わってみればどうとでも受け入れられるものだよ」
カンガンガニをけしかけてくる未来のクライスを、
現在のクライスはにらみつけて言う。
「……うん、こわいよ。けど、別にあれをなくすことがじゃない」
「……?」
きょとんとして動作を止める未来のクライスに、現在のクライスは叫ぶ。
「罪もない……こともないかもしれないけど……民を無闇にいたぶる!
人の弱みをつくことをよしとする! 
いつからそんなことを考えるようになった!?」
「……何を言っている?」
「あなたは失った、愛国の心も、騎士の誇りも! 僕はそれが何よりも怖い!」
「失っただと? 私は手に入れたのだ。
十嬢侍として、静香様のお側に仕える名誉と、誰もが羨望するような地位をな!」
「失ってないというのなら、
何故ローレンスはここにいない、ジィーンさんも、サフィさんも!」
パートナー達の名を呼ぶ現在のクライスの目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
未来のクライスは沈黙する。

★☆★

一方、高台で見物をしていた未来のラズィーヤは、
二人の橘 恭司(たちばな・きょうじ)とともにいた。
未来の恭司は、ラズィーヤの配下、【畏華面四天王】の1人【黒服総大将】である。
(ラズィーヤ嬢がなにやら妙な笑みを浮かべているが、どうしたんだ?)
首をかしげる現在の恭司の前で、ラズィーヤはドS発言をした。
「【黒服総大将】橘 恭司。
カンガンガニ争奪戦に参加することを命じますわ☆
おもいっきり突っ込んでいらっしゃいな☆」
「な……」
未来の恭司は硬直する。
ラズィーヤが改心したとは到底思えなかった未来の恭司であったが、
無茶振りが来るであろうと予想していたとはいえ、さすがに予想外であった。
「……頑張れ、未来の俺」
「……過去の俺よ、そんないい笑顔で肩を叩かないでくれ」

★☆★

しかたなく騒動に自分から参加する未来の恭司だったが、
現在の恭司は、高台からラズィーヤと一緒に見物を決め込む。
「どうぞ」
ラズィーヤに自分の分の双眼鏡を差し出され、現在の恭司は一緒に応援する。
「相変わらずのドSっぷりだな……よし覗こう。
おー、頑張ってるなぁ未来の俺……あ、桜井校長担ぎ上げた。
……見なかった事にしよう」

★☆★

未来・恭司は、一応、現在・静香を助けて、未来・ラルクから引き離そうとしたのであった。
「おおっと、そいつは大事な囮だ。
過去の俺を倒した後も利用したいからな!」
「そんなこと言いやがって、隙だらけだぜ!」
未来・ラルクが再び現在・静香を捕えたとき、現在・ラルクの拳が一閃する。
「ぐはっ!?」
未来・ラルクが体勢を崩すと、二人の秋月 葵(あきづき・あおい)
紅き仮面のユーキー……未来の真口 悠希(まぐち・ゆき)が、同時にサンダーブラストを放つ。
さらに、現在のクライスは、レッサードラゴンのブレスで攻撃する。
「「ぐわあああああ!?」」
「うわあああああああ!?」
「「「「きゃあああああああああああ!?」」」」
「「どうして私達までー!?」」
二人のラルク、未来・恭司、
現在・悠希、現在・姫宮 みこと(ひめみや・みこと)、現在・神楽坂 有栖(かぐらざか・ありす)と、現在・静香、
そして、二人の理沙は、思いっきりぶっ飛ばされる。

★☆★

「お前、よくも!」
「きゃあああ!?」
現在の葵は、未来・ラルクに反撃をくらい、ぶっ飛ばされてボロボロになる。
しかし、そこに、現在・ラルクが割って入る。
「お前の相手は俺だって言ってんだろ!」
今度こそ、現在・ラルクの攻撃で、未来・ラルクは地に沈んだ。
「大丈夫だったか?」
「うん、変身で破けた服も元通りだよ! ……あ」
現在の葵は、変身! により、自分の服を元通りにしたが、
現在・ラルクの股間を見てしまった。
「おっと、今の電撃で、完全にズボンが破けちまったぜ」
「……おい」
豪快に笑う現在・ラルクに、未来・恭司がツッコミを入れる。

★☆★

高台にて。
「面白いものが見られましたわね☆」
「……これも見なかったことにしよう」
ラズィーヤと現在・恭司が会話していた。

★☆★

再び、泥沼で対峙する二人のクライス。
(……この僕を止める。僕の全身全霊を掛けてだらしない自分を打ち砕いてみせる!)
「ランスバレスト!」
「!!」
現在・クライスの全力の攻撃で、未来・クライスは倒れる。

サンダーブラストによって、カンガンガニ達の動きもだいぶ鈍っていた。