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かぼちゃと踊れ!?

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かぼちゃと踊れ!?

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第3章 トリック・オア・トリート!

 悪霊カボチャ騒動の翌日。
 『ミスド』では、無事に「ハロウィンパーティー In にゃんこカフェ『アイリのオアシス』」が開催された。
 (ああ、何というにゃんこパラダイス!)
 パートナーのルイ・フリード(るい・ふりーど)そっちのけで手伝いにやって来た、猫耳、猫しっぽにエプロンをつけた機晶姫リア・リム(りあ・りむ)は、準備中の店内でくるくると働くミャオル族の少年少女たちを見てにやけそうになるのを必死で我慢しながら、心の中で呟いた。
 「またアイリたちに会えて、ホントに嬉しいよ」
 黒猫風の猫耳にしっぽ、それに王冠と赤いマントにブーツでケット・シー風の仮装をした久世 沙幸(くぜ・さゆき)は、ジャック・オ・ランタンの形のキャンドルを店の中に飾りながら言った。
 「僕も、生徒さんたちに会えて嬉しいニャ!」
 沙幸のパートナーの魔女藍玉 美海(あいだま・みうみ)のお手伝いで、画鋲の箱を掲げたアイリが答える。
 「うーん、あれ、大丈夫かしら……」
 美海は、店の壁に折り紙で作ったカボチャの飾り物を留めながら、天井の梁からロープで下げられた御凪 真人(みなぎ・まこと)セルファ・オルドリン(せるふぁ・おるどりん)作のカボチャのランタンを見た。
 「まだ悪霊がそのへんをフラフラしていて、あれにとりついてもうひと騒動、なんていうことがなければ良いのですが……」
 それを警戒して、沙幸と美海は本物のカボチャで作った飾り物を用意するのを止めたのだが……。
 「頑丈そうなロープだし、大丈夫じゃない?」
 心配そうな美海と対照的に、沙幸は楽天的だ。
 「はーいっ、カボチャのパウンドケーキ、出来上がりっ♪」
 セシリア・ライト(せしりあ・らいと)が、カウンターに置かれたケーキクーラーの上に、オーブンから取り出したパウンドケーキを並べて行く。
 「クッキーも出来ましたぁ。ふふ、今回は頑張りましたよぅ?」
 メイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)も、天板から金網に焼きたてのクッキーをあけながら言う。
 (うーん、材料を混ぜて型で抜いただけなんだけど……)
 嬉しそうなメイベルを見て、セシリアはちょっと苦笑する。
 「あら、もうこんな時間ですのね……優希様、少し急ぎましょう」
 「そうですね、皆さんがいらっしゃる前に、包み終えてしまわないと」
 フロアの隅のテーブルでは、三毛猫の仮装をした六本木 優希(ろっぽんぎ・ゆうき)と、黒猫の耳をつけた魔女の帽子をかぶったパートナーのヴァルキリーミラベル・オブライエン(みらべる・おぶらいえん)が、せっせと自作のパンプキン風味生キャラメルを紙に包んでいた。
 「ごめんくださーい」
 そこへ、東條 カガチ(とうじょう・かがち)とパートナーの剣の花嫁柳尾 なぎこ(やなお・なぎこ)、シャンバラ人エヴァ・ボイナ・フィサリス(えば・ぼいなふぃさりす)がやって来た。
 「パーティの始まる時間にはまだ早いんだけど、なぎさんが待ちきれなくてさぁ」
 執事の格好をしたカガチが、準備に忙しい店員やセシリア、優希たちに済まなそうに言う。
 「では、こちらを手伝ってもらえませんか?」
 優希がカガチに声をかける。
 「あー、いいよ。何、これを包むの?」
 カガチは優希たちのテーブルに行って、キャラメルの包装を手伝い始める。一方、なぎこは、ミャオル族の少年少女たちと旧交を温めていた。
 「あ、おさかなのお菓子のおねーちゃんニャ!」
 「なぎさんのこと、覚えていてくれたですね?」
 ミャオル族の少女に言われて、猫っぽい魔女の仮装をしたなぎこは嬉しそうに手を叩いた。
 「今日も、たい焼き持ってきたですぅ。いっぱいあるから、後でみんなで食べようね」
 「ミャー!!」
 仔猫たちは歓声をあげた。
 「あのね、それからね、なぎさんおねえちゃんに会えたんですよ!」
 なぎこはそう言って、恥ずかしそうに少し後ろにいたエヴァを、仔猫たちの前に押し出した。
 「はじめまして。『おねえちゃん』て言っても、本当は血はつながってないんだけれど。でも、なぎさんのことはかわいい妹だと思っているのよ」
 なぎこの見立てで魔女っ子の仮装をさせられたエヴァは、ミニスカートの裾を気にしながら、仔猫たちに挨拶をした。
 「あ……あの、ちょっと触らせてもらってもいいかしら?」
 「いいニャ」
 うなずいた少女の頭を、エヴァはそっと撫でる。
 「なぎさんから聞いてましたけど、本当にふわふわで、いい気持ちなのね」
 「……包装終わりました。これで、心置きなく仔猫ちゃんたちをもふれます」
 キャラメルを包み終えた優希は、ほっと息をついた。その時、壁のオルゴール時計が澄んだ音色を奏で始めた。
 「さあ、そろそろ開店にしましょうか」
 カウンターの中から、ミス・スウェンソンが店員と手伝いの生徒、そしてミャオル族たちに声をかける。
 「では、看板を出して参りますわ」
 見えそうで見えないギリギリの丈までスカートをつめたミスドの制服に、猫耳カチューシャをしっぽをつけた佐倉 留美(さくら・るみ)が、しゃなりしゃなりとドアに歩み寄り、『OPEN』の札をドアにかける。
 (ああ、また、あのようにスカートの丈を短くして……!)
 留美と一緒にウェイトレスをすることにしたパートナーのラムール・エリスティア(らむーる・えりすてぃあ)は、はらはらしながらその後姿を見守っている。