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アリスからの緊急連絡

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アリスからの緊急連絡
アリスからの緊急連絡 アリスからの緊急連絡

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アリスと魔獣
「で、アリス、なんでこんなことをしてたんだい?」
 唯斗が優しくアリスに語りかける。
 すると、アリスは安堵したのか涙ぐみながら語り始めた。
「このガーゴイルは、シャンバラ古王国時代に、今でいうバンダースナッチが封印されたものです。このバンダースナッチは強力で、地球人が希少だった当時では倒せず、封印という手段に出ました」
「つまり、その封印の強化をするために一緒に封印されたのがアリスなんだね!」
 陽太がナゾ究明で謎を次々と解き明かしていく。
「そうです。私が犠牲となってバンダースナッチを眠らせて封印するという手段を取りました。ただ、闇龍が復活したことによりバンダースナッチの封印も弱まり、バンダースナッチは夜8時以降限られた間だけ、蘇ることが出来るようになりました。それだけではなく、長い年月を掛けて自分を封印した私に働きかけて、ある程度操れるようにしてしまいました。私は昼間の間だけバンダースナッチを封印するので精一杯で、夜になるとバンダースナッチが食らう獲物を探させられています。それでも可能な限り抗い、事前に電話を掛けることでバンダースナッチの襲撃を知らせていました。今回のように多くの人が集まってバンダースナッチが倒されたことは非常に幸いですが、私も何らかの咎を負わねばならないでしょう」
「まー、そんな事言うなって。今までバンダースナッチを封印していただけでも偉いよ。どうだ? これからの生活に不安があるのなら、俺のところにこないか?」
 そう言って唯斗は手を差し伸べる。
「ひっく……その……いいん……ですか?」
「いいに決まってる。みんなも異論あるか?」
「私はかまわないよ」
 終夏が賛成の意を示す。
「私はアリスの正体がわかったからそれで十分。いいんじゃない?」
 唯乃が賛同する。
「私も異論はないです。事件も解決したわけですしね」
 リリエがそう言った。
「僕も賛成。女の子は幸せになるべきさ」
 とはジェラルド。
 御覧の通り大賛成。異論などなかった。一部の可愛いもの大好きな人とかを暴走ナンパ師を除いて。
「決まり。これからお前は俺の妹だ」
「唯斗の妹になるとしたらわらわにとっても妹か? なにやら新鮮な感じだな!」
「そうだな」
 携帯電話で呼びつけられたエクスがそう言うと笑いが起きた。
「でも、あの、すぐに契約を結ぶとかそういうことはできないですけどいいですか?」
「かまわないさ。時間はたっぷりある。ゆっくりと時間をかけて契約しよう」
「はい」
 アリスは嬉し涙で震えていました。
「ところで、アリスの名前ってアリスでいいのか?」
「いえ、長い封印の間に私は過去の記憶は殆ど忘れてしまいました。自分の名前も含めて、です。ですから、名付け親になってくれませんか?」
 アリスが恐る恐るいうと、唯斗は快諾した。
「もちろん」
 そして、名前をつけます。
「お前の名前は――だ」
「ありがとうございます。素敵な名前です。大切にさせていただきます」
 そしてアリスは唯斗とともに葦原明倫館へと赴くことになった。
「良い名前ですね。大切にするんですよ」
 真人が新たな名前を得たアリスにそう話しかける。
「はい。はい」
 アリスは涙ぐみながら微笑んだ。
「道がなかったら作ればいいのよ。負けるんじゃないわよ」
 ツンデレのセルファが感動の涙を見せながら言った。
「アリスちゃん、頑張るですー」
 ファイリアが励ますと
「そうッス。ファイトッス!」
 刹那も励ます。
「そうですね。応援していますわ」
 ニアリーも微笑みながら励ます。
「私も有栖。あなたもアリス。でもあなたは新しい名前を手に入れました。大切にしてくださいね」
「あたしはジャヴァウォックの詩。バンダースナッチの真の名。でもこれはもはや語る必要はないわね。がんばるのよ」
「はい」
 アリスは次々と投げかけられるあたたかい言葉に尽きせぬ涙を流す。
「ところで、ラーメンはどうだい? ラーメンは美味しいぜ。古代にはなかっただろう。ぜひ持って帰って食べな」
 誠治はそう言うと持っていたインスタントラーメン四つをアリスにもたせた。
「「また会う時を楽しみにしているよ」」
 リアトリスとベアトリスは異口同音にそう言うとアリスに握手を求めた。
 ラーメンを小脇に抱えながら握手に応じるアリス。とても嬉しそうだった。
「お姫様には花束を。――と言うことでバラの花束をプレゼントするよ」
 北都はそう言うと両手がふさがりそうなアリスではなく唯斗にバラの花束を渡した。
「ついでにショコラティエのチョコもプレゼントだ。これは今ここで食べるといい」
 そう言って北都から手渡されたチョコを、アリスは恐る恐る食べる。
「美味しいです」
 薔薇のような笑顔が広がった。
「それはよかった。ごきげんよう、お姫様」
 北都はそう言うと一人去っていく。
「北都、待ってください」
 パートナーのリオンが追いかける。
「いそげ〜」
 北都はのんびりとした口調で言うと一瞬だけ振り返ってから再び歩き出した。
「よかったね。うんうん。本当によかったよ! おめでとう!」
 ミルディアは大声でアリスに言葉をかける。アリスは少しびっくりするが素直に頷いた。
「イシュタンもアリスなんだよ。おんなじアリス同士、またあったらよろしくね」
「はい、よろしくおねがいします」
 アリスは笑顔で答えた。
「フハハハハハ、祝いに禁呪をかけてやろう」
 そんな危険なことを言うナイフィードを霜月とクコは必死に抑えこむと、今のうちに行くようにと促した。
「じゃあな、みんな、世話をかけた」
 唯斗がそう言って学園の外に出ていく。
「ありがとうございました」
 アリスではなくなった少女がおじぎをする。
「さらばじゃ。また会うこともあろう」
 エクスがそう言うと三人は外に止めてあったバイクに乗って葦原明倫館に帰っていった。
「ふー。なんとか騒動にカタは着いたな」
 涼司がそう言うと加夜が
「涼司くん、こんなに暴れちゃって大丈夫なの?」
 と心配そうに尋ねる。
「なに、校長からは全権委任されてるから問題ねーよ。いざとなったら俺が責任を取るまでだ」
「責任……って、退学とか?」
 涙目で加夜が尋ねると涼司は笑っていった。
「まあ、一週間の謹慎くらいで済むさ。事件も解決したんだし、ここは前向きに考えようぜ」
「そんな涼司くんだから気になるんです……」
「ん? なんか言ったか?」
「いえ、なにも」
 恋心(?)を内に秘め加夜は呟く。
「さて、今日は帰ろうぜ」
 涼司がそうつぶやくと、賛同の声があちこちから上がった。
 そうして怪我人を回復術持ちが治療して回ると、することもなくなって次第に解散と相成った。
「出来れば環奈高長に事の一部始終を報告したいのですが……」
 陽太がそう言うと、涼司は
「いいんじゃねーの? 俺の手間も省けるしよろしく頼むわ」
 と答えた。
 そして陽太の手で環奈に一部始終が報告されると、今回の戦闘に参加した生徒たちにはお咎めなし。
 あとサッカーのゴールを切っていった生徒を至急探し出すようにお触れが出た。その後の彼の運命は知らない。
 一方寮で待機していた生徒たちは待ちぼうけを食らったまま眠れぬ夜を明かしたのだった。

担当マスターより

▼担当マスター

樹 和寿

▼マスターコメント

お待たせしました。アクションの大勢上、美術室、または学園内でバンダースナッチと戦闘するという結果になりました。
寮で待機していたMCの皆様はごめんなさい。
個性的な皆様のアクションを生かしきれていなかったかなと反省しています。次回はロボット物ですのでその時にまたお会いしましょう。