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トリック・オア・コントラクト!

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トリック・オア・コントラクト!
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■□■11■□■ 「冬の女王」とじゃたとハロウィン

冬の精霊、「冬の女王」の周囲では。

ナナ・ノルデン(なな・のるでん)が、
大ババ様スペアボディの要領でチョコバナナ味の「冬の女王」像を作っていた。
その体にお菓子を色々とくっけて、お菓子の山にして、
お菓子を配り終えると、「冬の女王」の姿が現れる仕組みである。
「「冬の女王」様、子ども達にお菓子を配り歩きましょう」
「もちろんいいぞよ。
ふふふ、かわいい子がいっぱいいるぞよ♪」
「冬の女王」は、「かわいいから」という理由で、アーデルハイトを連れ去ったことがある。
まあ、双方の合意の上だったのだが。

★☆★

そこに、雪女の衣装を着た赤羽 美央(あかばね・みお)が現れて言う。
「トリック・オア・スノー!
お久しぶりです、「冬の女王」様。
新入生歓迎会の時は楽しかったです。
トリック・オア・スノーとは、はるか昔から伝わる冬へ移る際の伝統行事です。
今はハロウィン勢の台頭によってスノーがトリートに変えられていますが、
本来は「雪を降らさせよ! さもなくば悪戯するぞ!」
という秋に対する冬からの圧力であったと考えられています」
「そんな伝承ありましたっけ?」
「あるんです」
首をかしげるナナに、美央は根拠のない自信で断言する。
「その伝統ある行事を今復活させましょう「冬の女王」様!」
「わかったぞよ。かわいい美央が言うのだから、
聞いてやらぬわらわではないぞよ」
「冬の女王」は、会場に雪を降らし始めた。
「わーい、秋よりも冬が一番です! ハロウィン全滅しろ!」
美央は、ハロウィンを思いっきり楽しみながら言う。

★☆★

そのころ、
ネージュ・フロゥ(ねーじゅ・ふろう)は、パートナー達と一緒に
手作りクッキーをたくさん作ってじゃたに食べさせるつもりであった。
「ほんのりとシナモンが香るクッキー、
変り種のカレー粉を混ぜた、スパイシーなクッキー、
とあるヤシの果汁と果肉を混ぜた、ちょっぴり幸せになれるクッキー、
米粉を配合したクッキーをすべてを混ぜて詰め合わせにして用意したんだ」
ネージュは、じゃたをまたも依存症にする気でいたのであった。
「ぶっ飛んでも、おいしいコメディイベカが作れそうだもんね」
水無月 瑠璃羽(みなづき・るりは)は、その様子を見ながら、自分もクッキーを用意する。
(わらわは地上から取り寄せた、
石臼挽きのお抹茶味のクッキーを作って用意しました。
ふくよかなお茶の香りと和の心を感じてもらえたらええと思いますぇ。
ネーを陥れるようなことは今回はしませんどす。
シャンバラ大荒野の惨劇をまざまざと目の当たりにしましたどすからなぁ。
あれから意識取り戻したネーにこっ酷く涙顔でお説教されましたし)
瑠璃羽の激辛せんべいのせいで、辛い物が苦手なネージュはオーバーキルされたのである。
一方、舞衣奈・アリステル(まいな・ありすてる)は。
(あたしは、小悪魔だから、トリックを仕込んだお菓子を
手作りするのですよー。
シャンバラ一辛いといわれている激辛唐辛子、
シャンバラブートアップジョロキアの濃縮エキス
『しゃんばらだいこうやおーばーきる』を、大さじ1杯
配合したクッキーを12枚用意したのですよ。
これを詰め合わせ前のクッキーの山に紛れ込ませれば
イタズラの準備はオッケー、なのですよー。
これはもちろん、ネージュおねえちゃんにはヒミツ、なのですよ。
おねえちゃんが倒れるところをしっかりと
イベカに記録したいなー、と思っているのですー)

「じゃたじゃたじゃたじゃたじゃた!
とりっく・おあ・とりーとじゃた!」
「よし、来た!」
ネージュは、瑠璃羽と舞衣奈のクッキーも混ぜた、クッキーをじゃたに見せる。
「ほーら、クッキーだよ」
「米とか入ってるじゃた。
……また依存症になってしまうじゃた」
「大丈夫だよ、ほら、試しにあたしが食べて見せてあげるね。
……グフォアッ!?」
ネージュは火を噴いて気絶した。
「がるるるるじゃた!」
同時にじゃたの理性は限界となり、ネージュ達のクッキーを一瞬で食べつくすと、
ナナが作ったお菓子の「冬の女王」像に突っ込んでいった。

「きゃああああ!? これは皆でわけるんですよー!?」
「がるるるるるじゃた」
ナナの静止もむなしく、ナナと美央と「冬の女王」は、全員ぶっ飛ばされる。
「でも、「冬の女王」様の出番が確保できて本望です!」
「雪だるまの加護がありますように……!」
「じゃたもかわいいからぶっ飛ばされてもしかたないぞよ!」

じゃたは、その後、巨大な「冬の女王」像を完食したのであった。