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トリック・オア・コントラクト!

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トリック・オア・コントラクト!
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■□■8■□■ セレスティアーナの護衛

坂上 来栖(さかがみ・くるす)は、
ざんすかや、セレスティアーナを怖がらせる者に、
氷術でつくった氷柱を落下させようとした。
「グハッ!?」
「お馬鹿さんが、氷とでもキスしてなさい」
猫耳赤ずきんの来栖は、ざんすかの頭に氷を命中させる。
「ぎゃあああああ、氷が降ってきたあああ!」
しかし、セレスティアーナもパニックになってしまった。
「あ、東シャンバラ代王様違うんです、これは……。
うっ、ちょ、今出てきちゃ……」
来栖は頭を抱える。二重人格の幼児の人格が現れてしまったのである。
「……はじめましてっ、『くるす』だよ?
おねぇちゃん、くるすとおともだちになろ〜?」
「うわあああ!」
空気を読まずにセレスティアーナに抱きつこうとする「くるす」だが、
セレスティアーナは走って行ってしまった。
「あれー?」

★☆★

そんな中、セレスティアーナに会いに行こうとしている
エリス・ヴァイシャリー(えりす・う゛ぁいしゃりー)を探す
沖田 聡司(おきた・さとし)が、パニックのセレスティアーナに偶然、出会った。
「大丈夫ですか?」
聡司はとても小さくて10cmしかないエリスが、
騒ぎで踏みつぶされないようにしつつ、話しかける。
「この方が、セレスティアーナ様ですわ」
エリスが指摘する。
「え、セレスティアーナ様って?」
聡司は名前も、代王と言うことも知らなかった。
「本当に知りませんでしたの? 東シャンバラの代王様ですわよ」
エリスはあきれたように言う。
「そ、そうだ。私はセレスティアーナだ! わはははは!」
セレスティアーナは、少し落ち着く。

★☆★

「みつけたざんす! セレスティアーナ!」
追いついてきたざんすかの前に、
五条 武(ごじょう・たける)が立ちはだかる。
「よォこのチビ。
あァ? 地祇、だったか?
どっちでも似たようなモンか。
来いよ、このロリジジィ」
「誰がチビでロリジジイざんす!
ぶっ殺してやるざんす!」
頭に血が上ったざんすかが、武に向かってくる。
自分にざんすかの注意を向けさせるというのが武の作戦だったのだ。
ガチで殴り合いを始めるざんすかと武の横をすり抜けて、
イビー・ニューロ(いびー・にゅーろ)はセレスティアーナの手を引いて逃げる。

★☆★

安全な場所に来たところで、
イビーはセレスティアーナに妖精スイーツを渡す。
「うむ、なかなかうまいな!」
美味しいものを食べて、セレスティアーナは落ち着いた様子だった。
イビーは、セレスティアーナの手を取る。
「ん? どうしたのだ?」
「セレス。貴方のその代王という立場は、今後辛くなるかもしれません。
もしその重苦に耐えられなくなった時は、私を側に置いては頂けないでしょうか」
「心配するな! この私に任せておくがいい!」
セレスティアーナは、根拠のない自信に満ちた笑顔で言う。
「……もちろん、おまえがそばにいたいと言うなら、置いてやらんでもないっ」
「……ええ」
イビーは、照れているセレスティアーナの手を握る。
「ところで、じゅうくとはなんだ?」
「ええと、その」
イビーは、苦笑しつつも、少し安心する。
(私は、この人とともにありたいです。たとえ、どんな困難があっても)
イビーは、決意を新たにした。