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番外.目黒プライべ パラミタ支部



 
 画面に、街の景色が映った。
 大きな交差点で、パラミタ大陸ではめずらしい「四輪車」が何台も行き交う。
 それは地球の──正確に言えば日本・東京都内のJR目黒区駅前の景色だった。
「えーと、じゃあ行きますか」
 桜葉 忍(さくらば・しのぶ)の台詞が入り、カメラが動き出した。彼がカメラを担いでいるのだろう。
 歩道を進み、角を折れる。少しくすんだ色の空、先に伸びていくアスファルトの道路、建ち並ぶ住宅のブロック塀。およそモンスターや魔法とは全く縁がなさそうな、平和な映像が続く。
 ミスティ・シューティス(みすてぃ・しゅーてぃす)のナレーションが入った。
「JR山手線目黒駅を出て、線路脇の細い下り坂を進みます。すると、『目黒さつき会館』の看板が見えて来ます。
 ここは、私達がプライベートイベントで使う会場です」
 建物の敷地内には既に人が集まっており、カメラに向かって手が振られた。
 集まったメンバーは「目黒プライベ パラミタ支部」の面々だ。
 レティシア・ブルーウォーター(れてぃしあ・ぶるーうぉーたー)が手帳を開き、点呼を取る。全員集合したのを確認すると、正面入り口から会館の中に入り、レティシアが建物の守衛室に挨拶した。
 使用許可を入れていた小会議室と大会議室に入って荷物を置くと、セリア・ヴォルフォディアス(せりあ・ぼるふぉでぃあす)を中心として会場設営が始まった。
 壁際にまとめてある長卓を取り出し、並べる。雰囲気としては立食パーティー風の会場作りではあるが、
「飲食物は参加者持参です」
とレティシアのナレーションが補足する。
 正面は長卓と一緒に椅子も並べて、記者会見席のような形に。こちらは呼んだゲストに座ってもらうのだ。
 入り口には受付用の長卓と椅子を置く。筆記用具や事前に印字しておいた表やらをその上に並べる。ドアには「目黒プライベートイベント 会場」の表示。また、トイレの位置と万が一に備えて非常口も確認する。

 少し時間が経ち、レティシアが会館前の敷地を見ると、イベント参加者が集まり始めていた。開場には少しばかり早くはあるが、会場設営がほぼ完了したのを確認すると、レティシアは参加者に声をかけ、イベント会場の大会議室に誘導した。
 受付テーブルに神崎 翔太(かんざき・しょうた)がつき、来場者への対応と案内を行なった。受付表の空欄が、MCの名前で次々に埋められていく。
 ナレーションが入った。
「続々と集まる参加者の皆さんに、ちょっと嬉しい悲鳴が上がります」
 レティシアが、大会議室内の人口密度と受付表を見ながら苦笑した。
 ――見通し誤ったかな?
 ――まぁ何とかなるんじゃないですか?
 神崎翔太が肩を竦めた。

 また少し時間が経ち、そして開始の時刻となった。
 正面に司会の織田 信長(おだ・のぶなが)が立ち、マイクに向けて口を開いた。
「あー、あー、マイクテスッ、マイクテスッ!(ぴぃぃいいいいいいいいッッッッ!)
 あー(……ぴぃぃいいいいいいいい)
 ……あー、あー。
 ゴホンッ! 今日は目黒プライベに参加してくれてありがとうなのじゃ! 私は司会の織田 信長じゃ! 皆の者! 今日は思いっきり楽しんでいくがよい」
 その宣言で、参加者達が一斉に拍手をした。
 室内のあちこちに、歓談する参加者のグループができる。グループが一番大きいのは、やはり記者会見席だろう。ゲストに対して、今後の展開や過去のシナリオについて感想や意見、質問が飛んだ。
 ――あのNPCなんですけど……
 ――webのインターフェース、こうしてもらえると助かります……
 ――先のシナリオではお世話になりました。
 ――いやいやこちらこそ。
 あちこちで歓談する参加者たちに、話の合間を見て「すみません。お話を聞かせていただいてもよろしいですか?」とリアトリス・ウィリアムズ(りあとりす・うぃりあむず)がインタビューして回った。
 質問事項は主に2点。それぞれに対する主な回答は、
  質問1 プライベートイベントに参加してよかったこと
   回答・他のプレイヤーさんと直で対面して色々話せるのは良い。
     ・思い出深いシナリオについて、語りあえるのは楽しい
  質問2 プライベートイベントのどんな所が面白かった?
   回答・運営側の人と直接話ができるのは嬉しい。
     ・マスターの人と話ができる事。普段は向こうからリプライがかえってくる事がないので。
というものだった。

 そしてまた少し時間が経った。
 織田信長が再び会議室の正面に立ち、
「盛り上がってる所すまんが、そろそろ終わりの時間なのじゃ!」
 ――え〜〜?
「うむ、名残惜しいのは分かるのじゃが、この会場は次の予約が入っておる。正直時間も少し押しているので急いで片付けねばならぬ!
 皆の者、本日は忙しい中来ていただいて感謝なのじゃ! 次回の予定が決まったら告知するのでその時はまたよろしくなのじゃ!
 本日はこれでお開き! できれば次回もまたお会いしようなのじゃ! 忘れ物はせぬように! 帰り道にも気をつけろ、うちに帰るまでがプライベじゃ!」
 参加者から拍手が湧いた。
 「目黒プライベ パラミタ支部」のメンバーが、参加者を外まで誘導する。入り口前の敷地で固まり、話し込んでいる人がいるが「すみません、ここで固まられると会場の人が困りますので……」と話すと、参加者は事情を理解し、退けてくれる。参加者のマナーやエチケットは完璧だ。
 長卓を片付け、会議室を元通りにすると、自分達の荷物を回収。忘れ物を確認して、守衛に挨拶。
 そして、撤収――
「本日のプライベの全日程はこれで終了。これから私達は打ち上げです。もちろん会場は予約済み。
 みなさんお疲れ様でした」


「どうもぉ。
 目黒プライベ パラミタ支部代表のレティシア・ブルーウォーターですよぉ。
 あたしたちはぁ、目黒で時々『蒼空のフロンティア』のプライベを開かせてもらってますよぉ。
 イベントの時は、運営の人とかクリエイター側の人とかにも来てもらう事ありますんでぇ、もし予定が合えばどうぞ遊びに来て下さいなぁ。
 お待ちしてますぅ」

担当マスターより

▼担当マスター

瑞山 真茂

▼マスターコメント

 瑞山真茂です。
 本リアクションお読みいただきありがとうございます。
 また、本シナリオに参加いただいた方には一層の感謝を申し上げます。

 今回のシナリオでも、数多くのコミュニティ様の参加を頂きました。
 参加各コミュニティの皆様には、感謝を申し上げます。

 ※なお、「目黒プライベ パラミタ支部」コミュニティに関しては、
 ※活動がゲーム内世界ではなく現実レベルに及ぶものであると判断しましたので、
 ※リアクション内では「番外」扱いと致しました。
 ※また、私瑞山真茂は、以前に目黒のプライベートイベントに参加したことがありますが、
 ※リアクションでのイベント描写は、マスターの想像によるものです。

 それでは失礼いたします。