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幸運の守護札を見つけ出せ

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幸運の守護札を見つけ出せ
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「巫女さん巫女さん! アデリーヌ、固くならないでよ」
 綾原 さゆみ(あやはら・さゆみ)は着たかった衣装を着れただけでも満足しているようだった。
「ちゃんとできるかしら……」
 アデリーヌ・シャントルイユ(あでりーぬ・しゃんとるいゆ)は緊張しているようで、動作がかちこちだった。
「巫女は物腰柔らかに接するべし……的なことがマニュアルに書いてあるよ。いつもどおりのアデリーヌでいいんじゃない」
 さゆみはよしよしと励ます。この前のお菓子作りの時はフォローしてもらっていたし、こういう時にこそささえになってあげなきゃ、とさゆみは思った。
「あああの、こちらお守りになります……っ!」
「リラックスリラックス!」
 固くなっているアデリーヌの目の前に、シベレーがすっと飲み物を差し出す。
「大丈夫ですか? 緊張すると汗かきますからどうぞ」
「ありがとう」
 その後もさゆみのフォローでぎこちないながらも売り子を続けた。
 あるお客には「頑張って」とお菓子の差し入れをもらったのだが、
 その中に守護札【良縁祈願】【神恩感謝】をみつけた。



「おみくじとは違うくじ置いてるよー」
「守護札のハズレひいてしまった人はここで当てていかない?」
 南天 葛(なんてん・かずら)ヴァルベリト・オブシディアン(う゛ぁるべりと・おびしでぃあん)は和テイストなくじ屋をやっていた。七福神などの置き物や、招き猫、和菓子などが置いてある。
 こういった店は運気もあがるし商売繁盛する、と見たのだ。
 ちょっとした、懐かしい気のする駄菓子屋に似ていたからか、こちらも人がわらわらと寄ってきている。
「当たり引いたらもう一つお菓子おまけだよー」
 葛はにこやかにおまけのお菓子を渡した。そして縁起物のストラップ。これは客みんなに渡しているものだ。
その傍らにいた、ヴァルベリトはちょっと……、と葛を店の奥に引っ込ませる。
「ん、なにどうしたの?」
「あ、あのね」
 恥ずかしそうにヴァルベリトは顔を赤らめて、口を開く。
「オレさ、未開の地に一番乗りで店を出すのがゆめだったけど今はさ……お前と一緒だと、とかその」
「えっえ、何? 一緒だと嫌?」
 葛は不安そうに見つめる。
「ち、違うっそうじゃなくて……」
 付き付けるように、開封済みの守護札をヴァルベリトは渡した。
【神恩感謝】の守護札二つだ。
「これにお願いごと、かけない? オレはその、こうやって……、これからも店やったり、一緒にいられたら、いいなって」
「当たり前じゃん、う゛ぁる。守護札ありがとう」
 葛はにこっと笑い、ヴァルベリトの手を包み込むように受け取った。



「……まだ終わらないのか?」
 三途川 幽(みとがわ・ゆう)リリア・ローウェ(りりあ・ろーうぇ)に退屈そうに問いかける。半ば強引にリリアに連れて来られたのだ。
「夕方ごろだと思いますよ〜」
 先ほど椿が休憩室から持ってきてくれたお菓子を食べながらリリアは答える。
 なんでひらひらしてる巫女服なんか着なきゃならんのか、と幽は不満そうだった。
「ほらほら、ぶずっとした顔だと幸運逃げちゃいますよ?」
 そうリリアは幽の目の前に、おかしな配置をした福笑いを見せる。ぷっと噴き出した幽だが、堪えてぺしんとリリアの頭を軽くたたく。
「お前は巫女やりたくて来てるんだろ」
 幽の叱咤にうん……と俯くリリア
「え、交通安全ではなく恋愛成就でした? す、すみませんっ!」
 先程お客に渡す品物を間違えてしまった。慌ててお守りを客に渡し直す。
 守護札探しに行きたくてうずうずしていたのもあり、ミスをしてしまったようだ。
「ほら、一個は見つけてきてやったからな。後でまた探せばいいし」
 幽が未開封の守護札を渡すと、リリアの顔がぱぁっと明るくなり、幽の腕に抱き付く。
「うん、あとで探しに行きましょう!」
「ちょ、くっつくな! 全く……」