リアクション
第4幕 どんな『ヤツ』?
会社を出て、洞窟の中。
さすがに郁乃はバーサーカー状態から復活し、桃花のお茶をすすってみんなの帰りを待っていた。
アランは白花が乗っていいと言ってくれたので、『白虎』の背に乗っている。
「今回は残念だったな」
そう言い、呼雪がアランの頭を撫でて慰める。
「うむ……」
「そこで、提案なんだけど、もし良ければ、俺達も『ヤツ』とやらを探すのを手伝うよ。 今話せる範囲で良い、名前や姿、手掛かりになりそうな事を教えて欲しい」
「まことか!?」
「僕も『ヤツ』さんを探すの頑張ってお手伝いするね」
マユが拳をぎゅっとにぎる。
「マユ……『ヤツ』というのは名前ではないぞ?」
マユはアランの言葉に首を傾げた。
「あれ……? 名前じゃないんですか?」
「ヤツの名前は……トリスタット。トリスタット・チェスターだ。余の国で文官をしていて……余と一番の仲良しだったのだが……突然姿を消したのだ……」
「そっか……心配だよね」
カレンがアランの手を握る。
「うむ……。みなに聞いてもどこにいったのか教えてくれなかった……。だけど、このセバスチャンだけはヤツのいどころを探してくれて、パラミタに行ったという情報を掴んでくれたのだ!」
アランは胸を張ってそう答える。
「ふ〜ん」
ヘルはそう言うと、セバスチャンにそっと近寄った。
「じゃあ、アランと契約したのってそれを探し当てたから?」
「いえ、違います。アラン様との契約は……アラン様が生まれる前から決まっていたことでございますから……」
「ふ〜ん……」
ヘルはセバスチャンの言葉にどこか納得してないような返事をする。
「で、いったいどんな感じだ?」
呼雪がアランに先を促す。
「んと……頭がよくて、余を唯一可愛がってくれて……そうだ! ヤツも金髪だぞ! それと男性だ!」
「他には何か手がかりになりそうなものは?」
「……すまぬ……余はほとんど情報を持っていないのだ……」
「そっか」
すべてを話すとアランはどっと疲れが出てきたのか白花の膝の上で眠ってしまった。
「それと、こちらは一応こちらでもらっておきますね」
尋人がぶん投げたランプを持って帰ってきていた天音の手からランプをひょいっと奪った。
「ま、特に願い事があったわけじゃないからいいけどね。でも、それ何に使うのかな?」
「アラン様の依頼で動いた結果の1つですから、きちんと本国のアラン様のお部屋に送りますよ」
その言葉に天音は生返事をするだけだった。
どこかぼろっとなってしまった会社の写メを撮ると舞花はメールを打ち始めた。
陽太たちへのメールらしい。
今回の顛末を書き終えると、すぐに送信をする。
「これでよしっと」
こうして、無事に魔法のランプレンタル会社をぶっ潰すことに成功した(?)アランたち一向だった。
大変遅くなりました……すみません。
アランの冒険の続きは9月以降になる予定です。
今の状態ですと、またこれくらい遅くなってしまう恐れがありますので落ち着いてから出させていただこうと思っています。
今回は遅くなり、本当に申し訳ありませんでした。
また、この物語が少しでも楽しんでいただけたのでしたら嬉しいです。