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なし

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のぞき部だよん。

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のぞき部だよん。

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最終章 開幕 【夜→朝】

 その夜。
 キリン隊とパンダ隊は、蒼空学園の近所で打ち上げパーティーだ。
 メイドの広瀬ファイリアが、日本のビールを持って席を回る。
 そこに、ようやくマリー・ストークスがシャワーカーテンを買って帰ってきた。
「ちょうどいい長さのあったよ!」
「あわわわーっ!? そこどいてくださいですーっ!?」
 どかーん! ファイリアがマリーに激突。
 シャワーカーテンはビリビリに破れ、ビールは宙に舞った。
「おいおい。またかよー!」
「こうなったら、優勝だ! ビールかけだ!」
「ひゃっほー!!!」
 ビールをぶちまけて、てんやわんや。
 勝利の美酒に酔いしれ、最高の夜を過ごした。

 正門前ののぞき部は、キリン隊とパンダ隊に交代で見張られている。今は後からパンダ隊に加盟したリンダ・ウッズだ。
 鈴木周は、ボロボロの体でもナンパを忘れなかった。
「はい……そこの……おねーさん。俺と愛し合わないかっ?」
「あんた。性根ー入れて言よーりゃーがるか……?」
「リンダ……俺は……本気だぜ……」
「あんたには、たがわんわい……」
 周の目の前にしゃがむリンダ。
 胸の谷間がドーン!
 リンダは周の手を取った。
 周は、胸の谷間から目が離せない。付き合えば、この胸に触り放題だ。誰にもやらねえ。俺だけのおっぱいだぜ……!!!
 そして、周だけは解放され、リンダと2人でしっぽりと消えた。
 第2の『エロンの園』と言われる、校舎裏のエリアに……消えた。

 静まりかえる蒼空学園に一人の影があった。
 のぞき部の黒脛巾にゃん丸だ。
 忍道具を手入れし終えると、ふう〜と大きく息を吐き、歩き出す。
 空を見上げれば、雲に浮かぶ三日月。
「きれいだねぇ〜」
「バレたら、ただじゃ済まないですよ」
 パートナーのリリィ・エルモアが背後から釘を刺す。
「リリィ。捕縛されてボコボコにされた仲間を、今さら裏切れっていうわけぇ?」
「そういうわけでは……」
 にゃん丸は、ただ笑う。
 雲が流れ、月が隠れる――
 次の瞬間、にゃん丸はもういなかった。
 隠れ身を駆使し、闇夜にまみれた。
 にゃん丸の姿が次に確認できたのは、男子更衣室だった。
「沙耶はやっぱり裏切ったねぇ。女だもんねぇ」
 注意を引くための動物園ポスターはまだ貼ってある。
 にゃん丸はそのキリンの鼻の穴に、光条兵器の照準を合わせる。
「“ベストのぞき穴ポイント”の本命は、こっちなんだよねぇ。ヴェルチェに頼んであったんだよねぇ。まあ、頼んだというより、買ったんだけど」
 そして、にゃん丸は気を集中。
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 細く穴を開けるには、通常の何倍も気力を使う。
 数十分後、にゃん丸は、真っ白に燃え尽きた。
 やがて、夜が明けた。
 リリィが静かに入ってきて、にゃん丸を抱える。
「これじゃ、実際ののぞきは無理ね。ふふふ……」
 更衣室を出ると、
「誰?」
 プールに誰かいるのか? リリィが息をひそめる。
「気のせいか……」
 リリィはにゃん丸を抱えて帰っていった。
 プールサイドで、息を殺して潜んでいたのは、カルナス・レインフォード(かるなす・れいんふぉーど)だ。
 カルナスは、のぞき部が見つかることを予想していた。
 騒動が落ち着くまで、優雅に学園の外で遊んでいたのだ。
 そしてのぞき部が拘束されているのを確認し、潜入したのだ。
 誰もいない今、悠々と女子更衣室に入っていく。
「全てはオレのシナリオ通りだぜ」
 しかし、カルナスは騒動について勉強不足だった。
「のぞき穴? 甘い甘い。俺はもっと近くで見るぜ。ここが一番の絶景ポイントだ!」
 カルナスは、ロッカーに入った……!

 正門前の見張りは、秋葉つかさになっていた。
 秋葉はニヤリと笑った。
「うまくいったね」
 椿も、ニヤリと笑った。
「楽しかったでござる」
 弥涼も、ニヤリと笑った。
「最初にメイドの格好をしたつかささんが、スパイの話を持ちかけてきたときは驚いたぜ」
 笑いが止まらない3人。
 他ののぞき部員は、何が起きたのかわかっていない。
 影野が訊く、
「どういうことですか?」
「我らの勝利……でござるよ」
 と椿が解説する。
「秋葉殿は、女子更衣室からも男子をのぞけるようにすることを条件に、のぞき部の忍びとして諜報活動をしてくれていたのでござる。つまり、我らがキリン隊に捕縛されるのは全て計画通りなのでござるよ」
「でも、のぞけないことに変わりはないですよね……」
 そこに、にゃん丸を抱えたリリィがやってきた。
「にゃん丸が命をかけてのぞき穴を開けてくれたでござるよ」
「にゃん丸が……?」
 真っ白になったにゃん丸は痛々しい。
 作戦を知らなかったのぞき部員たちも、這ってきてにゃん丸を囲む。
「お疲れ」
「ありがとう」
「よくやったな」
「可愛い子が着替えてたら、お前に譲るよ」
「かっこいいぜ、にゃん丸」
 そして、弥涼がヨロヨロと立ち上がる。
「みんな。今からが本当ののぞき部だ。そして……俺が、のぞき部部長だ!」
「部長!!!」

 ザザザーーーーーーッ!
 
「な、なんだ?」
「まさか!」
 のぞき部は、再びキリン隊に囲まれた。
 秋葉も縛られ、正門に繋がれた。
 何故か、全てがバレている。
 なお、パンダ隊はのぞき穴とロッカーを再チェックするため、女子更衣室に向かった。
 ロッカーに潜入中のカルナス・レインフォードが辿る運命は言うまでもないだろう……。
 正門前には、鈴木周がやってきた。
 ロープで全身グルグル巻きにされ、リンダに引っ張られてきた。
「周! どうした!」
「お前、まさか……?」
 周は泣きながら謝った。
「ごめん。俺、今までナンパばっかしてきたけど一度だって成功したことねえし、ずっと、かわいくてセクシーな彼女が欲しいって思ってて……だから、リンダだけは、初めてできた彼女だから、リンダだけは! 誰にものぞかれないで欲しいって思ったんだ。……俺、リンダを守りたいって思ったんだ……だから、つい、『女子更衣室で着替えちゃダメだ』って言っちまって……」
 周は、リンダの悩殺事情聴取作戦に引っかかったのだった。
「チクショウ! 俺……モテたことなくて……みんな、ごめん!!!!!」
 ボロボロと涙を流す周。
 この裏切り者に対して、のぞき部員たちは意外な態度を示した。
「周! 気にすんなよ」
 のぞき部のみんなも、女子にモテたことなどない。周の気持ちがわからない奴は一人もいなかった。
「あの谷間で迫られたら、仕方ないでござるよ」
「また出直せばいいんだぜぇ!」
「ドンマイ! 周! 泣くんじゃねえよ!」
 今や、のぞき部は固い絆で結ばれていた。
 のぞき部の熱い青春を見せつけられた村雨は、はらわた煮えくりかえっていた。
 弥涼の胸倉を掴んで叫んだ。
「変態の分際で青春ごっこしやがって! お前ら、いったいなんなんだよ!」
 弥涼は、にっこり笑って言ってやった。

「のぞき部だよん♪」

 今回、のぞき部はスケベのために戦い、スケベのために敗れた。
 しかしまた、スケベのために再び結束し、スケベのために再起を誓ったのだ。
『のぞき部 VS キリン隊・パンダ隊』
 本当の戦いは、まだ始まったばかりだ……!!!

担当マスターより

▼担当マスター

菜畑りえ

▼マスターコメント

こんにちは。菜畑りえ(なばたりえ)です。
「のぞき部だよん。」にお付き合いいただき、ありがとうございました。

お遊び上等、悪ノリ上等のネタだったせいか、ガイドがゆるかったせいか、いやあ、とんでもアクションが集まりました。
筋外れ、無謀、自己完結、抽象的、ダブル、トリプル……いろいろありました。
でも、これも私の潜在意識が求めていたのでしょう。
描いてるうちに不思議と楽しくなっちゃって、ほとんど採用させていただきました。
あまりにもバラバラなアクションが来てしまったので、想定していた首謀者の話をぶっ壊すことになりましたが……。
みなさんも、元々こんなネタのこんな物語ですから、作戦やアクションの成否とは別の次元で楽しんでいただけたら幸いです。

グループアクション「麒麟隊」のみなさんは、勝手に名前を変えて申し訳ありませんでした。
「のぞき部だよん。」はゆるゆるのおふざけシナリオですから、カッコよすぎる名前がどうしても浮いてしまったんです。ごめんなさい。
天瀬さんは、放送委員に近づくアクションが裏目に出たということもありますが、いきなり被害者としての登場、ごめんなさい。
誰かがやらなければいけない重要な役だったので、勘弁してください。

最後に、今回この「のぞき部だよん。」で私がやりたかったのは、いわゆる「のぞき部ゼロ」です。
物語を通して、本当ののぞき部の誕生を描きたかったのです。つまり……
いつかまた、コンフリーの温泉宿かなんかでのぞきに挑戦したいと思ってます。
キリン隊とパンダ隊のみなさんも、がんばってください。のぞき部に寝返ってもいいですよ〜

なお、称号は「のぞき部だよん。」ですから、自己犠牲の精神を持ったごく一部の「のぞき部員」の方だけに差し上げました。
とはいえ、かなり運によるところがありますので、与えられなかった部員の方は、次回がんばってください。

それでは、みなさん。また別のシナリオでお会いしましょう♪