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「 水中での戦い!人魚と魚人の協奏歌 」(第1回/全2回)

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「 水中での戦い!人魚と魚人の協奏歌 」(第1回/全2回)

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第三章 探索・探検の行方に

 ルファニーは脇目も触れず、迷いを見せる事無く、故に背後を注意する事も無く森の中へと進んで行った。何か、急いでいるようにも見えた。
 森の奥、茂みが重なり深くなっている地帯の入口で、初めてルファニーは辺りを見回した。
 ルファニーは、ソイと中へと入って行く。少しの間を取っていると、茂みの奥から何かが水に落下する音が聞こえてきた。
 尾行していた生徒たちがルファニーを捜し追った、すると、そこには小さな泉があり、水面はかすかに揺れていた。
「えぇ〜! 水の中に入るの!」
 その身を段ボール箱で武装しているあーる華野 筐子(あーるはなの・こばこ)は、水を見るなり悲鳴を上げた。パートナーで剣の花嫁のアイリス・ウォーカー(あいりす・うぉーかー)と英霊の一瞬 防師(いっしゅん・ぼうし)は筐子の肩を叩いて言った。
「私の推理では、彼女の行動は事件解決の為の大きな鍵となるはずです、行きますよ」
「段ボールは諦めるでござる」
「いやよぅ! 私の段ボールはこんな事では負けないんだから!」
 泉の底を見透すように見つめているのは、蒼空学園のナイト、ソウガ・エイル(そうが・えいる)と、パートナーでプリーストのアリア・エイル(ありあ・えいる)である。
「どこまで続いているか分からないからな、含気錠を飲んでおくか」
「えぇ、2分以上は潜る事になりそうですから、それが良いと思います」
 ソウガとアリアが水中での合図を決めている横で、伊達眼鏡を外しているのは蒼空学園のローグ、志位 大地(しい・だいち)である。
「含気錠は、飛び込む直前に飲んだ方が効果的ですよね、いや待って下さい、飛び込みながら飲んだ方が時間が長くなるのでは…… 水中、水中で飲む事が出来れば或いは」
 どんどんどんどん距離がつく。ルファニーは離れてしまう、気付いた一行は次々に泉へと飛び込んで行った。


 潜った先、泉の奥は水中洞窟の様な通路になっていて、一本道であったのだが、イルミンスール魔法学校のプリースト、エレート・フレディアーニ(えれーと・ふれでぃあーに)とパートナーの武田 信玄(たけだ・しんげん)はふと泳ぎ止まった。
「これは、困りましたわ」
「ふむ、これでは侵略する事できぬの如しじゃ」
 二人の見つめる先、一本道は九つに分かれていて、ルファニーの姿も痕跡も一切に見る事が出来なかった
 イルミンスール魔法学校のセイバー、続いて到着した高月 芳樹(たかつき・よしき)とパートナーのアメリア・ストークス(あめりあ・すとーくす)も首を傾げた。
「単純だけど、効果的だな」
「感心してる場合じゃないでしょ、早く決めなさいよ、あの娘に会いたいんでしょ」
「何でイライラしてんだ、カルシウム不足か?寝不足か?寝不足は肌にも悪いんだぞ」
「うるさい! 行くわよ」
 芳樹を置いてアメリアが洞窟の一つへ飛び込んだ。
 ルファニーがどの道を行ったのか分からない以上、意を決して飛び込むしかない、それしかないのだ、含気錠の時間制限が迫っているのだから。


 ルファニーが行動を起こすよりも前に水中洞窟へ侵入を開始していた生徒たちは、調査を開始していたのだが、その中の一人、ウィザードの済み如月 玲奈(きさらぎ・れいな)とパートナー
でゆる族のジャック・フォース(じゃっく・ふぉーす)は魚人から走り逃げていた。
「きゃぁぁぁぁ、ジャック、速く走りなさいよ」
「いや、ちょっ、水が重くて……」
「ユーリ!」
「はーい、任せてっ」
 バトラーの沢渡 真言(さわたり・まこと)のパートナーでウィザードのユーリエンテ・レヴィ(ゆーりえんて・れう゛ぃ)が飛び出して、魚人に向かいて火術を放った。
 しかし魚人は岩を投げつけて、それを相殺したのだった。魚人の対処に一同は目を見開いた、ダメージにならないのは勿論の事、時間稼ぎにもならないなんて。
「マーリン、手伝いなさい」
「了解、重すぎるぞコラ」
「俺のせいじゃない!水が、水のせいなんだ」
 ジャックの濡れた体を、真言とマーリンで抱え駆けだした。火術を岩で防いだ発想力、そして通路の狭さを考えれば戦闘を行うは得策にあらず。真言は玲奈と共に一時の撤退を選択し、駆け逃げたのだった。


 ルファニーを追って水中通路を進んでいたシルバ・フォード(しるば・ふぉーど)は魚人の住処である水中洞窟に辿りついていた。森の泉と洞窟が繋がっていたのだ。
「到ぉ着ぅぅう。って、誰だ?」
「それはこっちのセリフですぅ、びっくりしましたぁ」
 水を払って辺りを見回してすぐに、蒼空学園のローグ、藍乃 澪(あいの・みお)とパートナーのフローラ・スウィーニー(ふろーら・すうぃーにー)の驚いた顔を見てとれた。
 澪とフローラは魚人たちが豹変した原因を探そうと洞窟に侵入していたのだ。
「それなのに、全然、魚人さんたちに会えないのですぅ」
「自分は危険な事には反対です、戦わずに済むなら、それに越した事はありません」
 洞窟内は比較的、見晴らしが良いと言えた。シルバのパートナーで剣の花嫁である雨宮 夏希(あまみや・なつき)が、辺りを一望して見つめ見てからシルバに瞳で合図をした。
「お二人さん、どうやら穏便に、なんて言ってられねぇみたいだぜ」
 シルバの視線の先には魚人が2人、目を血走らせて歩み寄って来ていた。4人はそれぞれに武器を構えた。


 イルミンスール魔法学校のソルジャー、メニエス・レイン(めにえす・れいん)とパートナーのロザリアス・レミーナ(ろざりあす・れみーな)は洞窟内の調査を最優先に考えている、と言えば聞こえは良いが、探検と言うよりはガサ入れ、そう! 人の家に入ったら、やる事と言えば唯一つ。
「ねぇねぇ、メニエス、もっと奥に行ってみようよ、きっと何かあるはずだよ」
「ちょっと、あたしよりも張り切らないでよ、霞んじゃうじゃない」
 一、二の三歩目で出会ってしまった。現れたのは波羅蜜多実業高等学校のローグ、国頭 武尊(くにがみ・たける)である。メニエスと国頭は互いに体を硬直させたが、目を見るとすぐに同じ匂いを感じ取っていた。
「あなたも?」
「あぁ、君も盗みを?」
 顔を近づけて笑み合った、そこへ大きな頭が一つ、紛れていた。
「盗みだと?主ら、盗みを働こうってか」
 大きな頭はあーる華野 筐子(あーるはなの・こばこ)のパートナーで英霊の一瞬 防師(いっしゅん・ぼうし)であった。メニエスと国頭が目で分かち合ったように、防師が二人の目を見ると、互いに全てを察知していた。
「シャンバラの銭形平蔵こと一瞬 防師の前で盗みを働こうなどと…… 野郎ども、出会えぇぇい」
「誰が野郎どもですか、そんな言い方、止めていただきたいですわ」
「わぁぁぁぁぁ〜」
 筐子のパートナーであるアイリス・ウォーカー(あいりす・うぉーかー)の後ろから現れた筐子の姿を見て、メニエスとロザリアス、そして国頭は揃っていよいよ悲鳴を上げた。
 銭形を名乗る一瞬 防師、トミーガンを構えたアイリス、そして代えの段ボールに身を包んだ段ボールロボットの筐子。そりゃあ、もう、悲鳴も上げますよ、逃げだしますよ、逃げる者なら3人も追います。
 魚人騒動を無視した捕物が始まったようである。


 洞窟内において魚人との戦闘真っ只中なのは蒼空学園のローグ、樹月 刀真(きづき・とうま)とパートナーでソルジャーの漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)である。
 魚人が振り下ろした拳が地の岩を簡単に砕いてしまった。拳を避けた刀真はそのまま間合いを詰めて「轟雷閃」を放った。目に狂気を宿したまま、続けて突きを放とうとする刀真に月夜がハンドガンで静止をかけた。
「刀真」
「!!! くっ」
 月夜の弾音に我に帰った刀真は魚人と大きく間を取った。今の一撃に興奮と暴走の色を見せる魚人は、自分の背丈ほどの岩を軽々と持ち上げ構えていた。
 右手にはバスタードソード、そして左手に刀真は光条兵器「黒い刀身の片刃剣」を出だして飛び出した。
 魚人が岩を投げつける、その速さたるや正に岩弾であったが、刀真は長刀のバスタードソードで岩を一閃してゆき、再び間合いを詰めて行った。先程の一閃とクロスになるように、刀真は爆炎波を放ったが、こちらは刃の無い剣で放った故に、ダウンはしても死にはしない。
 気絶した魚人を見下ろして刀真は光条兵器を解除した。そこへ拍手と共にローグの志位 大地(しい・だいち)が現れた。
「お見事ですね、素晴らしい腕前だ」
「君は?」
 大地はルファニーが一人、隠れるようにして本陣を抜け出した事、そして後を追ってみれば、この洞窟に辿り着いた事を2人に話した。
「なるほど、それは変だな」
「私たちは洞窟内でルファニーさんの姿を見ていないわ。でも、洞窟を目指してたなら」
「えぇ、おそらく」
 3人は共に洞窟内を調べるべく歩きだした。