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【十二の星の華】「夢見る虚像」(第3回/全3回)

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【十二の星の華】「夢見る虚像」(第3回/全3回)
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第3.5章 本物の想いは今いずこ?

「ティセラって面白い子だね」
 カフェの一角に腰掛け、カタカタカタっとキーボードを叩きながら裏椿 理王(うらつばき・りおう)は独りごちる。
「なるべく現場の側にいようって姿勢には感心するけどさ、野次馬で怪我したんじゃ目も当てられないと思うけど。ほら、お店の人も逃げたがってるし」
 桜塚 屍鬼乃(さくらづか・しきの)は、閑散とする店内をグルリと見回した。
 他の店員はすべて避難してしまったのか、店長らしき男が一人、苦笑いを浮かべている。
「ここは大丈夫。ティセラがカンバス・ウォーカーを吹き飛ばしたところから、離れてるからね」
「関係あるの?」
「いくら不意をつかれて像を奪われ頭に血が上ったとはいえ、それくらいの計算ができるくらいの資質はありそうだけどね、ティセラ。むしろ狙いがあって吹き飛ばしたんじゃないの? あるいは――虚像の象徴的な存在を消したかった、とか。だから、その現場から遠いここは安全地帯。オレの推理では」
「君の予測?」
「そうだよ。オレはデータと自分の推理を信じる」
 やれやれ、と屍鬼乃は天井を仰いだ。
「じゃあそのデータはさ、女王像の胴部の在処、どう伝えてるわけ?」 
「そこなんだよなぁ。目撃した者、関係者、関係者の振りをして偽の情報を流す者、関係者が意図的に情報に細工しているのもの……情報が溢れかえってたのはもう前からなんだけど……さっきから急に像の発見情報が増えてるんだ……あ、また増えた」
 ディスプレイを眺め、理王は腕を組んで唇を尖らせた。

「ただ、ま。信じるとすればこれかな。このカチェアって人の情報。像の落下地点を考えると、これが一番近いような気がするし……実際、追われてるみたいだからね」