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【十二の星の華】空の果て、黄金の血(第2回/全2回)

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【十二の星の華】空の果て、黄金の血(第2回/全2回)
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 第3章 崩壊 



 蘭華・ラートレア(らんか・らーとれあ)は、前回待機していた位置に引き続き待機し続け、翡翠たちが戻ってくるのを待っていた。
 崩れ続けている浮遊島、何処が崩落しているか解裸無い状況で、脱出経路は一つでも多く合った方が良い、とラートレアは考えていたのだ。
「無事、皆が戻られるまでは前回乗ってきた飛空挺を死守しましょう。もし通路に瓦礫が落ちてきたらドリルで撤去するなどして王座から外郭までの経路は確保し続けるのが私の役目です」

 清泉 北都(いずみ・ほくと)は、格納庫を探していた。
「案内図は無さそうだし、誰かに聞くのが早いかなぁ?」
 不要な戦闘を避けるように『禁猟区』を周囲に張り巡らせ、『超感覚』で足音や罠の起動音や話声に耳を傾け安全に移動出来るように進んで行く。
 そこに携帯で退路の地図が送られてくる。
「どうやら事情は、敵味方入り乱れての撤退になっているようだね…」
 そういいながらも、飛行艇を破壊して生徒達を城ごと始末する輩や情報を察知すべく、北都は慎重に動いていた。


 シオン・エヴァンジェリウス(しおん・えう゛ぁんじぇりうす)は使い魔「フギン」と「ムニン」を放ち一羽を城周辺と内部のもう一羽を島全体の偵察に向わせ、城の簡単な構造と大まかな戦況、爆発物が仕掛けられていること、を爆発が起きる少し前に知った為、それを他の大型飛空挺に残った仲間に知らせる。そしてラートレアや北都、涼、天華たちとも連絡を入れて、場所は離れていても共同で行動することを提案した。

 ソーマ・アルジェント(そーま・あるじぇんと)
「北都、思っていた以上に深刻そうだな」
 シオンからの連絡をうけて、ソーマは北都に呟く。
「そのようだね。敵、味方と分けている場合じゃなさそうだ」
「とは言え、急進派がいる可能性もあるから、俺たちは警戒しながら進もうじゃないか」
「それがいいね、何が起こるか分からない…それが今の状態だ」
 ソーマはいざというときは、北都の氷術と自分の火術で水蒸気を発生させ、目くらましをしている間に進むつもりでいた。
「戦闘は避けたいところだから、今の状況はありがたいと言えそうだけどな」



☆   ☆   ☆   ☆   ☆    ☆   ☆   ☆   ☆   ☆



 『王座の間』では、ティセラ・クローンとの戦いが繰り広げられている。
 リカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた)は呟いた。
「ティセラ・クローン。こうもあっさり出されてしまうと親衛隊としては非常に迷惑なこと。下手したらあの時のティセラだってクローンだったのか、と疑い始めたらきりが無くなってしまうわ。その迷いを断ち切るためにも自分の手で決着をつけたいところ…いくわよ!」
 親衛隊を名乗る者の覚悟として、止めを刺すつもりで「疾風突き」を打つが、ティセラ・クローンのレプリカ・ビックディッパーの前によって防がれる。
「待って! いくらクローンでもティセラ様はティセラ様だわ…ここは捕獲に努めるべきよ! リカイン!」
「…仕方ないわね…分かったわ」
 祥子に説得されると、リカインはティセラ・クローンの背後に回り込もうとする。
「…それで私を捕縛できるとでも思っていて? バカね、あなたたち」
 ティセラの威厳はそこにはなく、幼いシャムシェルの影がついて回る。
ウィング・ヴォルフリート(うぃんぐ・う゛ぉるふりーと)は剣を合わせながら問いかける。
「キミは一体誰なんです? もうすぐ崩れるのにここから逃げなくていいのですか?」
 ティセラとは何度も剣を合わせてきたため、ウィングは確実にティセラではないことを理解する。
「クローンとは言え、命には代わりがない。なのに捨て駒のように扱うシャムシエルと帝国に怒りを覚えます。とにかく彼女を保護するためにも、1度倒さないといけません!」
 奈落の鉄鎖および超感覚、ヒロイックアサルト<リミットブレイク>による身体強化、高速連撃に轟雷閃を混ぜ、ティセラ・クローンを圧倒するが、クローンとは言え、ティセラ。さすがに捕獲まではできない膠着状態が続く。
 そこに橘 恭司(たちばな・きょうじ)が再び、ティセラ・クローンに挑む。鉤爪の爪の部分でレプリカ・ビックディッパーを絡めて捻ると、ガチッっと音が響き、レプリカ・ビックディッパーがティセラ・クローンの手から離れ、くるくるっと宙を舞うと、ドスっと音をたて、床に突き刺さった。その瞬間、そうすれ
 【痺れ粉】で麻痺させティセラ・クローンを抱えて、保護しようとするが、そこに朔が現れる。
「そいつが、シャムシェルの残した、ティセラ・クローンか!」
「朔、落ち着いて! これはあくまでもシャムシェルが作り上げたクローンよ!」
 祥子が朔の尋常ならざるシャムシェルや鏖殺寺院への怒りをこの旅で見てきただけに、勘を働かせて、朔を止めようとする。
「いずれにせよ、自分の仇だ!」
「止めろ、朔!」
 恭司もティセラ・クローンを庇うようにして、身を挺する。
 しかし、朔の幻槍モノケロスはティセラ・クローンの体を貫いた。
「なんてこと!」
「いや、違う!」
 貫いたと思われたのは、ティセラの服の部分で体に一筋、血が流れるのみだった。
「朔、やめなさい!」
 リカインが怪力の籠手を使い、朔の暴走を止めようとする。
 その時だった。
「私は…なぜ、こんなところに…」
 ティセラ・クローンがゆるり、と周りを見渡す。
 その瞳には今までとは違う高貴な色が宿っていた。
「ティセラ、さま…?」
 祥子がはっと気がつく。
「私は何をしていたのですか? ここは?」
 クローンと言えども、ティセラ。シャムシェルに洗脳されていたのが解けたようだった。
「良かった…!! ティセラ様!」
 祥子がほっとした瞬間だった。
「…下がってください! みんな!」
 急にティセラ・クローンが叫ぶ。
「ティセラ様!?」
 ティセラ・クローンは自ら、バルコニーまで出ると、そこでくるりと振り向き、