なし

リアクション

第8章　またもや謎･･･情報整理

　情報を集めた生徒たちは寺子屋近くの倉庫へ集まり、互いに交換し合い始める。
「まず私たちが焼却炉で見つけた情報を言いますね。中に何も入っていなくて、誰も火をつけてないのに突然、燃え出したんです」
「蓋を開けて調べてみた時、本当になかったわよね？」
　メイベルに続けて泡が説明し、陽太の顔へ顔を向けて確認する。
「はい、ゴミとかいっさいありませんでしたよ」
「その炎が消えた後、底が焦げたのかなと思ったんだけど」
「うん空洞になっていたんだよね。石を落としても音が全然聞こえなかったんだ」
　セシリアはこくりと頷き、そこで試したことを話す。
「何か燃えやすい場所や、底のないようなところを意味しているんじゃないでしょうか」
　頭の中で陽太は焼却炉で見たことを整理する。
「ボクたちしゅうかいじょうで、ふしぎなお人形を見つけたです。ルカルカおねえちゃんがぜんまいを巻いてないのに、動きだしたんです！」
　ヴァーナーも見つけた情報を生徒たちに教える。
「そうなのよ。棚と棚の細い隙間を行ったり来たりしてたのよね」
「きっと細い道にかんけいしてるです」
「俺たちが見つけたのは、民家の風呂場だったな。睡蓮が壁をなぞったところに、“私は見上げる”という言葉が現れたんだ。その時の記憶はないようだが･･･」
　確認するように顔を向ける唯斗に、睡蓮が小さく頷く。
「見上げる？屋根とか高いところかな」
　北都は首を傾げて考えるように言う。
「陣さんの使い魔に括りつけてあったやつにも、綺人さんが高いところの意味かもしれないと書かれてましたね」
　受け取った手紙を遙遠が北都に見せる。
「じゃあその近くにオメガさんがいるのかな」
「私の方は手がかりというか、村の闇世界化の進行についてです。民家で死んでいた人のメッセージを見つけました。争えば争うほど闇が広がる、て書いてありましたね」
「それはやっぱり、鎌鼬さんが言うように争って傷つくことが、オメガさんの心に良くない影響を与えてるってことだね･･･」
　満夜の言葉に真は顔を俯かせる。
「それとその妖怪から得た情報だが･･･、やはり十天君が絡んでいるようだ。こいつがエリと呼ぶ女の名は、袁天君･･･」
「オメガさんの魂をドッペルゲンガーに吸収させようと企んでいるんです！」
「何ですって！？」
「そんなの絶対嫌です！そんな計画潰してやりますっ」
　グレンに続けて言う由宇に、泡と緋音が怒りの声を上げる。
「アヤカシってことはその女も妖怪なの？それと･･･、十天君を8人倒せばオメガちゃんは館から出られるのよね」
「そうだよ」
　歌菜の問いかけに捕らえられている鎌鼬が答える。
「妖怪ということは、十天君は皆そうなんでしょうか。この事件にアリスが関わっているわけじゃないんですね」
　生徒たちの話しを聞き睡蓮がぽつりと言う。
「後6人封神すればいいんですね･･･。そうですか･･･」
　倉庫の隅っこで遙遠が黒いオーラを放つ。
「絶対怒ってますよね」
「あぁめちゃくちゃ怒ってると思うよ」
　彼に聞こえないように歌菜と真がひそひそ声で話す。
「くぅ･･･ちょっと血を流しすぎたみたいだね。せっかく無事に集まれたのに･･･」
　視界がだんだんとぼんやりし始め、真はバタンッと床へ倒れこむ。
「真さん！」
「ごめんね歌菜さん、きっと後で追いつく･･･から･･･」
　そう言い残し真は目を閉じ、意識が途切れてしまった。
「ま、真さんが消えちゃった！？」
「彼の身体がここから消えたってことは･･･もう夜明けなんだね。きっと村の外にいるはずだよ。俺もクマラといったん外へ出るよ、旅人さんが心配だからね」
　宿泊所で旅人が何者かに襲撃されたことが気になり、エースはクマラを連れて村の外へ出て行く。



「ねぇ大丈夫？起きて」
「う･･･ん･･････？私･･･無事に戻ってこれたのね」
　村の外へ戻されたアリアが真に起こされる。
「（ちっ、他にも戻ってきたやつがいるのか）」
　アリアと同じく闇世界で死に、戻って来た生徒がいたのかとレアルが舌打ちをする。
「あ、無事に出られたんだね」
　真は外に出てきたエースとクマラの姿を見つけて声をかける。
「鬼をひきつけてくれる人がいたからね」
「とりあえず俺たちが集めた情報を教えるよ」
「そうだね」
　まだ知らないアリアに真とエースが伝える。
「おかえりー！旅人さんは何とか助かったみたいだよっ」
　3人の姿を見つけた弥十郎が呼びかける。
　集めた情報を元にオメガの魂がどこにいるのか、居場所を見つける手がかりは今のところ4つ。
　私は見上げる。
　棚と棚の細い隙間を行ったり来たりする人形。
　真っ暗で何も見えず底がない。
　突然燃え出した焼却炉。
　村の中で当てはまる場所がないか、それぞれ案を出しながら考え始めた。