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クリスマス…雪景色の町で過ごすひととき…

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第15章 戦いを忘れてたまにはゆっくりのんびり散歩

「どこも一面真っ白な雪景色なのだな」
 雪で覆われた石作りの町並みの景色を、辿楼院 刹那(てんろういん・せつな)が見渡す。
 今日くらいはゆっくりしようとイブの日に、アルミナ・シンフォーニル(あるみな・しんふぉーにる)に誘われてやってきた。
「まるで陶器で作られたみたい・・・。手作業だからかなり大変よね」
 観光用の城となった時計塔を見上げて、職人たちがどれだけ細かい作業に時間を費やしたのかと思いアルミナは息を呑む。
 普段は仕事で忙しい刹那にゆっくり過ごしてもらおうと、何をするでもなく2人は行くところを決めず、手をつないでブラブラと歩いている。
 いつもお世話になっている彼女に、今日くらいはのんびり過ごしてもらおうと誘ったのだ。
「そのようだな。それにしても、今日は一段と冷え込む・・・」
「せっちゃん、クリスマスプレゼントがあるんだけど。受け取ってくれる?」
「わらわに?ほほぅ、何が入っているのか楽しみだ」
 彼女から受け取ったプレゼントを見ようと包装紙を開く。
「マフラーと手袋か」
 さっそく首に巻いて手袋をはめてみる。
「とても暖かいな、ありがとうアルミナ」
「これからまだまだ寒い時期が続くと思うから。仕事でも使えるやつがいいかな、と思ってね」
「ふむ、ありがたく使わせてもらう。そうだ・・・ちょっとそこで待っててくれ」
 アルミナをそこで待たせて、近くの店へ入る。
「確かアルミナが前から欲しそうにしていたのはこれだったな」
 会計を済ませた刹那は、それを抱えてアルミナのところへ戻る。
「これ、前から欲しかったのだろう?ちょうどショーウィンドウの向こうにあるのが見えたんでな」
「覚えていてくれたの、せっちゃん!わぁ〜可愛いっ、ありがとう♪」
 ブランド物のくまのぬいぐるみを嬉しそうにぎゅっと抱きしめる。
「でも高かったんじゃないの?」
「この日のために貯金しておいたんでな、なんとか買うことが出来たんだ」
「そうなの?嬉しいっ」
「フフッ、では散歩の続きをしよう」
 2人は微笑み合うとまた手をつなぎ、ふらふらと散策をする。
「ねぇせっちゃん、家でクリスマスパーティーしない?」
「そうだな・・・ケーキを買っていこうか」
「うん。そうしよう♪」
 この町で買って帰ろうかという刹那に、アルミナがこくりと頷く。
「どのケーキにするのだ?アルミナ」
 刹那は店のショーウィンドを覗き、どのケーキにしようか考え込む。
「そうねー・・・どれも美味しそうだから迷っちゃうわ」
「スライスナッツが入ったチョコレートなんかどうじゃ」
「いいわね、それ!でも・・・別のお店にもっと美味しそうなのがあるみたいよ」
「ほう、どれどれ・・・」
 アルミナが手にしている観光ガイドブックを覗き込む。
「カフェか。テイクアウトが出来るのだな」
「えぇ、教会の近くにあるわ。あの大きな通りの方ね」
 本で場所を確認しながら刹那を連れて行く。
「ここよ。バウムクーヘンとかが美味しいんだけど、他にもいろいろあるの」
「どこかの貴族が住んでいたところだな。この本に書かれている内容を読むと、改装してカフェにしたのだろう?」
 刹那は看板の前へ行き、大きな洋館を見上げて言う。
「そうね。結構、人気があるところよ」
「いろんな種類があるのだな」
 ドアを開けて中へ入った2人はショーケースの中にあるケーキを眺めて、どれにしようか考える。
「アイアーシェッケとはなんだ?」
「本によるとベイクドチーズケーキね」
 そのケーキは2層に分かれていて、上の方にはスライスアーモンドがまぶしてあり、下の層にレーズンが入っている。
「ふむ、ではそれにしようか」
「どんな味か楽しみね♪」
 ホールケーキサイズで買うと店の外へ出て行く。
「早く帰って温かい紅茶を入れて食べようね」
「そうだな、帰ろう」
 2人は手をつないで暖かい我が家へ帰っていた。