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マホロバで迎える大晦日・謹賀新年!明けましておめでとう!

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第五章 初日の出6

「よし、マホロバの遺跡調査に行くぞ。お宝ゲットだぜ!」
 閃崎 静麻(せんざき・しずま)は軍資金と鬼鎧探しをかねて、遺跡めぐりを敢行していた。
「……と言って、この恰好をする必要がどこにあるんですか!? 個人的趣味じゃないんですか?!」
 ふぉわふぉわ揺れるうさみみとしっぽ。
 魅惑の胸元とVライン。
 くびれた腰とすっと伸びた足。
 レイナ・ライトフィード(れいな・らいとふぃーど)は頬染めしながら静麻に抗議していた。
「ふむ、バニーガーげふんげふん……レイナ、とっても似合ってるぞ」
「お正月返上で遺跡調査だなんて、やっと心を入れ替えて勤勉になったかと思えば。新年早々、煩悩の塊じゃないですか! 」
「何言ってるんだ。バニガは機能的かつ効果的な女子専用戦闘スーツだぞ。潜入調査にもうってつけだ。なあ、保長?」
 静麻が兎装束(バニーガール)に身を包んだ服部 保長(はっとり・やすなが)に同意を求める。
「まあ世の中、戦う南蛮給仕(メイド)もいるからな。少々刺激は必要でござる」
「もう、半蔵までそんなこといって! 私着替えますからね」
 レイナが荷物の中から使えそうなのを選んでいる。
 静麻は身をのりだした。
「な、生着替えとは、いくら遺跡の中が薄暗いとはいえ、けしからんな!」
「……静麻は向こうです」
 レイナに追い出され、ひとり岩場の陰で待つ静麻。
 ようやく彼女は藩士の男装で現れた。
「ふ〜、やっと落ち着きました。さっきより全然マシです」
「つまらん、つまらんぞ。せっかく気分が盛り上がってきたのに」
「私たちは調査に来たんですよ。忘れないでください」
「……しょうがないな、真面目にやるか」
 静麻たちは、マホロバの過去の情報を欲していた。
 前回の二千五百年前の噴花と将軍家と幕府の成立。
 初代将軍鬼城 貞康(きじょう・さだやす)はどんな決断をしていたのか。
「盗掘済みとかは問題じゃない。一番欲しいのは情報だからな。もし、鬼鎧や財宝が見つかれば、確保して幕府に収めるだけさ」
 過去の噴花で土砂崩れに埋まったと思われる集落遺跡を探索している中で、彼らは祠に鎮座する新たな鬼鎧と古びた箱を見つけた。
 鬼鎧はまた持ち帰るとして、鍵のかかった箱には興味を引いた。
 保長が罠に注意しながら器用に開ける。
 中には、がらくたとおもちゃがぎっしりと詰まっていた。
「え……鬼鎧のフィギュア……プラモ?」
 静麻が手に取ると本物そっくりな精巧な作りである。
 背中のねじを回すと、ちび鬼鎧はカタカタと動いた!
 脅威の耐久性と精密性である。
「さすがマホロバ人。小型化と魔改造はお家芸でござるな」
 保長もしきりに感心している。
 その中でひとさわ緻密なつくりこみの侍がいた。
 裏をひっくり返すと『さだやすくん さんじよう!』と書かれてある。
 さだやすくんには『刀剣』『槍』『弓』『火縄銃』がオプションでついていた。
「初代将軍は子供たちのヒーローだったんでしょうね」
 レイナがしみじみと言う。
 静麻はその人形を食い入るように見つめていた。
「これ、天子だけじゃなく子供にも認められてたってことだよな……」
 戦乱の世を治め、数千年続く幕府の礎を築いた男。
 マホロバが生まれ変わり再生するというなら、それに匹敵するか、さらには越えていかねばならない。
「どんな奴だったのかな」」
 静麻は戦国の時代に思いをはせていた。