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節分・厄払い・豆撒き大会

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節分・厄払い・豆撒き大会
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 後半戦・鬼狩り



『皆さん、後半戦の開始ですわ。山葉校長も学園にお戻りになられましたので、張り切ってください』
 レティーシアが後半戦開始の合図をする。
『なお、今から両軍のフラッグの位置を随時お知らせいたします』
 シズルの言葉に事情を知らない参加者数名が首を傾げ、眉を顰める。シズルはそのまま続ける。
『現在両軍のグラッグユニットは校長室に有ります。『青鬼』のフラッグは山葉校長の背中に、『赤鬼』のフラッグは彼の腹筋についておりますので、皆さん全力で破壊してあげてください』
「なんだとぉ! マリエルまさかお前!」
 校内放送を聞いて涼司が驚愕の顔でマリエルを見る。マリエルはマイクセットを付けて、現場からの生実況を担当し始める。
『あはは、早く逃げないと、皆来ちゃいますよ? さあ、山葉校長はどうするのでしょう』
「ほらほら、早く。あ、せめて武器は貸してあげるわ。はい、ライフルと『豆』特別にマーカーはなしよ。ルールはあなたが作ったんだから、ちゃんと守りなさいよ」
 祥子は涼司にエアーガンを渡とハンディーカメラで涼司を撮影し始める。その映像が観戦者用のスクリーンに投影された。
 涼司はこの場から逃げようとするが、ドアは開かない。
 ――どうする? と考え始めた瞬間、天井の排気口から人が落ちてきた。芦原 郁乃とマビノギオンだ。二人が執務机の上に着地する。
「主よ、幾ら何でもむちゃくちゃです……」
 ダクトの埃にまみれて咳き込むマビノギオンが抗議する。しかし、それを聞く様子のない郁乃は、
「ほらあったよ! 私の言ったとおりじゃん。て、校長先生の腹筋にフラッグが付いている? まあいいか! 校長先生お覚悟デス!」
 早速攻撃が開始する。相手が学園の長だろうと関係ない。なお、彼女らはダクトの中に居て、先程の放送内容を聞いていない。ああそうだそうだ聞いていないのだ。
「チクショウッ! ヤッてられるか!」
 涼司は窓の外へと逃げる。ドアが開かないなら逃げ場所はそこしかない。何とかして蒼空学園から逃げ出さねばと思う。学園内に彼の安全が保証される場所なんてない。
 涼司は窓を開けて、外へと飛び出した。
 地に足をつけた瞬間、その場所は足場ではなくなった。
「何だとおぉ!?」
 危うくの所だったが、落とし穴の縁に手を掛けてなんとか落ちずに済む。涼司が深い穴の底を見るとそこには黄色い液体がプクプクと泡を立てていた。
 ルナティエールとエリュトがせっせと掘っていた涼司捕縛用シビレ落とし穴だ。
 涼司が穴から這い出すと、目の前に霜月がアイリスとメイとアレクサンダーに何かを教授していた。
「いいかいみんな。今から校長先生が鬼役をしてくれるらしいから、先生の厄が落ちるよう思いっきり豆をぶつけて上げようね」
「「「はーい」」」
 霜月の言葉に元気よく返事する三人。
 アイリスは普通に素手で豆を投げ、メイは《シャープシューター》を連発してくる。アレクサンダーは涼司の顔が怖かったのか、半泣きしてハンドガンを乱射してきた。
「子供になんて何教えてるんだァ!」
 三児の父に教育の何たるかを問い、逃げる校長先生だった。
『おっと、涼司は校庭へと逃げるようです。皆さん追ってください』
 マリエルが自分の行き場所を暴露するので、行き場に困る涼司だが、とにかく逃げるしか無い。
「逃さないですぅ! あちきの散弾をくらうですぅ!」
 《隠れ身》を解いたレティシアのスリングから無数の豆が同時に発射され涼司を襲った。避け用がないので腕で顔をカバーしたが、かなり痛い。
「くそ、やりやがったな!」
 流石にレティシアの攻撃に逆上した涼司はライフルを構え、彼女の右腕のマーカーを狙った。
「イタ! ああ、サブマーカー撃たれたぁ……!」
「これで攻撃は出来ないぜ!」
 サブマーカーを撃たれれば貸し出している武器の使用が制限される。レティシアが攻撃を出せないなら涼司は追っ手を一人減らせた言うことだ。