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【ロリオとジュエリン】アンノルドル・ルージュ

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【ロリオとジュエリン】アンノルドル・ルージュ
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第6章 Destruction et cr‘eation et extinction-破壊と創造と消滅-

「このお洋服あげるからあたしの頼みごと、聞いてもらえないかな?」
 ミルディア・ディスティン(みるでぃあ・でぃすてぃん)はカバンいっぱいに詰めた服を屋敷に運び、ジュエリンと交渉する。
「まぁ素敵なお洋服ですわね〜」
「全部、彼氏の人のサイズに合わせてあるんだよ」
「ロリオもきっと喜んでくれるはずですわ♪ありがたくいただきますわね」
「ちょーーーと、その前に!命令させるルージュの本ってここにあるんだよね?」
「えぇ、ありますわよ」
「ねぇ〜お願いだから写させて〜♪」
 拝みように手を合わせてジュエリンに詰め寄る。
「困りましたわね。コピーを写しても・・・」
「だったらこの服はあげられないね!」
「んー・・・分かりましたわ」
「え、いいの!?やったー♪」
 服を引き換えに写本の許可をもらえたミルディアは大喜びで紙に書き写す。
 その頃、本について調べようとやってきた七枷 陣(ななかせ・じん)が、ブラックコートを纏い屋敷内に侵入する。
「書斎はどこだ・・・?しっかし貴族の屋敷とかって、無駄に広すぎやねっ」
 ミルディアが書斎から去った後、アンノルドル・ルージュの本を探し歩く。
「何でこそこそとしているんだ?」
 屋敷内を歩き回る彼の姿を発見した宙野 たまき(そらの・たまき)が、不審者を見るような目で睨む。
「おい、ここで何やってるんだ?」
「あっ。いや、ちょっと探し物をな」
「怪しいな・・・」
「そ、そっちこそ何しにきたんや!」
「命令させるルージュが本当に存在するなら、そんな本はさっさと破壊してしまおうと思ってな」
「んなっ!?」
「どうしてそんな驚いた顔をするんだ。ますます怪しいやつだ」
 迷惑しか振りまかないもんを破壊すると聞いて焦る陣を訝しげに見つめる。
「なんか息切れしてだいぶ疲れているみたいだけど、どーかしたんか?」
「―・・・ここまで歩いてくるのに少し疲れただけだ」
 2時間以上も彷徨ったことを伏せ、落ち着いた態度で言葉を返す。
「おっ、ここが書斎っぽいな。やっぱり鍵がかかっとるな」
「何やってるんだ!?」
「開かないから開けてるだけなのに、何か問題あるんか?」
「ありありだろ!」
「じゃーどうやって入るつもりなんだ?」
「うっ、それは・・・」
「じゃあ少し口にチャックでもしといてくれ。メイドとかに気づかれたらアウトや」
 たまきから鍵の方へ視線を戻すと、カチャカチャとピッキングをする。
「開いた!さてとっ、中に入らせていただきますかっ」
 目当ての本を見つけようと本棚を漁り始める。
「なんだこれ、服飾のことばっかりじゃないか」
「おい、もしかしてこれじゃ?」
 フランス語で書かれた本をたまきが見つける。
「それやねっ。必要な材料は・・・、ここにしかないみたいやな」
「あるのか、材料が・・・」
 本物を手に入れるより、素となる本さえ手に入れてしまえばいい。
 しかし、材料がこの屋敷内にあることを知ったたまきは、本と材料を持ち去れば誰でも作れるんじゃないかと心を揺らがせる。
「んー。全て揃ってるなら作った方がよさそうやね」
「なっ、作ってどうするつもりだ?まさか・・・」
「ちょっ、何想像してんだ!支配者とかそんなもんに使う気はまったくないっつーの」
「だったら何のために?」
「まぁちょっと、困ったおばさんたちを懲らしめるために必要なんや。しかも中には知恵物のやつもいるしな」
「もしも逆に奪われたらどうするつもりだ・・・」
「いや、そんなヘマしない・・・はずやっ」
 彼の言葉に最悪な状況を想像しそうになってしまい、本当に作っていいものか一瞬躊躇う。
「そんなものに頼らなくっても、自分で出来る何かがあるはずだ」
 空っぽの薬品をちらりと見てため息をつき、便利なものに頼るより自分自身で成し遂げるものだと、たまきが言い放つ。
「邪悪なやつらの手に渡ったりでもしたら、それこそ破滅に破滅を導くものにしかならない」
「おまっ、何するんやーーーっ!?」
 庭に本をたまきに持って行かれ、ライタで燃やされてしまった。
「あぁもう、塵じゃないかっ!」
「泥棒・・・」
 ぼそっと少女の声音が背後から聞こえ、陣はびくっと身を震わせる。
「いや、あのこれは・・・」
「―・・・泥棒」
「って、持ってきて燃やしたのはオレじゃないって!そこにいる・・・あれ?どこにいったんや?」
「泥棒ーーーーー!!」
 ジュエリンに大声を上げられてしまい、メイドたちに追われながら陣は“オレは無実やーーっ!”と叫びながら学園へ帰って行った。



「これが完成すれば大儲け間違いなしだね♪」
 写本した本を元に、それに近い材料を買い集めたミルディアが、自宅でルージュを作ろうと実験をする。
 真っ暗な空間でニヤつき、一攫千金・大金持ち・ウハウハ!という言葉を脳内で並べる。
 それを考えるともう笑いが止まらない。
「最後にこのグリーンの液体を入れて・・・」
 ズゴォオオーーーンッ。
 スプリンクラーで消火する騒ぎになってしまい、消防車が何台も出動する。
「うわぁん写本がぁあっ」
 写本まで爆破に巻き込まれ塵と化した。
 本物のルージュはエリザベートが数日後、唇を拭って落としてしまった。
 物に頼るとろくな目に遭わない、と・・・学んだ生徒たちだった。

担当マスターより

▼担当マスター

按条境一

▼マスターコメント

こんにちは。
勝者はリアクションの通りですね。
かなり加筆してしまいましたね・・・。
12日ギリギリなので、反映は月曜日かもしれません。

一部の方に称号をお送りさせていただきました。
それではまた次回、別のシナリオでお会いできる日を楽しみにお待ちしております。


2011.03.14:リアクションの一部を修正いたしました。

2011.03.18:リアクションの一部を修正いたしました。