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カノンを取り戻せ『完結編』

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カノンを取り戻せ『完結編』

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【アサルト小隊の場合(地上戦)



 制空権を確保した学園側は、地上降下を開始する。
 といっても素人が簡単に空中から飛び降りれるわけがない。
 自衛隊の空挺師団ですら訓練に次ぐ訓練を重ねてようやく恐怖心を克服し初めて降下が可能になるのだ。
 したがって生徒たちもこれまでに100回以上の訓練を重ね降下に対する恐怖心を克服した。
 そして空中にいくつもの落下傘が開いて次々と地上に降り立った。
「GO! GO! GO!」
 落下傘を切り離し地上に降りたイコンと歩兵は森林に紛れながら次々と進んでゆく。
 当然それを迎撃する敵兵もおり、11C【鋼竜】と機晶姫の歩兵が多かった。
 唯斗の【荒人】が敵機に接近する。
 睡蓮の矢の援護を受け味方機の弾幕の援護を受けながら敵の新式アサルトライフルによる射撃を【高速機動】回避し、接近すると鬼刀で鋼竜を切り払う。
「天学でなくったってぇ!」
 返す刀でさらにもう一撃。
「お前らの相手くらいは!」
 さらに十文字斬り。
「出来るんだよ!」
 そして袈裟斬りで斜めに切り払う。
「とどめだ!」
 コクピットブロックに鬼刀を突き刺す。
 唯斗も上位ランクのパイロットである。正直対雑魚部隊にいるのがもったいないくらいのレベルだ。その唯人の呵責容赦無い斬撃を受け、鋼竜は爆散する。
「兄さん、後ろに歩兵!」
 機晶ランチャーを構えた歩兵が背後から【荒人】を狙っていた。
「ちぃっ!」
 唯斗は【高速機動】で一気にターンし歩兵を頭部バルカンの射程に捉える。
「バルカン!」
 バルカン砲が機晶姫の体を破壊する。
 めいは【ウサちゃん】を【回避上昇】と【高速機動】で機敏に動かし回りながらウサ耳ブレードで切り裂いていく。
「陸戦イコンだってやれば出来るんだから!」
 めいはそう叫びながら次々と敵機の周囲を旋回しながらウサ耳ブレードを突き刺していく。
 距離を取られたら肩に装備したハンドガンで攻撃。
 アサルトライフルの銃撃を器用にかわしながら支援型イコンとは思えないほどの高機動で敵機を翻弄していく。
 一哉はイーグリットに装備した大型ビームキャノンで遠距離から二人をサポートする。
「一哉、射軸修正右20度、上5度。上空からのデータ入りました。さらに右に3度修正……今です!」
 機晶姫アリヤの正確なアシストを受けながら一哉はスナイパーとして次々と敵を倒していく。
「セレン、敵歩兵部隊。数5。強化人間のようです。強化人間は低レベルの傾向が多いです。セレンでも十分に倒せるでしょう」
 セレアナが暴走しがちな相棒セレンフィリティに逐一状況を伝えながら手綱を握ってやり過ぎないようにコントロールする。
 だがセレアナの読みは外れていた。強化人間のレベルはセレンフィリティよりすこしばかり高い。二人で同時に攻撃して一人を倒すのがやっとだろう。
 それに気付かずセレンフィリティは強化人間に攻撃を仕掛けたため手痛い反撃をくらってしまった。
 アサルトライフルの集中砲火を受け肩に傷を受ける。
 だがその程度で済んだのはセレアナが【女王の加護】をかけていたからだ。
 セレンフィリティは負傷兵として後方に搬送された。
 となるところだが、セレンフィリティは教導団の軍人らしく遮蔽物を利用して戦う術を身につけていた。そのため、味方と連携しながら【シャープシューター】や【クロスファイア】を利用し、確実に一人一人敵兵を仕留めていく。
「ねえどうしたの? 戦場でありえないような恰好してる頭のイカれた女相手にここまで梃子摺るなんて、もしかして(以下、青少年の健全な育成に重大な悪影響を及ぼす罵詈雑言が4行ほど続くので検閲削除)なんじゃないの! あんたら、鏖殺寺院ってだけで生きてる価値もないんだから、せめてここいらで大人しくくたばって少しはシャンバラの環境保護に協力しなさいな!」
 そう言って逃げ出したセレンフィリティとセレアナの挑発に乗った鏖殺寺院兵は彼女を追いかけてセレンフィリティが【破壊工作】で仕掛けておいたブービートラップの爆弾に引っかかって爆死する。
「よし、任務遂行。教導団をなめないでほしいわね」
 セレンフィリティは外見こそビキニにコートとアレだが中身は意外に任務に燃える真面目な教導団の軍人である。ただし暴れすぎるきらいがあるためセレアナが手綱を握っていないといろいろな意味で危ない。
 イーグリットアサルトのキグルミを着たエヴァルトは、【光学モザイク】で姿を隠すとイコンに接近。
 イコンの赤外線センサやサーモグラフィの探知圏域ギリギリで【光学モザイク】を解除する。敵は突然イーグリットアサルトのキグルミが現れて混乱する。
 メインカメラのすぐ前に現れるため頭部バルカンも効果がなく、【轟雷閃】で首関節部を破壊する。
 エヴァルトのレベルはアルコリアやナコトには及ばないがそれができるほど十分に高く、イコンを排除する片手間に強化人間や機晶姫の歩兵の相手をしても問題は発生しなかった。
 そんな地上戦のどさくさに紛れてローザマリアとグロリアーナ可憐とアリス、御空とクラウディアは【光学迷彩】などで身を隠したり【ダークビジョン】で暗所を見通したりと協力しながら森の中を鏖殺寺院の基地に向かって進行していた。
 ローザマリアは朝斗に可憐はレオに【テレパシー】で接触し敵の基地の入り口を聞き出すとその結果を照合し最も安全に侵入できそうな所に向かった。
 ローザマリアが基地正面の入り口付近に【破壊工作】で爆弾を仕掛け遠隔操作でそれを爆発させ敵の動揺を誘っている隙に忍びこむという念の入りようだった。
「GO!」
 教導団でこのような作戦に最も手馴れているローザマリアが便宜的に場を仕切る。
 そして同時に空中でもシュメッターリングを相手にした対雑魚戦が進行していた。



【アサルト小隊】の場合(空中戦)



 【アサルト小隊】の空中部隊は3機と数が少ないため【リベレイト小隊】と【ハロウィン小隊】の力を借りてミッションを遂行していた。
「こちら【パンプキンヘッド】、高機動イーグリットを投入するわ。KAORI、情報リンク。システムフルスタンバイ」
『了解です』
 大規模模擬戦時と同様に、【ハロウィン小隊】は敵部隊の撹乱のために投入されていた。
「突撃! 突撃! 突撃! 天が落ち、地が裂け、海原が我らを覆い尽くそうと、戦いに戸惑う事なかれ。御神は我らの守りなり!」
 グリムゲーテが激を飛ばす。
 アサルトライフルを撃ちながら【ハロウィン小隊】は進撃する。敵部隊が中央から二つに割れると【アサルト小隊】、【リベレイト小隊】、【ハロウィン小隊】はその空隙を突破し敵部隊の背面に展開する。戦術の教科書的な中央突破背面展開であった。
「こちら【アサルト1】の【コキュートス】。【アサルト小隊】各機は地上の敵の配置を観察し地上部隊にデータを送ってください」
 シフはそう指示を出しながら射撃をメインに敵のシュメッターリングを周囲の味方と協力しながら一機一機確実に撃ち落としていく。
 蛇々とアールの【ライネックス】はアールをメインパイロットとしながら裁の【ゴットサンダー】とともに接近戦で敵を打ち倒していく。
「さぁ、風になろうぜ、ゴッドサンダー」
 【ライネックス】のビームサーベルと【ゴッドサンダー】の蛇腹の剣が左右からシュメッターリングを切り裂く。そこにシフの【コキュートス】からの支援射撃が入り、シュメッターリングは爆散する。
「ボクは風。あなた達に風の動きが捉えられるかな?」
 裁はそう言いながらアールとともにヒット&アウェイで敵に反撃する隙を与えずに敵のマシンガンの適切射程範囲外で動き回りまながら敵を翻弄していた。
「さあ、行くよ! 必殺技を受け取れ! タービュレンス!」
 加速して高速機動で暴風のごとく蛇腹の剣を振り回す【ゴッドサンダー】。
 それに巻き込まれて2、3機のシュメッターリングが切り落とされていく。
 そして囲まれると距離をとってハンドガンを叩き込む。
「シルフィードブリット!」
 撃ち落されるシュメッターリング。
 爆発して小さな花火が咲き、戦場を彩る。
 そして荘やって雑魚を掃討していくと、やがて敵の部隊の後方に戦術指揮を行っている教官機のコームラントと後方で控えていた精鋭戦力の強化人間たち、そしてシュヴァルツ・フリーゲとエンゲージした。