リアクション
【8班】
根菜が入っている以外、そのカレーにはほぼ違和感がなかった。
「うん、美味い」
と、洋介が呟く。
喧嘩で腹を空かせた乱之介や永太も、がつがつとカレーライスに食いついていた。
「ちょっとじゃがいもが小さいけど、美味しくできたね」
と、綺人。
「はい……もっと精進します」
クリスは小さく溜め息をついた。不器用にもほどがある。
するとそんな彼女を励ますように、乱之助が陽気に笑った。
「意外と美味ぇな、大根入りのカレーってのも」
【9班】
それは、様々なスパイスの入れられたカレーだった。
食べた不良たちが次々に悶え始め、弥十郎は笑う。
「上手くいったみたいだね」
「そうだな」
と、八雲も満足げだ。
結局、弥十郎たちは千代たちのカレーを分けてもらって食べていた。
「とっても美味しいであります!」
と、千代へ感想を伝える剛太郎。
エリスやアスカ、藤右衛門もその味に満足していた。
「何か探し物ですか、カセイノさん?」
と、リリィが声をかけると、振り向いたカセイノは言った。
「げっ、リリィか。こちとら忙しいんだ、向こう行ってろ」
冷たくあしらわれてしょんぼりしてしまうリリィ。
何やら探し物をしているカセイノに、リリィも足元を見てその辺を歩き出した。
すると、見慣れた珠が一つ。
「探しているのって、この珠ですね?」
カセイノがはっとした。
「研究用にと貸していたものが、何故ここに飛び散っているのか、説明していただきましょうか」
「それは、その……喧嘩の援護をしようと思って投げたら、思った以上にまともで強力だったもんで、さすがに紛失で済ますのはまずいかと……」
そしてあっさり謝罪をする。
「本当にすまなかったっ!」
リリィは納得すると、ちょっぴり嬉しそうに彼へ言った。
「一人で探すのも大変でしょう、一緒に探しますわ。断る理由も無いのではなくて?」
顔を上げたカセイノはほっとしたものの、何故怒られなかったのかと疑問に思う。
『無量光の数珠』はリリィの手作りだった。それがまともに使えたことと、その効果を認められたことが嬉しかったのだ。修行の成果は確かに現われている。
「ほら、ここにも一つ、落ちてますわよ」
ショートカットの女の子を中心に撮るヤチェル。紅鵡にミア、雲雀に千代と篤子、郁乃とマビノギオン、セレアナにティーと、今回は豊作だ。
一方の里也は誰彼構わず、いい表情をしている者たちをカメラに収めていた。
後で見たとき、きっと良い思い出になるだろう……不良との遭遇も含めて。
ちなみに、一番よくできたカレーは『9班』、弥十郎のカレーだった。
評価点はもちろん、不良たちにはいい罰になったことであり、スパイスの効果がすぐに現われた点だ。
「シナモンによる発汗と沈静作用、クローブの抗酸化作用、マジョラムを多めに使って、ゆっくり眠らせられるように考えたからね」
みなさん、お疲れ様でした。
料理の上手い方があまりいらっしゃらなかったため、一番を決めるに決められず……このような判定にさせていただきました。
楽しんでいただければ光栄です。
参加してくださった皆様、ありがとうございました。