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リアクション
――、天御柱学院 近辺
佐野 和輝(さの・かずき)はアニス・パラス(あにす・ぱらす)、スノー・クライム(すのー・くらいむ)と海京に買い物をしに来ていた。
訓練漬けの教導団での生活ではアニスがかわいそうだと、スノー提案したので、休暇をもらってここへと来た。
「次どこへ行く?」
アニスが和輝に尋ねた。和輝は「そうだね……」と曖昧に答えて、スノーを見る。
こう言ったとどこへアニスを連れていくべきかわからないので、行く場所はスノーに決めてもらっている。出来れば、そろそろ婦人服店意外にも行って欲しい。
「アイスでも食べましょう。近くに珍しいアイスを売っているところがあるわ」
小腹を空かす頃だろうと思い、スノーがそう提案する。和輝もそれならいいかなと、納得する。
「あー、トンコツラーメンアイス売っているところだねー。アニスも気になってたんだ」
アニスが嬉しそうにする。和輝はそれはアイスとして如何なものかと抗議したいが、彼女たちが盛り上がっている手前、言葉を飲み込んだ。
ふと、アニスが足を止めた。天御柱学院の正門に来ていた。
「どうしたアニス?」
和輝はアニスが珍しいものでも見つけたのかと思った。しかし違った。
「……呼んでる」
「アニス!?」
アニスが二人の元を離れて学院敷地内へと駆け出した。和輝はすぐに彼女の様子が可笑しい事に気付き、見失わないよう後を追った。
「アニスどこへ行くの!」
スノーも呼びかけるが、アニスは振り向こうともしない。どんどん敷地の中へと入っていく。
そして、アニスは一人の少女の前で止まる。長い金髪の少女がアニスの肩に手を置いて言った。
「「よく来たね、アニス――」」
頭と耳に同時に響く声だった。綺麗な容姿とは裏腹に、その声には危険な香りがした。
和輝は少女が誰かは知らない。スノーも、そしてアニスもだ。ただ、わかるのはアニスがおかしくなったのは彼女のせいだと言う事。
「お前、何者だ」
【マシンピストル】の銃口を突きつけ和輝が問うと、アニスが「ダメ!」自らを盾にして少女を庇った。
アニスの行動に和輝が動揺するのを見て、少女が笑った。
「「アハハ! てめぇら、こいつの保護者か? そいつはイイやぁ」」
「アニスに何した!」
「「こいつの『無意識』に干渉してやったのさ! さっきは逃げられちまったが、今度はいい人質になりそうだ」」
どんな仕組みか和輝にはわからないが、アニスが人質にされていては迂闊に手を出せない。
「アニスをどうするつもり?」
スノーが訊く。少女は「どうもしねえよ」と答え、続けた。
「「ただチーっと道案内してもらいたいだけだ。てめぇらに恨みはねえから、目的地に着いたら開放してやるよ。序に、てめぇらも私のボティーガードでもしてくれたらサイコーなんだけどよ?」」
従わないわけにはいかないようだ。和輝は銃を仕舞う。
「わかった。お前に従ってやる」
スノーが止めるのを断り、和輝は少女の言いなりなった。
「「じゃあ、よろしく頼んだぜ。ワタシはアリスって言うんだ――」」
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