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イコン最終改造計画

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イコン最終改造計画

リアクション

「エントリーナンバー1! 【雷弩璃暴流破(ライドリボルバー)】! パラ実魂を込めたカスタマイズってやつを魅せてやるよ!」
 品評会の先陣を切ったのは、いわゆるスケバン風の格好が特徴的な御弾 知恵子(みたま・ちえこ)であった。
 雷弩璃暴流破。それはパラ実イコンの性能に限界を感じた知恵子一味が、異世界のイコンの残骸をベースとし、彼女が所有する離偉漸屠の【號弩璃暴流破(ゴッドリボルバー)】の予備パーツ、及び不要となったジャンクパーツを寄せ集め、組み上げたイコンである。
 操縦をひとまずパートナーのフォルテュナ・エクス(ふぉるてゅな・えくす)に任せ、知恵子は低空飛行状態を保つ雷弩璃暴流破の外部装甲に乗り、解説を始めた。
「こいつの改造テーマは、『パラ実イコンじゃないイコンを、いかにパラ実らしくするか』だねぇ。見ての通り、大まかに武器を使う人型部分と、飛行できるバイク部分で構成された、自慢のスーパーイコンさ!」
 彼女の言う通り、この雷弩璃暴流破は言わば「飛行するスパイクバイクにまたがり、その手にスパイクバットを構えたパラ実的不良」という姿をしていた。
「拳銃リーゼントに学ランでビシっとキメた不良の鑑とも言えるそのフォルム!」
 人型部分の頭のところには、上下が逆さまになったリボルバー拳銃が取り付けられ、服らしきパーツはよく見れば「学ランにスパイクを取り付けた」ものとなっている。
「塗るのに相当苦労したファイヤパターン!」
 黒い機体に青で塗装を施し、しかもそのデザインは炎をモチーフにしているのだが、それにしては非常に細かく、確かに塗るのに苦労したと思わせるものがある。
「そして、空飛ぶバイク!」
 バイク部分は、本来タイヤがあるべきところにタイヤが無く「タイヤ風の飛行エンジン」が備わっていた。そのため、逆に地上を走ることは相当難しくなっている。
「そして何よりのアピールポイントは、その性能面さ! 最大の自慢はスピード。最大でマッハ6は出るはずさ! 多分な」
 言いながら知恵子は雷弩璃暴流破に乗り込み、フォルテュナに指示を出す。
「よし、フォルテュナ。曲芸飛行の時間だ。準備はいいかい?」
「準備万端に決まってんだろ。それよりもチエ、おまえの方が大丈夫なのか? シートベルトはちゃんとしたのか?」
「あたいがそんなヘマをやらかすわけないじゃんか!」
 軽口を叩き合いながらフォルテュナは計器類のチェックを行っていく。何しろこのカスタマイズを施したのはフォルテュナなのだ。手塩にかけてチューンしたこのイコンの無様な姿を見せるわけにはいかない。
「何しろ元は戦闘機っぽい形してたからなー。この形に仕上げるのは苦労したぜ」
 全てのチェックを終え、フォルテュナは発進のアナウンスを行う。
「計器類チェック完了! 全部問題無し! いつでも行けるぜ、ユーハブコントロール!」
「アイハブコントロール! 雷弩璃暴流破、曲芸飛行開始!」
 操縦桿を握り締め、メインパイロットである知恵子が雷弩璃暴流破に飛行の指示を与えると、機体はそれに応え、一気に大空に飛び出す。
 垂直への急上昇、しばらく飛んだかと思うとすぐさま旋回させ垂直落下。もちろん地面に衝突する前に機首を上げ、水平飛行からバレルロール(きりもみ回転)へと移行する。「バイクに乗った不良」という形であるため、天地が逆さになった状態では人間部分が落ちてしまうのではないかと思われたが、どうやら人間部分とバイク部分は完全に結合されているらしく、全く落ちる様子が無い。
 知恵子が主張したようなマッハ6の速度は出ていなかったが、それでもかなりの速さを維持したまま、次々と曲芸の技を決めていく。
 それから数分後、ある程度の飛行を終えた不良のバイクは、ゆっくりと地面に降り立った。
「いや〜、さすがに曲芸の連発は目が回るねぇ。ひとまずこれでアピールは終わりだよ。ところで審査員長、こいつなんだけど、『元のイコン』は何かわかるかい? ヒントは『元々変形機構を持ってる』ってことと、『学校で作られたものじゃないっぽい』ってとこかな」

「うほっ、いいイコン……。って、元のイコンだって? ってことはパラ実イコンじゃないってのか!?」
「ええ〜!? どう見てもあれパラ実でしょ〜!?」
「今時、変形できるイコンなんてそんなに数は無いから、調べたらすぐわかるんだろうが、それにしてもこいつは……」
 実はこの雷弩璃暴流破、元々はパラミタとは別の次元から流れてきたと言われる【S−01(機体コード:IRR-S01)】その飛行形態を魔改造したものなのだ。
「なんにせよ、ここまでパラ実らしく仕上げてくるとは恐れ入ったぜ。熱い曲芸飛行もバッチリだ!」
「あはははは! どうだい!? パラ実の次世代機も狙えると思わないかい!?」
 これを元に次世代機が作られるかどうかは不明だが、少なくとも1つの案として考えられる、かどうかはわからない。