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【新米少尉奮闘記】飛空艇の新たな一歩

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【新米少尉奮闘記】飛空艇の新たな一歩

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□■エピローグ■□

 かーん、かーん、かーんと、鐘の音が響き渡った。
 演習終了の合図だ。
 赤チーム、青チーム、両者の顔にどっと安堵と、疲れの色が浮かぶ。

――演習を終了します。全員、西滑走路に帰還して下さい。繰り返す、全員、西滑走路に帰還して下さい。

 通信と拡声器とで一斉にアナウンスが響いた。橘カオルの声だ。
 演習の参加者達は、ゆったりとした動きでそれぞれの機体を西の方へと向けると、静かに撤収していく。

 その様子を見下ろしていた、一機の機体があった。
 佐野 和輝(さの・かずき)アニス・パラス(あにす・ぱらす)の乗る、グレイゴーストだ。
「なかなか良いデータが取れたな」
「ふあー、退屈だったよぉ、和輝ぃ」
「これも教導団の為だ、良い勉強にもなったしな」
 偵察機としても運用可能なはずのグレイゴーストの運用実験も兼ねたデータ収集だったが、思った以上の収穫だった。結局、誰にも悟られることなくデータ収集を完了出来た。
「さ、李大尉にデータを提出して、報告して来よう」
 そう言うと、佐野はグレイゴーストの機首を西へと向けた。そして、演習参加者たちを上空から追い越して、一足先に西滑走路へ向けて飛び去っていく。

 全員が西滑走路へ帰還し、最低限の機体整備を終えて整列する頃には、辺りは夕日の色に染まっていた。
「まずは演習お疲れ様。良い勝負だったみたいね」
 佐野から提出された戦闘の記録、及び本部が集めていたデータを参照しながら、李は集まった一同を見渡す。
「模擬戦の結果だけど、赤チームが回収したコンテナは一つ、青チームが回収したのは二つ。どちらの旗艦も墜落はしていないということで、青チームの勝利よ」
 わあ、と歓声を上げる青チームの面々に対し、小暮をはじめとする赤チームの面々は悔しげに拳を握りしめる。
「勝利チームはよくやったわ。負けたチーム、実戦では許されない失敗よ! 特に赤チームの教導団生は後で反省文提出!」
 李の宣告に、赤チームの数人がええええ、と不満の声を上げるが、李は意に介さない。
「……まあ、あれだけの戦力差の中、良く踏ん張ったわね。その点は評価に値するわ」
 最後に付け加えられた一言は、李なりの労いだろう。
 確かに敗北は悔しいけれど、その一言で小暮は肩から力を抜く。
 元々小暮の計算では勝率3パーセントというところだったのが、接戦に持ち込めた。満足は出来ない結果だが、悲嘆にくれる必要もない。それよりも、何処で戦術の組み立てを間違えたか、どうすれば手持ちの戦力でも勝てていたかの分析をする必要が――
 と小暮が思案を始めようとした時。

「でも!」

 鋭い李の声が響き渡った。

「コンテナを回収しろ、っていうミッションだったのにどうして回収数が両チーム合わせてたったの三つなわけ? 相手の妨害や旗艦の撃破も戦略のウチとはいえ、まず任務の達成が第一でしょう! 勝ったチームも同じ事よ!」

 教導団生も外部生もひっくるめての李からの説教は、その後暫く続いたのだった。



―幕―





担当マスターより

▼担当マスター

常葉ゆら

▼マスターコメント

おつき合い頂き有り難う御座いました。
皆さんのお手伝いのお陰で、無事に飛空艇の改造、および模擬戦を終了することが出来ました。
毎回参加して下さっている皆さん、本当にありがとうございます。皆さんの飛空艇に対する愛情がアクションからひしひしと伝わってきて、嬉しい限りです。
そして今回シリーズに初めて参加して下さったみなさん、心から、有り難う御座います。お楽しみいただけましたでしょうか。

そういえば前回の問題点は解決しましたが、もう一点解決していない謎が有るような。
もう少し、皆さんのお力が必要かも知れません。その時は宜しくお願いします。

……ところでサイコロの偶然って、恐ろしいですねぇー。危うく本気で小暮組フルボッコなリアクションになるところでございました……何なのイコン7機vs1機って何の無理ゲーなの……
そんなわけで、今回、赤チームの行動には「戦力圧倒的に少ないけど頑張ってね補正」が掛かっています。
イコン相手に生身で善戦できたのも、まあ、そういうことです。他のシナリオではそうはいかないのでご了承くださいね。

それでは、また次回作でお会い出来れば幸いです。
ご参加頂いた皆様、本当に有り難う御座いました。