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【2021ハロウィン】大荒野のハロウィンパレード!

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【2021ハロウィン】大荒野のハロウィンパレード!
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リアクション


―プロローグ―

 夜の帳が下りたシャンバラ大荒野。
 いつもは獣や人相の悪い者たちが蠢く音しか聞こえぬ荒野に、続々と人々が集まっている。
 歩いている観客の一人が迫る轟音に振り向くと、隠密偵察機のグレイゴーストが地表スレスレを滑空し、空へと急上昇していく。
「おお!? 何だ?」と口々に言い空を見上げる観客たち、だが黒い機体は闇夜に消えていく。
 グレイゴーストを駆る佐野 和輝(さの・かずき)が忍びの覆面から覗く黒い瞳で、眼下の一本の道の両脇に広がった群衆を見渡し、
「このまま、警備員として索敵行動だけを行うっていうのもアリだけれど……」
 精神感応でパートナーのアニス・パラス(あにす・ぱらす)が抗議の声をあげる。
「和輝! 真っ暗だから、アニス達のアクロバテイックな動きもあまり伝わってないみたいだよー!」
 機体の火器管制を担当するアニスがバタバタと騒ぐ声に、和輝が操縦桿をゆっくり倒す。
 きりもみ式に急加速するグレイゴースト。
「うっ、にゃ〜〜〜っ」
 アニスがGに耐えてる声が頭に聞こえる。
「確かに俺はイコンに乗って盛り上げる演出の一つを行うって言ったけど、一応本来は警備員なんだからな?」
「それは知ってるもん! アニスだって和輝と一緒に情報管制を行って、スムーズな警備をするために行動するもん」
「でも……アニスは知らない人と話すのは怖いんだろう?」
「う‥…で、でも通信はもっぱら和輝がやってくれてるし……そ、それにぃ! 情報整理は頑張るよ!」
「ああ、わかっ……ん?」
 上空を行くグレイゴーストから何かを見つけた和輝。光学ズームを使い確認すると、群衆の中に小競り合いが起きている。
「こちらゴーストアイ、E2地点で男が暴れているの確認した。近くの警備員は至急現場に向かってくれ」
「了解ー! 直ぐ様、向かうよ! あ、和輝もそろそろ始まるから次のポイントに移動、よろしくね!」
 ややテンションの高い地上の警備員へ短いやりとりで指示を伝えた後、和輝はアニスに精神感応で呼びかける。
「アニス?」
「……何?」
「火器管制を頼むよ。ミサイルポッドだ」
 パァッとアニスの顔に笑みが広がり、赤い瞳が輝く。
「やっていいの!?」
「その後は、直ぐ様移動だからね。これくらいの演出はいいだろう」
 アニスが和輝の言葉を聞き終わらないうちに、既に火器管制のシステムを立ち上げていた。
「ただし、俺の動きはトリッキーだから、Gで気を失うな?」
 そう言って和輝が再び機体を上昇させる。
「アニス、いけるかい?」
「いつでも撃てるよ!」
「じゃあ、頼む」
「ロック解除。花火ミサイル、発射〜♪」
 アニスがミサイルポッドを撃ち出すと、次々と色とりどりの花火が夜空へと発射される。
「「「おおおおぉぉぉ!?」」」
 観客達が上空の花火を見上げる。そんな中を和輝のグレイゴーストが急加速、急減速をしつつ、華麗にターンを決めていく。
 花火の光で照らされた機体の空のダンスに、観客達が拍手を送る。
「盛り上げってる、盛り上がってる♪」
 はしゃぐアニスに、和輝も覆面の下でフッと笑みをこぼす。
 しかし、レーダーにこちらに急接近する大型物体の影が映り、その顔が強張る。
「光に集まる虫か!?」と和輝が身構え、操縦桿を握り直す。
 だが、その移動速度は巨大昆虫にしてはあまりに早すぎる。


「警備員さんの花火には、負けてられませんわ。これでも私、パレードの参加者なんですから」
 和輝とアニスの花火を見て、俄然やる気を出したのは、インフェルノを駆るセシル・フォークナー(せしる・ふぉーくなー) である。
 グレイゴーストに直ぐ様追いつくと、インフェルノのブースターから赤や黄色等の明るい色の火が噴射され、急加速・急旋回しながら空に綺麗な色で放物線を描いていく。
「何だ……フォークナーか」
「和輝さん? 貴方の踊りに参加させて頂いてよろしいですか?」
「勿論、いいよ! でも、アニス達にかなうかな?」
 アニスが代わりに答える。
「ええ、私だってフォークナー海賊団の首領ですわ……それ!!」
 セシルのインフェルノは、パレードのためにブースターに特殊な改造を施していたのだ。
 機動力のみに特化したハイスピードで飛び回るインフェルノと花火を打ち上げるグレイゴーストの共演。
 観客たちが夜空のキャンバスに描かれる光のアートに目を奪われる。
 和輝とセシルはさならがドッグファイトの様に舞い続けた後、セシルがブースターで『happy halloween』と描き、二体のイコンはそれぞれ別方向へと飛び去っていく。
 地上でこの光景を見ていた観客が歓喜する中、警備員として和輝の連絡を受け、揉め事の仲裁へ向かっていた浦安三鬼(うらやす・みつき)が「いよいよ、始まったな」と呟くのであった。